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その3


 僕たちは、サークル勧誘の嵐を無事切り抜け駐車場に着くことができた。


 「んじゃ、家に向かおっか。あ、君は車で来てたっけ?」


 「え?私は車じゃなくて電車で来てるよ!」


 僕は、てっきり彼女も車で来ているものかと思い込んでいたが違ったようだ。


 「てゆうか、いきなり車に乗ってる人の方が珍しいよ!!」


 まじか、でも考えてみれば18歳だしそんなものなのかな。


 「じゃあ、真澄はどうする?僕の車に乗っていくか電車で行くか。」


 僕は、どうするか分かりきってたが、ちょっとだけ彼女の困った一面が見たくなり意地の悪い質問をしてみた。


 「いや、この状況でわざわざ電車には乗らないよ、第一、慎くんの家を私は知らないしLINEも携帯番号も持ってないから住所を聞くこともできないよ。」


 おぉ、怖。さっきのような可愛らしい笑顔で応えてくるのかと思ったらバリバリ真顔だった。彼女をからかうのは辞めよう、僕はそっと心の中で誓った。


 「ごめん、ごめん。真澄の可愛らしい表情を見たくてからかってしまった。じゃあ、気を取り直して行こうか。どこの席に乗っても構わないよ。」


 そして、彼女は髪を触りながらこう言った


 「もー、可愛いとか言って誤魔化そうとしても意味ないからね。ふん、助手席に乗ってやるから。たぶん、助手席に乗った女の子は私だけでしょ?彼女でもない人に乗られてどんな気持ち?」


 そんなことを言い返してきた彼女だが、可愛いと言われて喜んでいるのがバレバレだ。なぜなら、彼女は嬉しいときは高確率で髪をいじるのだ。


 そればっかりは昔と変わってなかったため、僕は少しだけ嬉しくなった。


 「いやいや、別にいいよ。だって真澄以外の女の人を乗せる気なんて僕にはないからね。あ、家族は別だけどね。」


 彼女は数秒ほど呆気にとられていたが、すぐに立ち直った


「え?それってどうゆう意味?もし間違ってたらごめんだけど・・・・・私が恋人ってこと?」


 いつものようなふざけた態度ではなく、彼女はまじめな感じで聞いてきた。当然僕もそれに応える。


 「いや、ちがうよ。」


 そう僕が言い放つと、彼女の雰囲気はいつものふざけたものに変わったように思えたが、一転どこか愁哀が漂ってきた。


 まずい、誤解をとかねば!!だが、僕よりも彼女の方が一枚上手だった。


 「なぁーんだ、違うのか。ちょっと真面目になって損したよ!もぅ・・・ってあれ?なんで眼から涙が出てきてるんだろう?へへっ、別にショックを受けることでもないのにおかしいなぁ。ごめんね慎君ちょっとだけこっちを見ないで。」


 彼女は涙を流しながら言ってきた。


 僕はそんな眼も真っ赤にして、泣きはらしている彼女に優しく頭を撫でながら語りかけた。


 「違うよ、別に真澄のことが嫌いだからそう言ったんじゃない。真澄のことがだいすきだから、恋人より上の関係、あー、もう!つまり奥さんになってほしいってこと!」


 僕は言ってて恥ずかしくなってきたが、彼女のことだけを見つめた。


 「あっ、えっ、ほんとに?嘘じゃない?」


 彼女は眼に少しだけ涙を溜めたままそう言った。しかも上目遣いだ、可愛すぎる。


 「あぁ、嘘じゃないよ。僕は真澄のことが大好きだし、結婚して、奥さんにしたいとさえ思っている。あ、でも真澄の気持ちはどうなのかわからないけどね。まぁ、とりあえず、僕の気持ちは昔公園で約束した日から一瞬たりとも心移りしてないよ」


 言い切ってやったぜ!さぁどうくる?ってなんでまた泣いてんのよ。流石に気持ちの悪い発言だったかな?


 「ねぇ、なんで泣いてるの?もしかして癇に障った?なら謝るよ!ごめんね。」


 「違うの、慎くんにそこまで思われてたことと、なにより昔の公園でした約束を覚えてていた事が凄く嬉しくて、嬉しくて仕方がないの。」


 僕は思わず彼女の事を手で抱き寄せた。本当は抱き着きたかったのだが、車内のため物理的にきついのだ。


 「あぁ、僕も嬉しくてしょうがないよ、大好きだ、いや愛してる!」


 僕はありのままの気持ちを伝えた。


 「うん!私も愛してるよ!これからもずっと一緒にいようね!」


 僕は彼女を抱き寄せながら、嬉しさから来る興奮によって、高ぶった気持ち落ち着かせようと考えたが無理だった。


 僕は今すぐに彼女にキスをしたくなったが、ガラス越しで同じ大学の人に見られていたことに気付いたため辞めた。


 おかげで興奮も一瞬で治まった。


 


 


 

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