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天使と悪魔と人間の話  作者: 吹野 祭
3/5

一人の人間 と とある悪魔の話

ひとりの人間がいた。その人間にはおよそ友達といえる存在がいなかった。

一人でも平気だと言える強くはなかったので、いつも寂しさに押し潰されそうだった。


誰でもいい。

この寂しさから救ってくれる存在を求めていた。


そんな思いから、人間はある手段を取った


古ぼけた古本屋で見つけたあやしい本。

そこで記されていたのは、人の願いをかなえる悪魔の話。

この際悪魔でも・・・


一人ぼっちの人間は藁にもすがる思いで、悪魔を呼び出した。


現れたものは不定形な存在だった。煙のようにゆらゆらとゆれる真っ黒なそれは、自分を呼び出したであろう人間に


願いは何だと


問うた


それに対して人間は、


友達になってください


と答えた。

それはずっと誰かに言いたかった、心からの願いだった


悪魔は少しだけ沈黙すると、その願いを聞き入れた。

すると不定形だった悪魔が人間に近い姿にその形を変えた。


こうして一人だった人間に初めての友達ができたのだった。


そして人間と悪魔は一緒に行動を共にするようになった。


街に繰り出し食べ歩きをした。

なんてことない話をしながら時間を潰したりした。

二人で映画を見に行った。

甘いのを食べに行ったりもした


あぁ、楽しい


人間の心は満たされていた

誰かが傍にいてくれて、同じものを共有できることがこれほど嬉しいものだと初めて知ることができたのだから


もっとこの悪魔と仲良くなりたい。

そう思った人間は悪魔に気に入られるような人間になろうと、思うようになっていた。


万引き、不法投棄、、他人の家のガラスを割ったりもした

そうして人間は、その魂をゆっくりと黒く染めていった。


人間と友達になって数か月。悪魔は迷っていた。

目の前の人間が自身の魂を汚していくことに。


天使の使命は、人間を導き救うこと。

対して悪魔というものは、人間に取り憑いて、その汚れた魂を糧としている。


この人間は自らその魂を地に落とそうとしている。悪魔にとってこれほど都合のいい奴はなかなかいないだろう。

なにせ多くの人間は幸せを求めている。

幸せになりたい、自分の願い叶えたいという強い思いから、悪魔という存在に頼る者は少なからずいる。

そんな人間に取り憑いて、騙し、唆すのが、多くの悪魔たちというわけだ。


そんな中この人間は友達(しあわせ)のためにその魂を地に落とそうそしている。

これだけならば、悪魔にとっては都合のいい存在だろう。

問題なのは、この人間の願い


友達がほしい


目の前で闇に落ちようとしているのを、黙ってみているのを、果たして友達と呼べるのであろうか

とはいえ、地に落ちる人間を救うなど、悪魔にとってあるまじきこと。


悪魔は迷っていた。


迷った末、悪魔は人間の頬を叩いていた。


人間は突然、友達に叩かれたことに驚いたが、友の目から流れるものを見て言葉が詰まった。


もうやめよう。こんなことは。

これ以上やると、あなたは戻れなくなってしまう


そこまで言うと悪魔の体がぼんやりと光りだした。


人間は、なにか、取り返しのつかないことをしてしまったということは理解できた。

この悪魔(ともだち)は、その身を犠牲にして自分を止めてくれたのだと。


ごめんね


ごめんね


気がつくと人間の目にも涙が浮かんでいた。

そんな人間を悪魔はやさしく抱きしめる。


だいじょうぶ


まだ、あなたは大丈夫


きっとやり直せる


悪魔のお墨付きだよ


それは契約上の言葉(セリフ)だったのかもしれない。でもこの瞬間。二人は本当に友達だった。


こうして悪魔はいなくなってしまった。


しかし悪魔が最後に残した言葉は、人間(ともだち)の心にいつまでものこりつづけるのであった



この人間がこの後どのように生きていったのかは、だれも知らない



















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