1917年10月31日 — 騎兵が見せた最後の謝幕
#人類を変えた足跡 シリーズ物語 第二十七回
世界で最後に成功した騎兵突撃
1917年10月31日、第一次世界大戦の中東戦域──現在のイスラエルにある都市ベールシェバにて。オスマン帝国の火砲28門、機関銃9挺、及び飛行機2機を前に、オーストラリアの第4および第12軽騎兵旅団が突撃を敢行した。
それ以前、彼らは牧場の人々やゴム採取に従事する労働者だった。祖国の平原でウォンバットやカンガルー、イノシシを狩り走った者たちが、今は鞍にまたがり、銃剣を付けた銃を掲げて前へ進み、敵の機関銃や砲を鹵獲した。
オスマン帝国は撤退を余儀なくされ、最終的にエルサレムを放棄した。これが中東戦線における協約国側の転機となったのである。
ベールシェバの戦いは、人類の歴史における最後の大勝利を収めた騎兵突撃と考えられている。軍馬は数千年にわたり人類の戦場で最も重要な相棒であったが、ここでその栄光の幕を閉じた。
20世紀は、様々なかたちの凄惨な戦いを目撃した。戦車に、航空母艦に、爆撃機に、そして原子爆弾──それらが主役を張る時代である。軽騎兵の古典的で物悲しい背影は、より速く、より高く、より強い近代兵器の圧倒的な力の前に、もはや抗する術を失った。
しかし今、二度の世界大戦を経た人類はようやく平和を迎えた。武器は倉に収められ、馬は草地へと放たれ、選択の余地のなかった人々とその愛馬たちは、もはや大規模に戦場で命を落とすことはない。
しかし、戦火の煙は消えたわけではない。地球のあちこちで、今日もなお血と涙が流れ続けている。




