第7話 時空間からのしっぺ返し
ヴィクター「やっぱおかしいぞ。俺の記憶では、8年前のルミナスシティはもう戦争に巻き込まれている。」
博士はしばらく考えたあと、ハッと気づいたような顔をして部屋に積み重なった資料の山をガサゴソと漁り始めた。
博士「........。あぁ、なんということだ。ずっと考えていても分からなかったが、この欠けて解読ができない部分.....。なんということだ.....。」
ヴィクター「おい、どういうことだ!説明しろ!」
博士は古文書をヴィクターに渡した。
博士「どうやら私は少し早まりすぎたようだ。取り返せないミスを犯してしまったかもしれない……..」
ヴィクター「何が言いたい?」
博士「世界線が変わってしまったようだ……….。いや、正確には君からすればなのだが………..。」
“君から元の世界を奪ってしまったかもしれない。”
ヴィクター「なるほど、俺にも話が分かってきた。」
博士「鏡を通した光情報の時間移動には世界線の変動が伴う…….
これこそが、この古文書の読めなかった部分の内容……..というわけか。」
ヴィクター「あんたには悪いが、俺は元の世界に戻りたい。家族だっているんだ。その家族を置いていくわけにはいかない。」
博士「そうだ。物理学者の友人から聞いたことがある。その世界にいた人間が元いた世界に戻らなければ、君のいた世界が消えてしまう可能性すら出てくる。だが……..やっと現れた希望が行ってしまうのは少し惜しいな……」
ヴィクター「あんたはこの装置を作れるまでになったじゃないか。世界線が変わってしまったとはいえ、この装置は成功しているわけだ。そのうちすごいメカを作るだろうよ。」
博士「ありがとう……..。失敗してしまったが、落ち込むにはまだ早いな。君を元の世界へと戻そう。よし、作業に取り掛かるぞ!」
装置が作動され、キュオーーーンという音が鳴り響き、研究室が青色の光で満たされる。
博士から焦りが消えたような気がしたので、ヴィクターは少し微笑んだ。古文書の束から一枚の紙がヒラヒラと床に落ちた。ヴィクターはそれを拾い上げて、何が描いてあるのか見てみると…….。
ヴィクター「なあ!これはあんたが描いたのかい??すごいイカした衣装じゃないか!」
博士「これは、(懐かしむように。)この古文書に書いてあることから可能と考えられる装備や武器、それを息子の好きだった異国の忍者と呼ばれる人間たちの服装と重ね合わせたものだ。」
博士(もうすぐお別れだ。)
ヴィクター「聞いたことあるぞ!ニホンってとこのすげぇ奴らだろ??ニンジャか………(何か閃いた様子で)これ、貰ってくよ博士!」
博士「あ、ああ。」
博士(名前を聞こうと思っていたのだ。)
ヴィクター「向こうの世界のあんたはきっと救われるだろうぜ!この俺、BLACK NINJA様の手によってな!!我ながら良い名前思いついちまったな。」
博士「(クスッと微笑みながら)もし向こうの私に会ったら、しっかりしろと言っておいてくれ!!」
博士(名前を……)
ヴィクター「ああ!分かったよ!ガツンと言ってやる!」
博士(今しかない!)
博士「君の名前は!名はなんという!」
博士(間に合うだろうか)
ヴィクター「俺の名前はヴィクター・クロウだ!!じゃあな博士!!」
青色の光がヴィクターを包み込み、鏡がそれを吸い込んだ。(そう見えている。)小うるさい軍人はいなくなり、残ったのは老人一人。博士は振り返るように言った。
博士「BLACK NINJA…….か。」
その日の夜、博士は眠っていた。静かな街にシュルシュルシュルという音が響き渡る。博士は何か視線を感じて、目を開けた。そこにいたのは、影に目がついたような人間に翼のついたモノと一緒にいる男だった。
影のようなモノ「クックックク。こいつだろ?お前が探してたの。」
??「ああ、そうだよ。感謝するよ。見つけてくれて。さて、おじさん。もう片方の古文書を渡してもらおうか。」




