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過去改変に消えたタイムリープ主人公の代わりに、この時間軸に取り残されたドン底不幸なヒロインを救う  作者: でい
第五章 - エピローグ

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最終回 ラブコメ

 ある週末。

 繁華街のカラオケに集まっていた。

 メンバーは僕を含めて四人。

 汐見さん、凪瀬、それと波留充希。


「凛人先輩。呼んでくれて、ありがとうございます……っ」

「うん、汐見さんがぜひ誘ってほしいって言うから」

「ミオちゃん本人が!?」


 波留はのっけから号泣していた。今日の私服は推しコーデらしい。黒髪眼鏡の見慣れない汐見さんフォトが入ったアクキーをリュックにジャラジャラつけてきた。


「ミオちゃんの引退はつらすぎですけど……限定生ライブを最前列で見られるなんて、いっきに昇華できちゃいます〜っ!」

「ふぅん、そのまま天に召されたら?」


 地雷系ファッションの凪瀬が相変わらず茶々を入れる。もう前世のことは清算しようよ。


「充希ちゃん、ありがとう。来てもらえて嬉しい」


 マイクを握った汐見さんが微笑みかける。

 波留の意識がスーッと抜けていくように見えた。目を擦る。あ、やっぱり抜け殻みたくなってる。推しとファンの関係ってすごい。


「グループの曲はカラオケに入ってなくて……私の好きな曲を歌ってもいいかな?」

「「もちのろーん!」」


 サイリウム両手に凪瀬と波留が合いの手を入れる。いつの間に取り出した。


「ねえ、僕の分は? ハッ——すでに刺さってるだと!?」


 フロアの熱気は早くもぶち上がってる。

 僕もこのビッグウェーブに乗るしかない!


「フッフゥー!!」

「凛人、静かに」

「勝手に主役になろうとしないでください」

「えぇ……」


 タイトルが画面に映り、幽玄なイントロが流れる。

 僕らの世代より、少し古い時代の名曲。

 うん、これは落ち着いて聞き入るタイプの曲でした。


「では、聞いてください——」


 汐見さんの喉がゆっくりと震える。

 彼女らしい、透明感のある澄んだ歌声。

 狭い個室は華やかなステージとはほど遠い。アイドル衣装じゃなくて、ラフでシンプルなティーシャツ姿。気取らないいつもの私服だけど。

 とても、輝いてる。


 捧げるために、彼女は歌う。

 その目にはうっすらと涙がにじんでいた。

 この歌が、天国のおばあちゃんとご両親にも、しっかり届くといいな。




 日々の生活が色彩を増している。

 順風満帆といっていい。今がいちばん楽しい。

 いつか変わるときが来ても、たとえ誤解や衝突があっても乗り越えて、もっと楽しい未来が待っている。

 まあ、彼女たちの魅力が迷い道を増やして、ゴールはまだ見えないところにあるのだけれど。


 もし僕が主人公の物語があるなら——。

 きっと、そんなラブコメだろう。




「あっ、これ見て! コスプレ衣装借りられるって。凛人、女装してよ。アメポリ婦警の」

「やだよ。逮捕される側になっちゃうだろ」

「女装するなら、下着、やっぱり買いに行かないとだね」

「……汐見さん、そのネタ引っ張ってくるのやめて?」

「ねぇねぇ凛人先輩、今度一緒に行きましょう。また選んでほしいな」

「ま、またぁ!? 凛人……どーいうこと?」

「鳴海くん、私のときは選んでくれなかったよね……?」

「いや、これには深い事情が」

「あれは、わたしと凛人先輩が中学生の頃……からだの変化に戸惑ってたわたしを——」

「は、波留! その話は——」




『過去改変に消えたタイムリープ主人公の代わりに、この時間軸に取り残されたドン底不幸なヒロインを救う』


 第一部 終わり


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

無事に完結することができました。


第一部とあるように、第二部の構想があります。

一度完結とさせていただきますが、よりおもしろい物語をぶら下げて帰ってきます。

面白かったと思っていただけたら、ご評価をつけてもらえると嬉しいです。

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