第13話 スペキュラオスの試練(後編)
ヴィクターは照明室に入った。もちろん、まだ電気をつけていないので暗いままだ。ヴィクターがレバーを下げると、電気が付いた。影が全て消えたのを確認して、ヴィクターは部屋の中央で合掌をした。
次に目を開けると、そこには真っ白な空間が広がっていた。
ヴィクター「流石に何もなさすぎて寂しいぞ.....ここで本当に神様と会えるのか??」
ヴィクターが上を見ると、雲一つない青空に3つの太陽が浮かんでいた。正三角形を形作っているようだ。
ヴィクター「太陽が3つ......??」
ヴィクターがその太陽を不思議そうに見ていると、
その太陽がヴィクターの目の前にゆっくりと降りてきた。
ヴィクター「な、何だ!?ただの太陽じゃないのか??」
??「そうだ。ただの太陽ではない。」
ヴィクター「声が聞こえてきたぞ!?アンタか!アンタがスペキュラオスか!!」
正三角形を形作る3つの太陽が高速に回転しながら中心に向かって光線が発射された。すると、その光線は人型の"ナニカ"を生成した。
ヴィクター「随分と尺を取るご登場じゃねぇか....」
スペキュラオス「やはりこの姿はしっくり来ないな。」
スペキュラオスは少し姿を変え、正三角形を形作る光る3つの目、体長がおよそ3mの巨人へと姿を変えた。ヴィクターはそれを見上げて、少し怖がっているようだった。
スペキュラオス「美少女が良かったか??残念だが、私にそういった趣味はない。」
ヴィクター「あ、ああ。少しビックリしただけだ。」
スペキュラオス「恩恵を授けるための試練だったな。」
ヴィクター「知ってたのか??」
スペキュラオス「私は全てを見る。全てを知る。お前が何故ここに来て、ここに来るまで何があって、これから何をするのかも。現時点で、だがな。」
ヴィクター「何も聞かないでおくよ。未来のことを知るってのはロクなことが起こらないからな。」
スペキュラオス「賢明な判断だな。私はさっきも言った通り、君のここまでを知っている。試練などをする前に合格のつもりだった。」
ヴィクター「おお!!じゃあ恩恵をくれるってことか!!」
スペキュラオス「ああそうだ。恩恵を授ける。だが、その前にだ。忍者を名乗るのだろう。ならば、忍者の戦闘技術を知っておくべきではないか?」
ヴィクター「随分と手厚く指導してくれるんだな。」
スペキュラオスは思い返すように空を見上げた。
スペキュラオス「影の古文書を悪用する者。エイゼン・ウォーカーを倒してくれるというのは私からしても有難いことなのだ。見ての通り、私が倒そうにもこの空間から出ることはできない。」
ヴィクター「なんか深いワケがありそうだが、今は聞かないでおくぜ。その忍者の修行とやらをさせてくれ!!BLACK NINJAの名に相応しくなきゃな!!」
スペキュラオス「おかしな名前だ。だが面白い。時間ならたっぷりあるからな。さあ、修行開始だ。」
そう言うとスペキュラオスはヴィクターと同じくらいの大きさになり、忍者の格好をした人間に姿を変えた。
ヴィクター「受けて立つぜ!!」
レイと博士とルミノアが昼食を食べている頃に照明室の方から叫び声が聞こえた。
ヴィクター「よっしゃああああああ!!」
3人が照明室の方に集まった。心配そうに話しかけている。
レイ「ずいぶんと長かったね??」
ルミノア「試練は合格したのかしら....」
博士「向こうで何があったのだ!?」
ヴィクターは立ち上がって、こう言い放った。
ヴィクター「少し修行をしててな....。しかし疲れたな。変な感じだ。体は疲れてないのに.....」
レイ「修行…!?試練はどうだったの??」
ヴィクター「ああ、それなら顔パスだったよ....。なんか言ってたけどあんま覚えてないな.....。」
ルミノア「丁度お昼ご飯を食べていたところだったし、食べましょ!ね!」
ヴィクター「ああ、そうするよ。」
疲れ切ったヴィクターだったが、向こうの世界で過ごした時間の会話や修行も全て頭は覚えている。翌日のヴィクターの変わりようと言ったら凄まじかった。




