見えない声に寄り添うために──子どもの権利を考える
#人類を変えた足跡 シリーズ物語 第三十六回
1959年11月20日
国連総会が「児童の権利に関する宣言」を採択
私たちは今日、子どもを守ることを当然のことと考えがちだが、人類の歴史の初めからそうであったわけではない。実際、20世紀初頭でも、子どもが大人と同じように危険で不衛生な環境で働くことは珍しくなかった。
第一次世界大戦後、1924年のジュネーブ宣言の公布により、「ジュネーブ児童の権利に関する宣言」が国際的に宣言という形で初めて提起された。そして第二次世界大戦後、国連が1959年に採択した『児童の権利に関する宣言』は、この理念をさらに広く深く浸透させた。
この宣言は10の原則を掲げ、すべての子どもが人種、宗教、性別、出自などの違いによらず教育を受け、特別な保護と救済を受けられること、見捨てられたり搾取・虐待されたりしないこと、そして健やかに成長できる環境を持つことを明確にした。
厳密にはこの宣言自体に法的拘束力はないが、人権理念が普及・発展する過程において各国の児童への関心を高め、子どもの権利を法的に保障する最初の国際条約である『児童の権利に関する条約』(1989年採択)の成立を促す重要な原動力となった。
今日では当たり前に感じられるこれらの理念も、世代を超えた有識者たちの努力の積み重ねによって築かれてきたものである。それらは心に留め、繰り返し確認していく価値がある。




