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幽霊不動産『ホーンテッド』  作者: まいずみスミノフ
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孫一の正体2

■ 翌日・昼・芽絵子自宅

 芽絵子は孫一の調査書を読んでいた。

芽絵子「宗方孫一 年齢二十八 えT大卒? 公務員試験一種合格!? 現職の警察官!? …階級は警部って あいつ…キャリアかよ」


■ 同日・昼・千馬組屋敷前

 でかい和風の屋敷。千馬と書かれた表札。

 孫一は物陰に隠れながら内部の様子を伺う。

 その後ろに芽絵子が立つ。

芽絵子「というのがあなたのプロフィール 生き霊になる必要なんかない順風満帆な選ばれし人間ね 何か思い出した?」

孫一 「いやまったく」

芽絵子「で ここが千馬組の本邸?」

孫一 「そうだ」

芽絵子「一晩中見張ってるの?」

孫一 「霊は寝ないからな」

芽絵子「ここで地縛するつもり?」

孫一 「…ああ」

 芽絵子呆れる。

孫一 「おい来たぞ! 伏せろ」

 屋敷の前に高級車が停まる。

 中から小太りの初老の男と大室奈々美が降りてくる。

 二人を他の組員が出迎える。

芽絵子「みんな挨拶してる… あの男が組長の千馬鉄二ね ーーあ昨日の女」

孫一 「秘書兼愛人の大室奈々実だ」

芽絵子「ヤクザの愛人って極妻かキャバ嬢みたいなのを想像していたけど案外普通ね ってなんでそんなこと知ってるの?」

孫一 「それだけは思い出した 彼女を見ているとどうしようもなく胸が締め付けられる」

芽絵子「は?」

孫一 「おれは恋をしているらしい」

芽絵子「な! なに小っ恥ずかしいこといってんの!」

孫一 「芽絵子 おれは大室奈々美をあそこから救い出すために霊になったんだ」

芽絵子(M)「それをきいた瞬間腑に落ちた」

芽絵子「大室さんが助けてほしいっていったの?」

孫一 「わからぬ だが救いたい」

芽絵子「…だめよ」

孫一 「……」

芽絵子「あたしたちは結局人間のための組織なの 人間社会に影響を及ぼすような未練は晴らしてあげられない それは復讐に加担することと等しくタブーだわ」

 間。

奈々美「ウチに何か用かしら?」

芽絵子「ひえっ!」

 いつの間にか大室奈々美が立っていた。

奈々美「またあなた… 素人が面白半分で来るところじゃないわ 即刻立ち去りなさい」

芽絵子「お お騒がせしましたあああ!」

 芽絵子逃げる。

 しかし少し走ったところで立ち止まる。

芽絵子「…孫一のこと好きなんですか?」

 奈々美の表情が僅かに変わる。

 芽絵子はそれを見逃さなかった。


■ 同日・夕方・不動産屋

芽絵子「あの二人完全にできてますね」

浅倉 「女の勘ってやつかい?」

芽絵子「ことの顛末はこうです 警官とヤクザの愛人の許されざる恋 その葛藤ゆえに孫一は生き霊として抜け出した!」

浅倉 「ふむまあ筋は通っているね」

芽絵子「…で孫一の地縛の件なんですけど 千馬組の本邸が地縛物件として許可が降りていまして まあ霊を使って悪どく儲けている連中だから不思議ではないんですけど…」

浅倉 「芽絵子くん…」

芽絵子「わかってますよ! 霊を近親者の近くに地縛させるのは危険だって言いたいんでしょ!? でもせめて近くに居させてやりたくて…」

浅倉 「情が移ったね」

芽絵子「…すみません」

浅倉 「だが信頼の証でもある 一日一回の報告義務を条件に許可を下そう」

芽絵子「…うう仕事が増えた」

浅倉 「さて問題は金の回収だけど」

芽絵子「生き霊ってことはつまり…」

浅倉 「本人に会いに行くしかあるまい」

芽絵子「恋愛関係をネタにふんだくってやりますよ!」

浅倉 「金が絡むと目の色が変わるんだよなあ… でもぼくはもう少し慎重になるべきだと思うけど?」

芽絵子「お任せあれ!」


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