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WFWの精霊召喚術師  作者: 栗花落
1章:初めてだらけの世界
10/18

9:2人組の姉弟

完全に遅刻です。見返し行ってから投稿してますが……

不自然な場所、言い回し……誤字脱字あればご報告をお願いします。


7/15日 ユニークPV1万突破。ジャンル別日間3位週刊7位ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

……どうやら、いつの間にか私も眠ってしまったみたい。

目が覚めると、夕暮れ時だった周囲には、日の光が昇っていた。


「あ、時間が進んだんだね……朝になってる」

フェーリとアイリスはの2人はまだ眠っている様だったが、私が寝ている間に一度起きたのか。

お腹の上から、私の顔の横に移動していた。


(……起こしたらかわいそうだよね。)

――誰だって、寝ているのを邪魔されたら怒るだろう。そう思い、2人を起こさないようにそっとベッドから起き上がるが……


フェーリの耳がピコピコと動き、私の方にまだ眠たげな眼を向けた。

「あ、起こしちゃった?耳がいいね……フェーリは」まだ眠ってていいよ。

そうは言うものの、フェリーは前足で目を擦りながら、私の肩に乗ってきた。


その動きに、気づいたのか……アイリスも、んーっと、伸びをしながら目を擦る。

どうやら、2人とも起きてしまったようだ……


「アイリスも起きちゃったの……うるさかったかな?ごめんね」

2人は、まだ眠たそうに眼を何度も擦りながら首を横に振る。


……少し、お散歩しよっか。

そういいながら、まだ朝早いユーフェンスの街へと繰り出す。

≪赤猫の鈴≫を静かに出た私たちは、とりあえず噴水広場まで行ってみる。


やはり、早朝なだけあって……プレイヤーも、NPCも少ない。

ログイン初日に感じた、あの騒がしさとは打って変わり、どこか寂しく感じるくらい……

それぐらい、物静かな広場だった。


(……でも、お散歩するにはちょうどいいね)

心の中で思う。


私はまた、噴水の端の方に腰を掛ける。

そっと、目を閉じた私は、聴こえてくる水の音と……爽やかな風の音に耳を傾け、今、この刻を楽しむ。


フェーリは、肩の上からトコトコと器用に私の膝の上に乗り、欠伸を一つかいて目を閉じる。

アイリスもその様子を見て、『私も』といったように、頭の上に乗り、目を瞑り始めた。


完全に眠気が飛んでいる私は、(仕方ないなぁ)そう思いながら、フェーリを撫でる。

心地よい風と水の音にあわせる様に、子守唄を聞かせるように、私は、小さな声で鼻歌交じりに歌を歌う。


「フンフン……フンフン、フンフンフーン。」

今でこそ、あまり聞かないが、よく小さな頃、私がいつも寝る前に母親が歌ってくれたな童謡。淡く光る星を歌った歌。

・・・・・なんだか、すごく懐かしい。

そう思いながら、ゆったりとした朝の時間を過ごした。



……それからもう少しだけ、お散歩をした私たちは……お腹が空いた為、≪赤猫の鈴≫へと戻る。

そういえば、まだ一回も食堂に行った事ないなぁ……と思った私は、≪ボアエッグサンド≫の味を思い出しながら、食堂へと向かった。


食堂につく頃には、朝7時ぐらいを迎えている。

朝食を食べるにはいつもよりは少し早いかな?と思いつつ、席に着く。

……途端に香ってきた、仄かに甘い香りに私のお腹が鳴る。

周りには、既に少なくない数の人たちが朝ご飯を食べており、少しだけ恥ずかしくなり私は顔を俯けた。


……気を取り直して、メニューを見る。和食から始まり洋食に続く。中には見たこともないような食事がメニューに載っており、思わず目を輝かせる。

(どれにしようかなぁ……)

すごく悩んだ物の、席に着いた際に香ってきた匂いを思い出し……おそらくコレだろう!という、パンケーキに決めた。


レリックさんを呼べばいいのかな?と目の前に設置されている呼玉を押す。

おしてから、数秒立つと小さな女の子がやってきた。


「おはようございます。ご注文お伺いしますね」

小さなウェイトレスの姿に少しだけ、驚くがレリックさんのお子さんもお店を手伝っていると言う事を思い出す。

「そっか、レリックさんの娘さんなんだね。」と前置きを置いてから、メニューを開き≪赤猫特製パンケーキ≫を注文する。


女の子は「そうです! 私の名前は、フィンです。覚えてくれると嬉しいです」と頬を赤く染め、注文を繰り返してから、厨房へと消えていった。


――しばらくすると、≪赤猫特製パンケーキ≫が運ばれてくる。

「お待たせしました」慣れた手つきで、食べ物を私の前に運んできたフィンに「ありがとう。いただきます」と手を合わせ、早速一口、口に運ぶ。


……くどすぎず、甘すぎず。パンはふわふわしており、まるで口の中で溶けていくような……そんな触感だった。「ん……おいしい」思わず顔がにやけてしまう。


その様子を見た、アイリスとフェーリは『私も、私も』といったように私のパンケーキをつつき始める。

(……すごく行儀が悪いんだけど、仕方がないなぁ。)そう思い、パンケーキを切り分け小皿に乗せる。

「これが、アイリスとフェーリの分だよ。ゆっくり食べてね」

そういうと、ふと見られている視線を感じる……というか、すぐ真横から、私の事を見つめているフィンがいた。


「お姉さん!! この可愛い生き物は何です?どこにいるんですか?」

仕事を手伝っていた際の雰囲気はどこへやら。目を輝かせながら、フェーリを見つめていた。

「この子は、私の召喚獣のフェーリだよ?宜しくね」

そういうと、フェーリはフィンを見つめ――「キュッ」っと鳴いて、頭を下げた。


それが、合図となったのだろう。堪えることができなかったフィンが「可愛い!!」と一言だけ語気を荒げてフェーリを抱きしめた。

少しだけ、嫌な顔をしたフェーリだったが、相手が私よりも小さな女の子の為か、(しかたない……)と、何かを諦めた表情をしていた。

……それから私がパンケーキを食べ終わるまで、フェーリが解放されることはなかった。



パンケーキを食べ終わった私達はいったん部屋に戻る。

部屋に戻って、ゆっくりと時間を過ごしていると、ピコンとメッセージが届く。

(シオンからだ……なんだろう)

そうメッセージを開くと、『会ってほしい人がいるの10時半に噴水広場で待ってるね』と書いてあった。


現在時刻は9時半。あと一時間しかない為、このままいこっかと、フェーリとアイリスに声をかけ私たちは宿屋を後にした。

……案の定、30分ぐらい早くついてしまうが、図書館で借りた本を取り出して、噴水広場に設置されている椅子へと腰掛ける。≪精霊と召喚獣≫という本を手繰り寄せパラパラと捲り始める。

本を読み始めてからすぐにフェーリは膝の上に乗り丸くなる。アイリスは本に興味があるのか、私の肩に乗って一緒に本を見つめていた。



……ふと、時間を見るとそろそろ10時半になるぐらいであった。慌てて本をしまい、しーちゃんをまつ。

それから5分ぐらいたっただろうか……しーちゃんがやや遅れて姿を見せた――2人の人を連れて。


「やー、みーちゃんお待たせぇ」右手を挙げて、ごめんの形を作る。

「それでね、この人たちが、みーちゃんに紹介したい人なのよ……こないだ偶然フィールドで出会ってね!PTを組んだら意気投合しちゃって!」ハハハと笑いながら語っていた。


その様子に、私が、仕切らないとだめなのねぇ~……と言いながら後ろに人が一人前に出て自己紹介を始める。

「はじめましてぇ~、わたしぃ、ノヴァっていいますぅ~。防具職人をやらせてもらってますぅ。よろしくなのですよぉ~」

ほんわかしたテンションで、ノヴァが挨拶をする。


「そしてこっちがぁ~」ともう一人いた男性を前に出して自己紹介しようとするが、その男性は少し嫌な顔をしている。

「やめろって……姉さん! おれもちゃんとできっから。そう、押すなって!」と言いながら自己紹介を始める。

「俺は、ユリウスだ。よろしく頼む。こう見えても武器を作る腕ならピカ1なんだぜ?武器の事なら何でも任せなっ」へへっ、と右手で頬を書いている。


つられて自己紹介をする。

「私はミア。見ての通り、精霊術と召喚術を取ってます。こっちがフェーリ、こっちがアイリスです。よろしくお願いします。」フェーリは「キュウ!」と鳴き、アイリスは笑いながらお辞儀をする。


――落ち着いてから、少し間を置いて思う。


(……あれ何で、紹介してくれることになったの?)

そんな顔でしーちゃんを見ると、しーちゃんは苦笑しながら答える。

「武器と防具の職人と言ったら一つでしょ。みーちゃん? みーちゃんの武器と防具を作ってもらうためだよ?」


ふぇ……?そういえば、まだ私初期装備のままだったけ……

あんまり気にしてなかったなぁと冷静に考える。


そして、お願いしたい……という気持ちよりも先に言葉が口に出る。

「あっ……でも私、おルクセントありませんよ……?」

と、困った顔をすると、ユリウスが大丈夫だっ!! と胸を張る。


「後払いでいいぜ……いつでもよ!! 素材はシオンが取ってるからな。加工費だけだ。それなら別に今じゃなくてもいいぜ……というか、むしろ条件を付けて無料タダにしてもいいぐらいだ」とユリウスが語る。


ノヴァもうんうんと語っている。


シオンはニヤニヤとその様子を眺めているだけだった。


「えっと、一応聞くだけ聞きますが……条件とは何でしょうか……」

恐る恐る口にすると、ノヴァがニヤッと口の端を吊り上げ先ほどとは人が変わったようにしゃべり始める。


「フフッ。ミアちゃんは可愛いい!フェーリちゃんとアイリスちゃんも可愛い!! それが答えよ!!」

……ん?どうゆう事?あまり事態が読めずキョトンとしてしまう。


「つまりね、3人で私が作った服を着て……SSスクリーンショットを取らせて欲しいの!!」

息を荒らしくして、ノヴァは答えた。


その様子をみて、ユリウスが手で顔を抑えながら答える。

「姉さん……キャラ変わってるぞ……また。いくら可愛い物好きだっていきなりSS取らせろって言ったってわからないだろ……」

困った姉だ!というような顔をしながら続ける。


「あぁ、シオンがな……素材は私が集めるって言った後、お金の事譲歩してくれって言ってきたんだが……その時に、ミアさんが召喚術師だって聞いてな……その、つまり――なんだ。」

歯切れ悪くユリウスが言う。


「その召喚獣と精霊とともに、俺の姉……ノヴァが作った服数着を着てSSを取った後。それを公開してもいいなら、タダでいい……っていう事だ。」


……公開?まだ展開が読めていない私にノヴァが勢いで押し切ろうと、詰め寄ってくる。


「つまり!! ミアちゃんにね!! 私達のお店の看板ガール。やってもらえないかな!今回だけでいいから!!」


そこで、やっと事態を把握する。

「……えっと、嫌で……す?」その言葉を聞いたノヴァは、『どうしてもだめ?』と上目遣いで私を見上げてくる。

……困ったようにシオンの方へと助けを求めると、しーちゃんは、引き受けちゃえばいいのに……と残念そうな顔をしている。

――このために紹介したの!? としーちゃんに突っ込みを入れたくなるのを我慢する。


「姉さん、やっぱがっつきすぎだろ。初対面なの押して押してじゃ……逆に引くだろ。」

肩をすくめながら、ユリウスは言う。


「すまんな……ミアさん。でも少しは考えてくれないかな……また後日お願いするから……その時に答えを聞かせてほしいな。」

あと、それまではこれを使ってみて。ちょっとした先行投資だ。


そう言いながら、武器の薙刀と手袋、白をベースとして、周りに青い花模様が少しちりばめられたワンピースを渡された。

「えっ、いや……」そこまで、言いかけ、ユリウスを見ると両手でゴメンという形をとる。

「今日は、姉さんがこれだからまた、出直すよ。フレンド申請いいかな……?」


「いいですよ。たぶん断ると思いますが。」そう言いながら、私はユリウスとフレンド登録をした。


その様子を見てたしーちゃんは、「せっかくみーちゃんの可愛い姿見れると思ったのに……」とブツブツ呟いていた。

生産職の2人登場です。

初対面でこうぐいぐい来る人はなかなかいないと思います……

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