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「行ってしまわれましたね」

 去っていく馬車をピエリスの隣で見送っていた護衛がぽつりと呟いた。

「お兄様は、忙しい人ですから」

 ピエリスは来た道を振り返って寂しそうに微笑んだ。遠目に見える馬車を少しだけ見つめて、未練を断ち切るようにピエリスは公爵邸へと向き直った。

「それで、私は何処に向かえばいいのでしょう」

「まずは衣裳室にお連れしようかと思っております。荷物をお預かりしてもよろしいですか?」

「ええ、もちろん。感謝しますね」

 護衛の差し出した手に荷物を渡して、ピエリスは軽く伸びをする。

 何故真っ先に衣裳室に向かうのかという疑問はあったが、ピエリスは自分が世の常識に疎い自覚もあったため気にしないことにした。

「……荷物はこれだけですか?」

「えぇ、そうですが……。もしかして、ドレスとか必要でしたか?」

「いえ、ある程度の用意はしてありますので大丈夫です」

 護衛は受け取った荷物の軽さに少し驚きながらも、ピエリスを先導するように公爵邸へと歩き始めた。

「それにしても、あれが噂のウォドール家の水人形なんですね。ウォドール辺境伯様が水人形の軍隊を率いて単騎で辺境伯領を勝ち取った話は聞いていましたので、少し肝が冷えました」

 前を歩く護衛がピエリスに振り返り、恥ずかしそうに苦笑いを浮かべた。

 そのおかげで先ほどまでよりも幾分か砕けた雰囲気になったのを感じ、ピエリスは緊張を解きながら同じく苦笑いを返した。

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こちら最近出した短編となります
生贄の少女と森の狼様
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