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アクリルで遮られているスタジオで尤もらしいことを語る、学者や政治家崩れetc。


「平日なんだよな。今日って。」

久々に見る午後の情報番組は背徳感と新鮮さが入り混じっていた。


ワーカーホリックではない。だけども平日の昼はオフィスで過ごす賢一にとっては純粋に変な感覚だった。


淡々と見るともなく見ていた番組。

女性アナウンサーをぼうっと、

『今時のアナウンサーって綺麗な人多いんだなぁ』

とか、アイドルとか沢山いるんだよなとか、

変な思考が湧いては消えて。


番組も佳境に迫り締めのコメントをし始めている。


さていよいよ番組も終わり垂れ流しの再放送ドラマでもついでに見るか。と、

だらだら考えていた賢一の思考が一瞬遮られる。


見ていた情報番組に突如、見慣れたといえば見慣れた【緊急地震速報】の表示。

同時に、こっちは珍しい耳障りなスマホからの警告音が鳴り響く。


人間が恐怖を感じる不快音が部屋中にこだまし、

一人部屋にいる賢一は身震いさせながらも、

固唾を飲んで速報の情報更新を待つ。


言葉にならない不安を抱え目に飛び込んできた更新情報。

そこには、

【世界各国主要都市近辺でのマグニチュード9を超える超巨大地震が発生】

と、目を疑う文字の羅列だった。


文字に目がいきすぎて画が入ってこなかった。


画面の向こうでは一足先に揺れが始まり、

生放送の番組は一瞬の間を起き照明・機材が画面の揺れと共に落下してきている。


『あれ?一瞬。ほんの一瞬だが機材が女性アナウンサーの頭上から、

あ、いや下敷きに?いやあれ?放送していいのかこれ?』


音声では機械的な男性の避難勧告のアナウンス。

生身じゃないその気持ちの悪い声が耳に飛び込む。

まさに阿鼻叫喚という光景だった。


賢一自身の周りにも異変が起きる。

『やばい!主要都市ってことはこのエリアもなのか!』

音もなく地面が揺れ始め食器棚がガタガタと音を立て、

急速に何かが激しく軋む音とも異音とも取れない混じり合った音が耳をつんざきなら揺れ始める。


言葉にならない恐怖が、口から変なものを吐き出そうとする。

『やばい立っていられない。。。!』

とにかく冷静に!身を守る。ある程度確保できてから、建物から出ようと意を決し、反射的にかがんでいた体を這いずりながら賢一は実家の扉をこじ開けた。


市営住宅2F。外に出るのはいつもなら数秒。

なのに巨人の手の平に乗せられて振り回されている様な揺れ。

たった数十段の階段があまりにも遠い。


外を半ば匍匐前進しひらけた場所を目指し進む。

時間感覚が狂う。

まだ揺れている。立てない。上から何か落ちてくるかもしれない。

さっきからガラガラと、轟々と硬い何かと何かがぶつかる様なそんな音が聞こえる。

でも視線を送るほど余裕がない。

足元のアスファルトは激しく呼吸しひび割れている。


黒板を爪で引っ掻いた様な音に不快要素を加えて100倍位濃くした様な擦れた音が遠くから聞こえる。


少し先の地面が隆起してトラックがひっくり返る。


『え・・・?ベランダに人がぶら下がってる。。。。

 あ、今人形が空から降ってきた?人形?え、子供。。。え?

 あ、あの人も匍匐前進してる。同じところを目指してるのかな?あれ動いてない。

 早く逃げないと巻き込まれますよ?あれ、下半身が?!

 ????え。。。っ!?』


現実が理解を超える。


どこかで悲鳴とも鳴き声ともわからない声が聞こえる。


だんだんとそれらの現象に思考を止めてしまったのか、

賢一はただ【ひらけた場所】に誘われるかの様に匍匐前進を進める。


なんとか外に出た賢一の見た光景は凄惨。としか言いようがないものだった。


2021年2月某日世界は崩壊し始めた。

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