噂
「君は噂をどこまで信じる?」
「モノによるけど鵜呑みにはしないかな20%ぐらいかな」
「いい事だね。僕は0%かな」
「人間不信?」
「違う。そんなのになってたら史緒里と話してない」
「名前、、呼んでくれた」
「もう呼ばない。余計な事をしたね」
「違うの、嬉しかったの」
「そんな事で嬉しいの」
「乙女心をこれ以上踏み躙らないでくれる」
「ごめん。同年代の女の子と話すの久々で」
「そうなんだ」
無理もない彼の住む世界に異性というのは存在しないのだろう。介入してこないのだろう。彼に異性という概念は存在するのだろうか。真の意味で男女平等な気がする。
「ところでなんで0%なの?」
「情報の信憑性云々ではなくてね、自分の目で見定めなければその人の本当の価値に気づけない気がして」
「カッコいいね…」
「カッコつけたいわけじゃなくて」
「本心で言ってるのは分かるよ。考え方が達観してるね」
「そんな事ないと思う。僕は事実を述べているだけだよ」
「人生生きづらいでしょ」
「うん、正直しんどい」
彼は嘘がつけない性格だと確信した瞬間だった。喜びも悲しみの隠さないのはいいことだと思う。辺にカッコつけるよりそっちの方が信用できるし、何考えているか分からないという不信感を抱かなくて済む。今を生きる人の大半が前者だろう。無理もない。そうせざる得ない世の中だ。マイノリティの後者が苦しむ世界。おかしいとも思えない私はきっと、この世界の空気を吸いすぎた。