迷い込んだのは無能力者
「それではこれで手続きは終了となります。圭吾君、明日からの新しい学園生活。頑張ってくださいね。」
正式な入学手続きが終わり今日から寮での生活が始まる。
「俺の部屋は…703号室か、それにしても広いなぁ〜…」
さすがは有名校。寮というよりまるでホテルだ、迷ってしまっても仕方ないだろう。
エレベーターで上まであがり部屋へ向かっていると背後から
「あっ、もしかしてあなたが転入生くん?」
ピンク色の髪をした背は低めの少女が話しかけてきた。
「私隣の部屋の乙音響だよ!よろしくね!」
「や、弥生圭吾。よろしく。」
さすがは都会暮らし…おしゃれなアクセサリーをバッグに沢山つけており、よく見ると頬が薄桃色している、メイクしているのだろうか。
「ちなみに〜、なんと私と同じ1年E組なのでーす!」
「へ、へぇ、そうなのか。ならますますよろしく頼むよ。」
「んふふ〜、ところで圭吾君はどんな能力なのぉ?」
「えっ?あっと俺の能力はなぁ……はっ?」
「ん?」
「あのさ、響さん…俺ずっと田舎暮らしでさ。その、能力?ってよくわからないんだけど〜…?」
能力?あれか、もしかして学力や運動神経のことを言ってるのだろうか?それとも趣味か?特技か?
あれこれ考えてる俺に向かって響は俺の想像の遥か斜め上をいく発言をした。
「だってこの学園、異能力持った人だけが集まるんでしょ?」
あ〜、異能力かぁ。そうかそうか……
「は、はああああっ!?」
「ふぬっ!?ど、どうしたのさぁ圭吾君〜」
「ちょ、能力なんて俺持ってないぞ?スプーンを曲げることもできないし透視なんてもっとできねぇよ!?」
「えぇ!?史上初の転入生って聞いたからすごい能力持ってるかと思ったのに!?」
〜少年少女混乱中〜
「つまりまとめるとこういうことだな…。」
この学園は超能力を持った生徒を育てるところで、その中に何の能力も持ってない俺は何故かこの学園に来てしまったと。
「超能力じゃなくて異能力ね。ふ〜ん、これは学園側の手違いだったりするのかなぁ。」
「はぁ、初日から散々だな…まぁまた今度学園の方に頼んで確認してもらうか。いつまでもこの学園にいるわけにはいかないからな…。」
恐らく宛先を間違えたとかそういうことだろう。本当の学園生活は少しばかり遅れそうだ…。
そんな中響はまたもや俺の想像とは裏腹にとんでもないことを口にする。
「う〜ん…でも多分君はもうこの学園から出られないんじゃないかなぁ…あはは。」
「……まじすか。」