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【書籍化】ジジババ勇者パーティー最後の旅  作者: 福郎
第三章

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二人の剣士

二話連続投稿の一話目になります

「その剣、見たら分かりそうか?」

「無茶を言わんでくれ」


 大鎧を纏ったまま通りを歩くエアハードが、興味本位でフェアドに尋ねると即座に否定された。

 勇者が対空用に空へぶん投げた剣と言われても、七十年前に使い捨てた物を覚えている筈がない。

 見て分かるとすれば、よっぽど力を注ぎ込んで光が結晶化している場合だが、もうそこまで行けばひょっとしたらの話ではなく、確定で勇者が関わっていると判断され大騒ぎになるだろう。


「本物で力が残っていても、邪な者の手に渡ると間違いなく筋肉による攻撃を受けるから、その点では心配する必要が無い」

「……それ呪われてるんじゃね? なあサザキ」

「はっはっ。相手が誰だろうが首に飛んでくよりはマシだろ」


 妙な確信をしているシュタインが持論をすると、マックスがドン引きした表情を見せ、サザキが最悪の比較対象を持ち出す。

 ただシュタインの考察は、それほど的外れとは言い難い。


「実際、シュタインの言ってる理論は起こり得るかもね」

「可能性はあります」


 無茶苦茶なシュタインの論にララが同意すると、エルリカも頷いた。

 悪しき者がフェアドの光が宿った剣を悪用しようとした場合、気に入らないからという理由で暗黒に挑んだ光が反応して、元凶を消し炭にする可能性があった。


「流石にそれは無いじゃろ」

「いんや、お前の光ならおかしくない」


 幾らなんでもそんなことはないだろうと思ったフェアドの言葉を、サザキが否定した。

 事実、演算世界の話になるが、運命の申し子に七十年前宿った光が協力しており、常識では全く語れない力だった。


(多分、俺の伝手を使わなくても、ララかサザキが知り合いに声を掛けたら見に行けるんだよな)


 若干ながらも売りに出される剣に興味を持ったマックスは、態々身内に頼らなくても、この仲間なら見に行けるだろうと考えたが、見に行ってもそこから先は目的が無いため、行動を起こす気にはならなかった。


「あん?」

「どうしたんだサザキ?」

「出来がいい、そこらで売ってるようなもんじゃない刀を斬ったな」

「面倒臭そうか?」

「さあな」


 そんなマックスが妙な声を出したサザキに尋ねると、剣聖はいつもの調子で肩を竦めるだけだ。


「そこの方々、この男に見覚えはありませんか?」


 原因はすぐ現れた。

 サザキと同じく東衣と呼ばれる独特な服を纏った男女が、勇者パーティー一行に黒い塗料で描かれた人相書きを見せてきた。


 随分似ている男女で、男の方は二十代後半。短い髪と鋭い目は黒く、額と眉間に皺が寄っているため酷く気難しそうだ。

 逆に二十代前半の女性。恐らく妹の方は長い黒髪と大きな目が特徴的で、小柄なこともあり可愛らしい顔をしていた。


 そして両者の腰には刀があったため、サザキ以外の勇者パーティーは若き日の彼を思い出したが、顔立ちは全く似ていないため、あくまで黒髪黒目の刀を持った剣士という共通点からの連想だ。


「見覚えは……ありませんのう。この方がどうされたのです?」


 その人相書きを見たフェアドが首を横に振る。

 右の額から頬にかけての刀傷が特徴的で、見るからに不機嫌そうな中年男性を見たことは勇者パーティー全員がない。

 そしてこんなことを問われたなら、どうしてと思うのが当たり前だが、逆に尋ねたフェアドはまともな答えを期待していなかった。


「故あって探しているだけの話です」


 男が口を開けば案の定だ。

 探している人相書きの人物の名前を教えない……それはつまり、絶対に偽名を名乗っている確信があるのだろう。

 そんな相手を探している理由がまともな筈はなく、下手をすれば敵討ちなどの可能性もあった。


「ところでそちらの御仁、刀を持っているようだが、どこで手に入れられました?」

「七十年ちょい前にダチから譲り受けたよ。今じゃ持ち主と同じくオンボロさ」

「なるほど」


 そんな男と妹らしき二人は、フェアド達が人相書きを見ている最中、ずっとサザキの腰にある刀に注目していたが、七十年前に刀を手に入れたと聞いた瞬間、僅かに醸し出していた緊張が解かれた。


 その時、勇者パーティーの自称常識人、マックスに電流が流れる。


(七十年前と聞いたら関心を無くした。赤い刀を探してる人間がこの二人と仮定。最近、模造品が作られて出回り、作った奴を探してる? そんでフェアドが握ったかもしれない剣がここにある? ははあ、謎は全て解けた。この人相書きの奴はフェアドの剣を参考にして、更に強力な武器を作ろうとしているに違いない!)


 流石は勇者パーティーの出鱈目に振り回された男、マックスだ。彼は僅かな情報を繋ぎ合わせてこれから起こる騒動を推測すると、内心でげんなりしてしまう。


「お邪魔をしました」


 マックスが脳内の細胞を活性化している間に、二人の男女が頭を下げて去る。

 今にもガチガチと煩く鳴りそうな刀を押さえていた、サザキの肩を過去がそっと叩いていた。

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