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世界はたったの20分で壊れた。
まずは雪国の脅威、【寒さ】対策から。
周囲を見回して被害の少なそうな瓦礫を漁り、
使えそうなものを物色。
早々に防寒具は揃う。他にも生存者がいるかもしれない。
でも正直他人を構う余裕など無い。
だが目の前にいる人にそこまで薄情にもなれない複雑な感情の中、
多めに入手できた防寒具を片手に、
「また余震がくるかもしれません。使えるものを持って安全な場所に避難しましょう。おそらく早ければ数分でまた揺れが来るかもしれません。」
と、渡しながら周囲に促した。
思考が止まってしまっている人も、
ある種盲目的に、虚ろに、周辺の瓦礫を漁り始める。
『近くで安全そうな場所。行きしなに崩壊していてもコンビニなんかもあれば理想的だけど。。。』
冬は寒いが、メリットもある。
コンビニなんかで売られている食品。運が良ければこの寒さで逆に保存もきく。
安全な場所が見つかればなんとか数日は耐え凌げるかもしれない。
『確か震災などでも原型を留められる強い作りになっているところがあったはず。
近所にも少なくともある。そこを目指す。』
行き当たりばったりかもしれない。
だが凌げるかもしれない方法を賢一なりに思考し続ける。
なんとか考え続けるだけの落ち着きを取り戻していた。