第三話 「友達」《一稀》
「どういうことだよ?」
川本がそういった。僕は返答に詰まった。
「なんで開いてんだよ? 鍵、盗んだのか?」
「あぁ、そだけど」
諦めて罪を認める。やつは少し眉間にシワを寄せてから考える素振りをした。
「一稀、こいつを知ってるか?」
彼はさっき入ってきた女の子に指を向ける。まだ息を弾ませていたがしっかりとした目でこちらを見つめている。
「知らないけど、何?」
「……少しは目上の人への言葉遣いを考えろ」
「はい。……それで、なんですか?」
川本は「偶然か」とつぶやいてから「あ、そっか」と一人で納得して
「お前、友達になったらどうだ?」
「へ?」
思わず変な声が出てしまう。僕は彼女の方を向いた。彼女も驚いて顔を真赤にしながら足元のコンクリートの破片を蹴っていた。
「な、なんでですか?」
「いや、お前友達いないだろ。同い年位のはずだが」
「あー、えと、名前は……」
「水森美咲だ。水の森に美しく咲くと書く」
……呼んでみるか。緊張するな。
俺はすぅーっと息を吸った。そして――
「……美咲さん?」
「え? は、はい!?」
彼女を呼んでみると飛び上がって驚いた。
「えと……よ、よろしく」
「あ、うん。……そっちの名前は?」
彼女は目線を下に向けてもじもじしながら言った。
「夏野一稀。よろしく……」
「うん」
なんだか不思議な感覚だった。
「おぉ、青春だなぁ。それじゃ」
川本はひとしきり頷いてからそう言って白衣をひるがえして立ち去ってしまった。つくづく勝手な奴だ。
僕は彼女の方を向いた。彼女と目が合う。……やっぱり綺麗な子だな。
その時、横から風がびゅーっと吹いた。彼女のパジャマがパタパタと舞う。
「あのさ一稀くん、もしかしてさ、死ねない……の?」
彼女が躊躇しながら訊いてきた。僕は黙って頷いた。
「ちょっとさ、話さない? 私、いろいろと話したいことがあるの」
「いきなり? 他人同然の僕に?」
「あっ……ごめん。そうだよね……」
彼女は重い病気でも抱えているのだろうか。だとしたら少しでも話して気を楽にさせてあげた方がいいかもしれない。僕の薄い人生経験から導き出した。
「いいよ、話そう。お互いのこと、知らなきゃ友達なんかやってられっかだよね」
「あはは……そうだよね」
そう言って僕らはフェンスにもたれ掛かりながら話をすることにした。
こんにちは、まなつかです。
最近、暖かくなって緑も多くなりましたよね。
いいですよね。もうそろそろ春です。春になったら取材で田舎に行きます。(ここも十分田舎ですが)
受験? 知りませんよ。あははは。
この物語は、あきようが設定をがーっと書いて僕が書いています。
漢字一文字でも十分に妄想できる、変態です。なので4KBもの設定があれば十分ですよ。
それではっ