走馬灯
前回のあらすじ
新たな仲間とのしあわせもつかの間、突如ミノタウロスが襲来する。
闇野「皆!逃げろ!!」
天国のような空間は一瞬にして地獄に変わった。
桜木「なっ今どういう状況だ!?」
剣「ちっ」
雲隠「は?え?え?」
状況が飲み込めない者、臨戦態勢に入る者そして…
待てこの配置おかしい、俺達のチームだけ逃げにくい位置に置かれている。なら得をするのは必然的に…
闇野「王聖!!」
王聖達がいた所はすでにもぬけの殻で、
王聖「あっバレた?そいつら頼むよ」
そして逃げる者、完全に…
闇野「…はめられた」
神姫「何!?どういう事?」
闇野「王聖達は最初から俺達にあのミノタウロスを押し付ける為に接触してきたんだ」
思えば最初から怪しかった。
なぜそこまで動いていないのに休憩を提案したのか。
なぜ俺達と協力しようとしたのか。
なぜ見張りを用意したのか。
他のチームと協力をする前提なら見張りの必要性がない。
必要があるとすれば第三者をすでに知っている場合のみ。
闇野「もっと怪しんどくべきだったな…」
神姫「何諦めてんの?逃げるわよ!」
そして俺達は走り出した。
雲隠「で?どこに逃げるんだい?」
剣「逃げずに戦え!」
桜木「三対一は無謀すぎる。妹を守るならまず君が生きなければな」
剣「……」
剣は無言でついて来た。
闇野「逃げるならミノタウロス側です。」
神姫「何でよ!?普通逆でしょ?馬鹿なの?」
闇野「このまま反対側に逃げてもこの距離じゃミノタウロスを振り払えない、そうなったら皆捕まりゲームオーバーなら一か八か王聖達が言っていた事を信じて突き進む!」
剣「あいつらは俺達を騙してたんだろ?ゴールがあるかも分からんぞ?」
闇野「どっちにしてもこっちに逃げた方が良いんです。」
俺達はミノタウロスの股下を通ってまっすぐ逃げた
ミノタウロスA・B・C「ボウゥーーー」
俺達を捕まえる為に振り返ったミノタウロスどもはその巨体がぶつかりなかなか進めずにいた。
闇野「ほらね?」
そして俺達はミノタウロスと距離をとる事に成功した。だが…
神姫「あいつらデカいクセに早くない?」
剣「デカいから早いんだろバカが、俺達とは歩幅が違うんだ。」
雲隠「もう僕疲れてきたよ…」
やっぱこうなりますか、あんなのに捕捉された時点で正攻法で逃げるの無理だよな…
闇野「皆は先へ」
俺は立ち止まった
神姫「何バカなこと言ってんの?早く、追いつかれるわよ。」
闇野「おそらくこのゲームには時間制限が無い。このままじゃ全員捕まりゲームオーバーだ、俺が時間を稼ぐから早く行け」
体感24時間立ってるもん、絶対。
剣「お前より俺が残った方が良いと思うが」
闇野「ミノタウロスが3体とは限らない、次が出てきた時対処出来るのはお前だけだ、俺の能力は時間稼ぎが得意だしな。」
桜木「君一人では無謀だ!私も残ろう。」
闇野「先輩覚えてますよね、このゲーム、一人がゴールすれば全員クリアなんです。ゴールを探す人は多い方が良いでしょ?」
桜木「だが…」
闇野「時間無いんで早く行ってもらえます?」
そう言った闇野の目は少し怯えていたが、その中には今までと違う強さがあった
剣「一つ言っておくぞ、お前を倒すのは俺だ、リベンジまで死のなよ。」
剣はそう言って暴れる二人を引きずって行った。
その頃ミノタウロス達も追いついて来て
闇野「お前らの相手は俺だよ、クソ牛ども」
神姫「ちょっちょっと待って!」
全力で走っていた足が止まる。
神姫「なんであいつ置いてってんのよ!あいつ死んじゃうわよ!?」
桜木「闇野くんは基本的に断定をしない、それはおそらく自信が無いからだ。」
神姫「そうよあいつは弱いの!だから助けないと!」
そう言う神姫は今にも泣きそうな目をしている。
桜木「だが今回はそうじゃなかった。あの目は自信の無い陰キャの目じゃ無い。」
彼女の目は不安が見え隠れしている
剣「あの目は俺に似ていた、死んでも目的を達成しようとする強者の目だ。」
そう言った彼の目の中にも強さがあった。
神姫「そんなのダメ!あいつは私の下僕よ?勝手に死ぬなんて、そんなの…」
神姫の目から涙が溢れ出す。
剣「殺したく無いならこんな所で泣くな、俺達が早くゴールを見つければ良いだけだ」
その言葉を聞いた神姫は、はっとして涙を拭った。
神姫「闇野と一緒にあの王聖とかいうやつボッコボコにしてやる。」
桜木が神姫の肩を叩きこう言った
桜木「全面的に同意だ!」
剣「行くぞ。」
皆が歩き出した。一方その頃
王聖「いや、まさかこんなに上手く行くとはね。」
王聖達はのんびりと歩いていた。
アメリ「でも、本当に良かったのでしょうカ?」
眉を寄せ、メアリは心配そうに言う。
王聖「何も問題ないさ、そもそもこれはデスゲーム、命蹴落とし合うゲーム、油断した相手の方が悪いね」
アメリ「それはそうですが…じゃあ、高見くんは?」
月美は気だるそうに言った。
月美「私あいつ嫌いだったんだよね。エロい目で見てくるし、なんか気持ち悪い」
王聖「それに、僕達だってこのステージが終われば敵同士だ、敵の数を減らすのは合理的なことでしょ。」
それは、あまりに冷酷で合理的な回答、普通の高校生から出る言葉ではなかった。
メアリ「……」
正論過ぎて何も言い返せなっかたメアリは、さっき笑顔を交わした、友のせめてもの幸福を祈った。
闇野(あれからどれくらいたっただろうか?攻撃を防いだり、避けたり、もう体力が…)
闇野の能力は鉄壁である。絶対破壊の剣の能力以外では破壊はほぼ不可能、ただ巨大なミノタウロス三匹の攻撃を全て防ぎきれるほど万能でもない。攻撃の余波が闇野のHPをジリジリと削って行く。腕のリングの赤い点滅が命の危機を知らせ、足の痛みが体の限界を訴えていた。
闇野「こんなの無理ゲー過ぎるわ…」
最後の力を振り絞って出した障壁は闇野が走馬灯を見る僅かな時間を作る。
日向「まーた直ぐ諦めて、ほんとあんたは根性なしだね〜」
闇野(これは、記憶?あいつとの)
日向「別に諦めるのが悪いことじゃ無いよ。できないことをやり続けるのはただ辛いだけだからな!でもまだ出来ないと決まった訳じゃ無いだろ?」
闇野(でも無理だよ、俺は、僕は弱いから)
日向「弱いなら弱いなりの戦い方があるでしょ。正面からやり合わず、視点を変えろ」
闇野(やったさ、逃げ回って時間を稼いだ。弱者なりの戦い方だ。)
日向「ただ逃げ回ってるだけじゃ視点を変えたとは言わないな。」
闇野(じゃあどうしろっていうんだ。)
日向「それはあんたが考えんでしょうが!あんたは凄い!なんせ私の相棒なんだからね!相棒になった時の約束忘れて無いでしょうね?あたしの顔に泥塗るんじゃないわよ」
そうやって太陽みたいな笑顔で無理難題を言ってくる、そんな君に憧れた。
闇野(そうだ、僕は…俺は!そんな太陽に泥を塗らない為に!)
闇野「……ハハッ。そうだな、お前の顔に泥塗らねぇ為に!頑張らねぇとなぁ!!」
その時、障壁が息を吹き返す。いや、過去を超える。
ミノタウロスA「ブモォォォォォ!」
ミノタウロスの斧と共に腕が吹き飛んだ。
闇野「能力の強化、前、天使が言ってたっけ。」
天使(能力って自分の得意な物って言う不安定な物だから考え方で能力が強化されたりするんだよ)
ミノタウロスは突然自分の腕が吹き飛び混乱している。
闇野「俺さ、人を拒絶するの大得意なのよ。だからお前達の攻撃も拒絶してやったわ!」
俺の能力障壁は俺の人を拒絶する力を盾として顕現した物。だから、そこに俺の拒絶をさらに上乗せして、ただの盾から反射する盾に進化させる。
闇野「何人かはさ、仲良くなろうと俺に近づいてくれた。でも怖かったから拒絶して、弾いた。それと同じ」
ミノタウロスB・C「ブモォォォォォ!!」
混乱したミノタウロスが渾身の力で攻撃した。
闇野「俺弱いから、普通に戦ったらお前らに勝てない。
だから…
お前らの力跳ね返させてもらうわ」
その渾身の一撃も、全て跳ね返し、ミノタウロスB・Cは消滅した。そしてミノタウロスAは恐怖で動けなくなっていた。
闇野「形勢逆転だなw」
闇野(拳の周りに障壁を、その障壁をなるべく固く、強く、練り上げる。)
そして、その拒絶の塊をミノタウロスに向ける。
闇野「シールド…フィスト」
ミノタウロスを殴る、その衝撃を障壁が反射し、ミノタウロスをえぐる。えぐる物が無くなるまで、決して止まらないえぐる拳
闇野「それが、シールドフィスト。まっもう聞こえて無いだろうけど。」
眼の前の危機が去り、体から力が抜ける。
腕の感覚が無い。
おそらく反射には許容値があるんだろうな。
でも、取り敢えず…
闇野「無理ゲー、クリア」
そのまま意識を失った。
なんとかミノタウロスを退ける闇野、果たして闇野はゴールを見つけられるのか!?
次回物語が大きく動く。




