表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

その温もりに包まれて

作者: 汗本柿麻呂

ギロチンという処刑方法がある。


大昔、ギヨテーヌという人が


簡単に首を切断して処刑できるように開発したとか。


その開発者もギロチンの刃の露と消えたのだが。


今俺は、大勢の群衆が「殺せ!」と口々にわめきたてる広場に居る。


熱狂的な群衆は、暴動を起こしそうな雰囲気だ。


俺は来たくて、この広場に来たわけではない。


初恋にして、最愛の人。


そして、


伴侶になるはずだった相手が、ギロチンで処刑される日。


行かないわけにはならない気持ちに駆られて、来たのだ。


彼女は悪くない。


彼女は、美しく、可愛いらしく、それでいて優しく、賢い女だった。


俺たちは、確かに愛し合っていた。


家も近くだったし、幼い頃からお互いをよく知っていた。


話も合って、よく川のほとりで他愛もない話をした。


お互いが笑顔だったし、楽しかった。


当然の流れで、俺が告白した。


断られないだろうとは思っていたが、えらく緊張した。


彼女の返答は、その場で即答で「イエス」だった。


結婚するために、俺も彼女も働いてお金を貯めた。


全て順調だと信じていた。


あの日までは。


結婚してから一緒に住む家を相談しているときに、


突然、カフェに憲兵隊がやって来た。


憲兵は、


「この女は【魔女】だ。かばいだてすると、お前も同罪だぞ!」


と彼女に手錠をかけた。


魔女とは、禁じられた魔術や呪術を用いる者を指す。


中世では、魔女は火あぶりで処刑されたが、


現代では、ギロチンと決まっている。


木の枠に両手首と首をはめ込まれて、


その真上にある重い鉄の刃があり、


滑車とロープで支えられている。


処刑役人が支えているロープを切ると、


支えを失った刃が、重力で落ちて、


両手首と首が切断される処刑方法である。


13階段を上ると、観衆を見下ろす形で、


ギロチンにはめ込まれる。


群衆は今か今かと、ショーを楽しむように見上げるのだ。


最前列は、胴体から吹き出る血がかかるので、


普通は来ないのだが、俺たちは普通ではない。


ギロチン台と群衆の最前列で、俺と彼女は無言で目を合わせた。


お互いの目しか見ていない。


周りの群衆の騒々しさも気にならない。


処刑役人がロープを切ると、生々しい音がして、


噴水のように血が吹き出て、両手首と頭が地面に転がった。


最前列で血のシャワーをかぶりながらも、


血だまりの中で頭を拾い上げると、


彼女は怒鳴った。


「よくも!私を騙してくれたわね!この【魔女】が!」


彼女は泣いていて、


俺の顔を優しくつかむ両手はとても温かかった。


これでよし。






もっとギロチンについて調べるべきではありましたが、昔、夢で見た内容を少しアレンジした物語という形にしてしまいました。普通はなかなかギロチンの夢など見ないですよね。けっこう夢の中で、殺されることがありまして、その中のひとつの話でした。ほぼ夢で見た形です。夢でのラストは、泣きながら彼女が頭を抱えて抱き締めてくれて、「温かくて柔らかいなあ」と思いながら意識が遠のいていくというものでした。また夢では彼女の身代わりに死ぬのではなく、自分が犯罪者として処刑される内容でした。最期にひと言彼女に言いたかったのですが、何も言えませんでした。推察するに、首が胴体から離れてしまっては、肺を用いた呼吸ができずに、発音自体ができないのではないでしょうか。あの喋れない感じが妙にリアルでしたが、痛みは無かったのが非リアルで、夢の限界かと思いました。もっと推敲するべきだとは思ったのですが、夢の感じを残したくて、あまり直しませんでした。ちなみに、夢に出てきた彼女には、フラれてしまい、元カノです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ