Dr. みそじ 序章
「ニートやフリーターに国の救済を!」なんて叫ばれてから数年が経過した。
30代に突入した彼らの一部は、おそらく働き盛りで努力さえすれば企業から引き手数多の20代前半からその道を行くベテランだろう。
なぜそんな奴らに救済をしてやらんと駄目なのか。
あげく、声高にニート・フリーター政策を叫んでいた国会議員は、今やTVタレント。
国会議員からTVタレントへの転身なんて、フリーターとほぼ変わらないのではと思うのは私だけだろうか。
かくいう私の転落人生は華々しい。
一浪の末地方公立大学へと進学し、一留の末に二流大学を卒業。
その後、就職活動を伸ばしに伸ばした結果、遂に最高学府の博士課程まで突入。
幸い博士課程で上京は果たしたものの、学位が取れるかどうかわからないので就職活動は卒業間際から開始。
そこでようやく、現実と向き合う事になる。
生年月日に自分の出生年がない。
もはや、問答無用で受け入れられない。
それが、30歳である。
理系の最高学府まで行き、この国の将来を担う科学技術の修練を積んだこの私が、
高学歴ワーキングプアである。
いな、高学歴職なしである。高学歴ノーワーキングである。
事実は小説よりも奇なりとは、良くいったものだ。
これが、小説を書かずにはいられるだろうか。
いな、現実逃避以外になすすべはない。それが現状だ。
コーヒーを片手に、自宅に引きこもり、黙々とパソコンと向き合いながら現実逃避に走る。
これが、30歳である。
ゆとり教育を受けたわけでもない。
円周率だって3.14で習ってきた。
しかし、30歳である。
こんな私に約束された将来がやってくるとは思えない。
が、無情な程に太陽はまた昇って来る。
To be continued...