第6話 ”4の世界” トラベラーのフィーニャ
新しい世界、また入りました!
今度は2人で‼️
目を開ける零士。
目の前にあるモニターに開いた先程の穴は、少し小さくなりつつも開いたままになっている。
そして、その穴から伸びている光る糸のようなものが零士の額に繋がっていた。
{{おお、成功したか!?}}
いきなり、どこからともなくソーンの声が聞こえてくる。
「ソーン?」
{{レイジ!聞こえるか?}}
「うん、聞こえてるけど・・・どうなってるの?」
{{うーん、多分成功なんだが、こういう繋がり方するとは・・・}}
頭蓋に響くソーンの声。
そしてモニターから伸びる光る糸、繋がる零士の額。
「確かに、これやばくないかな?」
{{大丈夫だとは思う。対消滅を考えると既に俺とレイジが繋がってるから消滅しそうなもんだしな}}
「あっ、確かに」
{{とりあえず良しだな。状況的には多分だが、脳内の使われていない部分に間借りさせてもらってる感じだな。これで意識の《共有》はクリアだ。これで次の段階だ}}
「次?」
{{レイジ、指を1本立ててくれ}}
「は、はい」
言われるがまま、右手の人差し指を立てる。
すると?
{{いくぞ!〘トーチ〙!!}}
「うぅっわっ!!」
ソーンはいきなり脳内から呪文を発動。
心臓辺りから人差し指の先に電流のようなものが走り、指先から小さな火が灯った。
「うっそ、火が出た」
{{おぉ、成功成功!思った通りだ。俺の魔力球から魔力を供給出来るから他の世界でも魔法が使える!}}
「何やるか先に言ってよソーン!!びっくりしたよ!?」
{{はっはっはっ!悪い悪い。でもこれで先に進めるぞ!}}
「・・・はぁ、そうだね。今はやらなきゃならないことだらけだからね」
若干呆れつつも前に向き直す零士。
モニターには穴が繋がったままなので、別モニターを起動する。
「この穴、どうなってるんだろ?」
{{予想でしかないが、次元を抜けるためのトンネルみたいなものかな?遠距離転移魔法を使う時も細長い管を通り抜けるような感覚があるから、それに近いものだと思う}}
「次元トンネル、かぁ。まぁ気にしても僕には何も分からないな」
{{まぁ得意不得意に近いからなこれは。よし、レイジ!次の世界に繋げるんだろ?このまま俺も観察させてくれ!}}
「オッケー。じゃあこのまま繋げるよ」
新しいモニターで観測ソフトを起動し、次の世界を映し出す。
「さて、今日はどこにいるかな?」
{{どこにいるか?この世界の俺たちはどこか移動している者なのか?}}
「うん、”彼女”は<トラベラー>、旅行者と言って、ソーンの世界で言う冒険者だからね」
{{なるほど・・・んん!?”彼女”!?}}
「そうだよ?この世界の僕たちの同一個体は女の子だよ?」
{{嘘だろ・・・?}}
驚くソーンは置き去りに零士はモニターを操作する。
新しく映し出された映像には、見渡す限り”自然”な世界が美しい風景が広がっている。
脛丈の草が生い茂る広い平原に一本の舗装なしの道、遠目には森と山、山からは一筋の滝が流れ落ちているのが見える。
{{ものすごく穏やかな風景だな}}
「まぁ見た目だけはね」
{{見た目だけ?}}
「うん、ここは僕が見てきた世界で一番自然溢れるところだけど、一番危険なとこかな」
{{一番危険なとこ・・・}}
「そう、例えばあの滝のある山。あれ、ソーンの世界で言うドラゴンの一種だよ」
{{・・・はぁ!?ドラゴン!?!?}}
「「うん笑。あれはこの世界では龍種・地龍型・超越体・大地龍グランノって言われてるドラゴンだよ」」
{{あ、あの山が動く、のか?}}
「動くらしいよ。ただ数百年に一度らしいけど」
{{は、はぁ……世界は広いな}}
「世界は確かに広いね笑」
実際に他の世界を初めて目の当たりにしたソーンは、世界の広さに気圧されつつも、零士の目を通してモニターを見る。
「さてと、じゃあ探しますか。《共有》!!」
零士は《共有》を世界に広げる。
それを脳内にいるソーンが感じとる。
{{おお!なんだこれは。お互いの足りないものが引き合う切ない気持ちになりそうな感じと、足元が覚束無いソワソワとかふわふわとかそんな感じがするな}}
「あぁー、そうかも。欲しいと思うものを探す時の感じが僕の中で一番近いかも」
{{うーん、なんとも形容しがたいな}}
「まぁ、同一個体でも感じ方は人それぞれだからね。あっ、見つけた・・・けど・・・」
{{けど?どうしたんだ?}}
「ちょっとヤバいかもしれない・・・すぐ座標を映すよ」
零士は直ぐにモニターを操作し、”彼女”の上空に座標を移動する。
「見えてきた、あの森の中だ!」
{{なかなかに生い茂ってるな。どう見つけるんだ?}}
目の前には青々と生い茂る大樹の森が広がっていた。
「大丈夫。直ぐにわかると思うよ」
{{んん?すぐに?}}
零士の堂々とした態度に困惑を隠せないソーン。
ただ、その本当に直後に居場所が判明する。
”ドゴォォォォオオオンン”
急な爆発音が森に鳴り響く。
「いたいた笑あそこにいるよ!」
{{あの爆発が何か関係があるのか?}}
「うん、その通り笑。さぁ直上に進むよ」
爆発音がした方向に映像を移動する零士。
そして、目の前には先程の爆発による大きなクレーターが映し出された。
「よし、再度《共有》。オーイ!どこにいるー?フィーニャー?」
〖ん?これはレイジかニャ?こっちだニャー!〗
{声が、女だ}
絶句しだしたソーンを無視し、《共有》できっちり位置特定をし、”彼女”が、〖フィーニャ〗が映し出された。
「おー!見つけたよ!フィーニャ」
〖久しぶりニャ!レイジ!!でもごめんニャ!!今はちょっとまずい状況なのニャ〗
「ん?どうまずい?」
〖さっき、爆発の魔紋を使ったニャ。多分これから”アイツ”らが集まって来るニャ〗
{{・・・あぁ、ん?アイツらとは?}}
「この世界の脅威、ソーンの世界で言う魔物がここにもいるんだ」
{{さっきの話の山ドラゴンみたいなやつか?}}
「そう、この世界の魔物は通称”戒獣”と呼ばれる生物たちなんだけど、その強さが半端ないんだ」
{{半端ないとはどの程度なんだ?}}
「ソーンの世界の弱い部類の魔物がウルフとかになるよね」
{{まぁーそうだな}}
「この世界はね弱い部類の戒獣が、ソーンの世界のグリフォンレベルに強いんだ」
{{な、な、な}}
「そう、この世界の最低レベルはソーンの世界のAランク魔物レベルなんだ」
衝撃の事実に喋れなくなってしまうソーンだった。
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