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なんとか外に出た賢一の見た光景は凄惨。としか言いようがないものだった。
2021年2月某日世界は崩壊し始めた。
辿り着いたひらけた場所。
市営住宅中央にある、元は子供向けの広場だった所に賢一はたどり着いた。
感覚として揺れが収まっているのかまだ揺れているのかよくわからない。
ポツポツと運よくごく少数の近隣住人も避難していた。
皆が一様に【何が起きたか理解できない】そんな顔をしている。
賢一が立ち上がり見た周りの光景。
あったはずの建物が見る影もなく半壊(ほぼ崩壊)し、
雪景色と相まって白い瓦礫の山となっている。
どこに何があったのか。その判別もつかない。
そんな光景だった。
『一体何が。。。』
思考が追いつかない現実にただ目を疑う。それしかできなかった。
どれほど思考が止まっていたのか、
おそらく数分の間を置き、賢一は思考を巡らせ始める。
それは上京して経験していた、東日本大震災。
被災地に比べ東京には大きな影響はそこまでなかった。
だけど、そこでの経験が賢一を無意識に突き動かした。
無意識に持っていた少しだけひび割れたスマホ。
画面を見る。
『なんとか液晶はみれる。操作にも支障が無い。それだけでも不幸中の幸い。
余震が来るかもしれない。とにかく身を守れるものや食料、安全の確保。
身内周りの安否確認と連絡だな。
多分通信は断絶している可能性が高い。まずは前者からだ。』
あの恐怖の警告音が鳴り始めてから20分ほどしか立っていなかった。
世界はたったの20分で壊れた。