シドニー・オペラハウス:反発と賛美の狭間で築かれたシンボル
#人類を変えた足跡 シリーズ物語 第二十三回
1973年10月20日
物語は一つの設計コンペから始まる。オーストラリア州ニューサウスウェールズ政府は、シドニー湾のベネロング・ポイントにオペラハウスを建てることを決め、世界中から優れた設計案を募集するコンペを開いた。
デンマークの建築家 Jørn Utzon は、あらっぽくも天才的なスケッチで最終的にシドニー・オペラハウスの設計を任されることになった。
しかし工事は順風満帆ではなかった。独特の形状が建設上の難題を次々と生み、工事費は膨れ上がっていった。政府は度重なる追加出資を迫られ、国会で首相が弾劾される事態にまで発展した。そして Utzon 本人もこのプロジェクトを去った。
1973年10月20日、17年の歳月を経てシドニー・オペラハウスは完成し、建設費は当初の約14倍にまで膨らんだ。
建築界では論争が今日に至るまで続いている。斬新だと称する声もあれば、真に卓越した革新的建築だという声もある。議論は絶えないが、その圧倒的な美しさに驚嘆しない者はいない。巨大なシェルは蓮の花びらのように空へ向かって開き、碧い海の上に華麗に咲いている。




