1:ようこそWFWへ
ゲームが好きな私が書く趣味全開の小説です。よろしくお願いします。
※7月5日22時半ごろ修正。久々の執筆に仕様を勘違いしてましたよろしくお願いします。
物心つく頃から私は、おとぎ話や夢物語に憧れていた。
お姫様を救う勇者に、色鮮やかな魔法を放つ魔法使いの話。
精霊がいる世界--人間とは似て非なる種族がいる世界。
可能ならば今すぐそんな世界に飛んで行ってしまいたい。
そんな思いは時間が経つにつれ薄れる……ことはなく、次第に強く募っていった。
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そして……私が生まれて、15年と半分の歳が過ぎた頃。
世間では、次世代型インターフェース『UnisonCore』--通称:UCを使った一つのゲームが世間を騒がせる。
そのゲームの名前は『Where to be free World』--通称WFW
そのCβTを経験したプレイヤーがニュースや各ネット掲示板で証言した一つの言葉によって。
『その世界は、夢で描いたような世界で――どうしようもなく心が躍ったんです!』
正直……この手のゲームでよくある、サクラなんじゃないかと当初は思っていた。
けど、調べれば調べる程……WFWの世界に惹き込まれていった私は、このゲームを始めてみよう!! と購入を決意していた。
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それから--さらに半年の時間が過ぎ、私の16歳の誕生日を迎えた次の日。
そのゲームは世界に向けて産声を上げた--WFWの発売である。
あいにくその日は平日で、学校があったため開始とともに始めることはできないが……一緒にWFWをやろうねと、約束した友達とCβT時の情報を調べながら退屈な時間を過ごした。
・まるで異世界にいるような感覚である
・誰もが一度は夢見るようなファンタジーの世界
・AIですら生きていると錯覚するほどの作り込みよう。
・なにより魔法が使える≪ここが重要≫
……と大事な情報を整理していく。
そんな話を一日中話しながら過ごしていると――あっという間に学校は終わり、あたりは夕暮れ時になっていた。
浮き立つ心を、必死に落ち着かせながら、友達とゲーム内で落ち合う約束をして帰路を急ぐ。
家に帰ると、学生服もそのままに早く早くと心を急かす。
前の日に誕生日プレゼントとして買ってもらったUCとWFWのパッケージを破り装着……そのままベッドへと体を横にし、ゲームのスタートボタンを押した。
瞬間--暗転していく視界に身を任せ、私は眼を閉じた――何秒ぐらいの時間が経っただろうか。
ふと吹き抜けていく風の感覚に目を開けると――そこにはどこまでも続く草原、そして青空が私の目に飛び込んできた。
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飛び込んできた景色の次は、どこからともなく凛と透き通った声が聴こえてきた。
『ようこそ!! Where to be free Wolrdの世界へ――これからキャラクリエイトに移ります!あなたの目の前にこれから出現する珠に触れてください』
目の前に広がっている現実世界では、到底目にすることができない景色に目を奪われながらも、フッと現れた淡く光る珠を両手で触れる。
まだキャラクリエイトも始まっていないのに……どうしようもなく私の心は踊っていた。
それから光の珠は、徐々に私の体を包んでいく――全身を包み終わると『そのまま少しお待ちください』と凛とした声が再度聴こえた。
それから――2、3分の時間が経つと『次のステップに移ります!』と私の体を包んでいた光が目の前に移動し、現実世界のベッドで眠っているであろう私と瓜二つの姿を映していた。
『まずは、あなたのPNを決めてください』と促される。
んー……と考える。本名をそのまま使うのはなぁ……かといって、友達と友達にわかりにくい名前にするわけにはいかないし……。
結局、水無月 灯莉……少なくても、私の本名をすこし弄って名前を考える事にした。
……4、5分の間名前を考え、これだ!と決めた名前を打ち込む。≪ミア≫--なんて安直なんだろう……そうも思ったけど、これはこれでいい響きじゃない!と満足する。
次は容姿の設定。
現実世界では、155cmと周りと比べるとやや小さな身長。
周りに比べて胸は控えめ……いやBカップぐらいあるんだっけ……とやや考えを脱線させる。
元々この世界をリアルの私に近い容姿で楽しみたい!という思いから身長はいじらないと決めていた。
その代わり、目の色を明るい緑色に弄り、髪の色もスミレ色に近くなるまでいじった。
どちらも私が好きな色だからなんだけど。
髪型はあまりいじる必要ないかなと、現実世界の髪型と同じ、背中に届くか……届かないかぐらいのロングを反映させる。
また、眉や目まつ毛、鼻の位置・輪郭の微調整ができた為。
少し腫れぼったく見える目をぱっちりとさせる。
それから何度も息を吸って鏡を見て確かめ、うんと首を頷きOKボタンを押す。
『アバターの設定を完了……反映します!! 次に技能の設定に移ります』
そう告げる声とともに、ステータス画面が開きスキル設定という画面が移る。
初期に決められる技能は全部で10個。
ステータスは初期値が設定されていて、この世界の中で取得したスキルや称号、就いた職業といった情報が反映されLvアップ時のステータス上昇量が変わる。
また――前述した事からわかるようにこの世界では初期キャラクリエイト時に職業は決まらない。
この世界の中に存在しているギルドに登録して初めて職業が決まるらしい。
なので最初は≪冒険者≫というのがステータスに刻まれている。
それをしっかりと確認した私は元々決めてあったスキルを選んでいく。
『まずは(棒術)(精霊術)(水魔法)(支援術)(召喚術)』でしょ……
それは昔から使えたらいいな!と思っていた魔法だった。
あと5つは何にしよう……そういいながら、スキル情報欄をスクロールしながら確認していく。
――きっとあるはずなんだよなぁ……と思う頃には、お目当てのスキルをまた1つ見つけていた。
『言語(精霊言語)』これは絶対取らないとね……
流石どこまでも自由と歌うだけはあり、数百数千ともいえるスキルが目に目に映り目眩がしてくる。
――適度に休憩を取りながら、残り5つのスキルを選んでいく。
結局、数十分の時間をかけて『(鑑定)(採取)(気配察知)(細工)』のスキルを取り選択を完了する。
魔法スキルだけでもまだまだあったのだけど……それはスキルの取得数が増えてからに回そう。
このゲームはスキルレベル(SL)を一定レベル上げる事で、スキルポイント(SP)が増えスキルの取得できる数が増えていく……またスキルによっては上位スキルが発生したり、そのスキルからさらに別のスキルへと派生させることができるらしい。
初期のスキル数は10/10となっているが、きっと10/11なんて上がっていくのにも一喜一憂するんだろうなー……と思いながら、スキルの決定ボタンを押した。
凛とした声で最後に尋ねられる。
『以上で、あなたのキャラクリエイトを終わります。本当によろしいですか?』
勿論!もう一度OKを押してキャラクリエイトを終わらせる。
そしてまた、凛とした声が流れる。
『以上でキャラクリエイトを終わります。この自由な世界をどうぞ、ご堪能ください』
そしてもう一度目の前が暗転した。
そして、明るくなっていく世界に目を凝らすと……光の文字でこう書いてあった。
『ようこそ、WFWへ!!』
その直後、大砲のような音とともに、夜の空に大きな花が咲く……
そして直前まで静寂だった世界に、大勢の人のにぎわう声がこだました。
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