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001.プロローグ

初めて連載を始めます。よろしくお願いします。

「ウソ...だ...ろ??」

 その日、スーパーで買った卵からイケメンが生まれた。

 金髪で青い瞳の超絶可愛い赤ん坊だったというのが()()()()()()()正しい表現なのだろうが、そんなことはどうでもいい。

 とにかく、目の前のスーパーの卵から手のひらサイズの赤ん坊が生まれてきたのだった...。




 ここ最近は梅雨の時期ということもあって室内でのトレーニングメニューが多かったが、昨日は打って変わって気持ちいいぐらいに空が晴れ渡り、久しぶりにコートを使った練習メニューに力が入っていた。

 気温も昨日までの肌寒さなんてなかったかのようにグングン上昇していたが、それよりもコーチだけでなく先輩たちも練習にこれまで以上の熱を帯びていた。

 最後のインターハイに向けて3年生が醸し出すヒリヒリとした緊張感に1・2年生は気圧されながらも、力の入った練習に打ち込んでいた。


 灘本蒼佑(なだもとそうすけ)が通う清央大学(せいおうだいがく)附属高等学校、略して清附(せいふ)はその名の通り大学附属の名門校であり、インターハイ常連のテニス強豪校だった。

 蒼佑は1年生ながらこの清附硬式テニス部では次世代の主力メンバーと目されていた。

 同級生が球拾いや外周でひたすら走らされている中で、すでにコートに入って上級生のレギュラーメンバーと打ち合っているのだ。


 蒼佑は3月に神戸の実家から東京に移り住んでから一人暮らしをしている。

 自分の体作りのためにも、外食やインスタント食品には頼らずに自炊をしていた。

 中学の時から東京の高校への進学を考えていたので、その頃から料理の練習もしていたのだ。

 だから昨日も学校帰りにスーパーに立ち寄ったのだが、たまたま売れ残りのLLサイズの卵が半額で売りに出されていたので買って帰ったのだった。

 ハードな練習後には良質なタンパク質やビタミンを含む卵を使った料理もよく作るのだが、いつもなら値段的にMサイズを選んで買っている。

 実家からの仕送りがあるにしても、無駄遣いはしたくなかったのだ。


 (LLサイズが半額っ!ラッキー!!)


 蒼佑は日常の小さな幸せを感じつつ帰宅した。

 そう、ここまでは新しい環境とはいえ日常の範疇だったのだ...。


 帰宅後にシャワーを浴びてから料理に取り掛かろうとしていたのだが、ちょっとベッドでスマホをいじろうとした後の記憶がない。

 環境や気温の変化と久しぶりのコート練習の疲れからか、おそらく寝落ちしてしまったのだろう。


 寝ぼけながら時計を見るとまだ6時10分ぐらいだった。

 寝坊はしなかったようなのでホッと一安心した。

 まだ梅雨明け宣言は出されていないが、どうやら今日も昨日に引き続き暑くなるのか、蒼佑の部屋は汗ばむほどに空気がモワッとしていた。


 が、しかし次の瞬間に思い出したのだった。


「あっ!やべっ!買ってきたものを冷蔵庫に入れてなかった!」


 誰かがいるわけでもない一人暮らしの部屋でつい声を出してしまったと慣れない独り言に照れつつも、慌ててテーブルに向かったのだった。

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