世界初のインスタントラーメンが誕生
「人類を変えた足跡」シリーズ物語 第一回
1958年8月25日
1948年の冬、日系台湾人の安藤百福は電車で大阪の梅田黒市を訪れました。駅で目にした光景が彼を突然考え込ませました。労働者たちが一碗のラーメンを食べるために、屋台の前に20~30メートルもの長い行列を作っていたのです。彼はふと思い浮かびました。「大量生産で、すぐに調理できる乾燥麺を作れたら、人々が自分で簡単に湯を注いで食べられるようになる。きっとビジネスとして大成功するはずだ」。
安藤百福が目指した乾燥麺はシンプルなものでした:安全で、速く食べられて、安価で、常温で長期間保存できるもの。しかし、このシンプルな目標を実現するために、彼は整整10年間考え続けました。最終的に、妻が「天ぷら」を揚げる様子からヒントを得て、「瞬間熱油乾燥法」を発明しました。この方法で揚げた麺は表面に細かい穴ができ、熱湯を注ぐだけで水分がすぐに内部に染み込み、麺の弾力が復元されるのです。
1958年8月25日、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」が発売され、価格は35円でした。同年12月、安藤は日清食品株式会社を設立し、その後、日清の全商品に製造日を記載する革新的な取り組みを始めました。これにより、長く保管された商品が誤って食べられるのを防ぎました。それまで、世界に製造日を明記した食品は存在しませんでした。
今もなお、このチキンラーメンは日清の最新商品ラインに並び、半世紀を超えてロングセラーとして人気を博しています。彼の死後、大阪には安藤百福インスタントラーメン発明記念館が設立され、このインスタントラーメン発明者の功績を称えています。