『Nature』創刊の日──人類が歩み続ける「知の道」
#人類を変えた足跡 シリーズ物語 第二十九回
1869年11月4日
イギリスの科学雑誌『Nature』の創刊号が世に出た。
「自然! 私たちは彼女によって取り巻かれ、いだかれているーーそれから脱け出ることもできず、そのふところにより深く入り込むこともできない。」
――およそ二百年前、詩人ゲーテはこう詠んで、自然の偉大さと神秘を讃えた。
半世紀のち、科学雑誌『Nature』の創刊にあたり、生物学者トマス・ヘンリー・ハクスリーは、このゲーテの詩を引用した。
彼は詩人の言葉に深く共鳴し、こう述べている。
「今日、我々が最先端と呼ぶ科学も、五十年後には常識となっているだろう。
そのときの人々は、微笑を浮かべながら、我々の努力を振り返るに違いない。
なぜなら、彼らもまた、我々と同じく、絶えず前へと歩み続けているからだ。」
――そしてさらに百年以上が過ぎた。
ゲーテとハクスリーの言葉どおり、『Nature』の誌面を飾った数々の発見――相対性理論、X線、プレートテクトニクス、DNA二重らせん構造、クローン羊ドリー――はいずれも当時、世界を揺るがせた「革命」だった。
だが今では、それらの多くがすでに「常識」となっている。
もちろん、のちに誤りと判明した理論や仮説も少なくない。
それでも私たちは、ゲーテやハクスリーの言うように、前人たちの試みを微笑みと敬意をもって見つめることができる。
なぜなら――
私たちもまた、彼らと同じ道を、ひたすら歩み続けているからだ。




