にんにくの香る名作──:『風と共に去りぬ』が語り継がれる理由
#人類を変えた足跡シリーズ物語 第四十九回
1939年12月15日
『風と共に去りぬ』初演
アカデミー賞では合計で10部門を受賞しており、映画史の教科書や参考書に広く収録され、主要な映画学校の「必見リスト」に名を連ねるこの作品。では、映画が「偉大」と呼ばれるために、他に何が必要だろうか。
分かりやすい答えの一つは──逸話やゴシップが豊富であることだろう。疑いなく、『風と共に去りぬ』はその条件を満たしている。1939年12月15日のアトランタでの初公開以来、この傑作にまつわる逸話や裏話は世代を超えて語り継がれ、ファン同士の“通じ合う合言葉”のようにもなっている。大スクリーンでVivien Leighの姿を直接見たことがない人でも、「彼女はこれほど美しいのに、このような演技力も持ち合わせている。本来は美貌か演技のどちらか一方で十分だろう」といった有名な評は耳にしたことがあるはずだし、キャスティング争いで彼女が約1400人の候補者の中から選ばれたという話もよく引用される。
本編の長尺(およそ4時間)を全部観る必要はないが、メイキングの逸話はぜひ押さえておくべきだ。銀幕で映画史に残るキスを演じたClark GableとVivien Leighは、撮影現場では犬猿の仲だったと伝えられる。両者の相互不快感は、キスシーンの前に相手をにんにくや葉巻の匂いで牽制しようとするほどにまで達していた──というのが有名な話だ。
この件については広く伝わるバージョンがあり、Gableの葉巻やにんにくの匂いでVivien Leighが口を開けられなかったという話がある一方で、Vivien Leighが報復のために敢えてにんにくを食べたという説もある。誰が実際ににんにくを食べたのかは、映画史上いまだ解決されていない一種の“未解決事件”のままであり、この恋愛映画の古典にはどこかほのかな「にんにくの香り」が漂い続けているのだ。こうした些末な逸話こそが、私たちを時間と光と影を越えて、より具体的で生き生きとした歴史の現場へと連れ戻してくれる。
結局のところ、私たちの歳月や生活を照らすのは、映画館の金色に輝く殿堂だけではない。乱世も、佳人も、そしてにんにくも、そこに一役買っているのである。




