小説家になって思うこと。
僕、まーりんが『小説家になろう』のサイトで活動を始めてからもう七年が経とうとしている。
広いとは言えない界隈の二次創作を書いていた『まーりん』と言う名を知らない人が殆どだと思うし、僕自身人気だったと自惚れているつもりもない。なろうサイトの人の九分九厘は知らないだろう。
しかし、二十代前半の僕にとって七年も続けてきた趣味は他に無いと言ってもいい。こうして自分が思った事を文章に起こすもの割と楽しかったりする。
だから時間のある時に、何か書きたい事があった時に、こうして僕の意思や思想を連ねて行こうと思う。
人によっては全く興味の無い内容だろうが、そうじゃない人もいるかもしれない。楽しめる人だけ目を通してくれたら嬉しい限りだ。
この七年で、小説を書くようになってから物の見方が変わったのを実感している。
自分の意見と言うものを強く持てるようになった。ニュースを見ても、人の話を聞いてもそうだ。『まぁ、いいんじゃね?』と思うことが減った気がする。
物語を書くには大なり小なり知識が必要で、その知識は頭に入れた後、自分が納得いくように噛み砕かなければならない。その癖が染み付いてしまっている。どうでもいいやと思えなくなってしまうのだ。
その所為もあって、物凄く理屈っぽくなってしまう。気になったらその物事をトコトン知りたくなるし、理解したくなる。良い事だとも思うし、悪い事だとも思う。
自分の意見を持つだけでは意味が無い。小説家はそれを発信して初めて意味が生まれると個人的には思っている。しかしそれはあくまでもエゴに過ぎない。
物事を正直に伝える優しさもあれば、あえて伝えない優しさだってある。自分の中の正義感がどちらを選択するかに過ぎない。
どちらも正解とは言えないが、間違ってはいないと思っている。どちらを取っても不快に思う人は居るだろうし、満場一致なんて得られるとは思っていない。
あくまでも僕の話ではあるが、小説を投稿する際、『人気』と言うものをやはり気にはしてしまう。
自分の伝えたい事、自信を持って書いたストーリーには違いないが、それがより多くの人に響くだろうかと葛藤しながら書いていた。
結果から言うと感想等で意見やアドバイスはあれど、批判的な言葉をぶつけられることは無かったし、むしろポジティブな感想が大半を占めていた。
もちろん初めて頂いた感想はしっかり覚えているし、その時の僕が感じた嬉しさやモチベーションの上がり方も覚えている。
慣れと言うのは恐ろしいもので、いつからか感想を頂くのは当たり前のように感じていて、どうすればもっと多くのPVを得られるのか…そんなことを考えるようにもなっていた。
自分の書きたいものを書く、これも間違ってはいない。
どうせ投稿するなら多くの人に見て欲しい、これも間違ってはいない。
この二つは今でも思っている事だ。この文章を書いているこの瞬間にも思っている。
自分の意見ですら統一出来ていないのに、人からの評価が満場一致になる事はまず有り得ない。
だから気にするのを止めることにした。正確には気にしてしまう自分を卑下するのを止めた。
どちらも納得出来るように努力すればいいだけだと思うようにしたのだ。
努力に対して嫌だと思うならある程度で切り上げるのが大事だと学んだ。無理をすることでは無いから。
そんな風に小説を書いていた僕は社会人になって一時期投稿をストップしていた。
学生で小説を書いている人がいれば頭の片隅にでも入れておいてほしいが、小説を書く時間なんて殆ど無くなる。疲れた、休みたい、遊びたい……そんな思いが強くなる。
仕事にも慣れ、役職にも着けた今の僕は充分心の余裕があるし、こうして執筆する時間も取れている。だが、社会人になりたての頃はそうはいかないのだ。
嫌な事しか無いだろう。正直、社会なんてそんなもんだ。だから仕事とは別で趣味の時間を持つ人が大半なのだから。
当時の僕も執筆はしていたが、その時浮かんだストーリーを適当に書くだけで、止めていた小説の続きを書く気にはどうしてもなれなかった。
自分の意思で投稿を始めて、趣味で、好きで書いていた僕の作品を作者本人が嫌いになりたくなかったからだ。
仕事で鬱寸前まで追い込まれ、趣味だった小説すら嫌になった時、昔の自分が考えていた『無理をすることではない』なんて言葉がよぎったのをよく覚えている。
事情を話して働く部署を変えてもらい、そこからは天国と言っても過言ではなかった。
安定する精神、執筆に向き合うだけの時間、趣味に対しての全てを取り戻した気分になれた。
現在は諸事情で作品を削除してしまっているが、その作品は最終回までしっかり投稿出来た。
時間はかかったが、無理をしなかったからこそ完結できたと思うし、今でも自分の作品を心から好きだと言える。
僕が選択してきた道が正しいとは思わないし、もっと効率的、生産的な選択もあったと思っている。だが、自分を嫌いにならない生き方をしたと自信を持って言える。
小説家になって、小説を通して、僕が歩んできた道のりが間違っては無かったと教えてもらった。
今の世の中、自分を嫌う人はたくさんいると思う。そんな人達を救いたいなどと綺麗事を言うつもりは無いが、たった一度の人生。全てを投げ出す前に、好きなことを見つけて、やりたいだけやってみるのも悪くは無い。
一時期は本当に死にたいと思っていた僕は今では結婚をして、愛する妻と一緒に人生を歩んでいる。
何があるか分からないからこそ人生は楽しい。その楽しさ、面白さを少しでも伝えられたらいいと思う。