嫌な客
■ 翌日・昼・不動産屋
芽絵子は浅倉の机をバン!
芽絵子「やっぱ無理です!」
浅倉 「……」
浅倉は無視してパソコンゲーム(エアホッケー)で遊んでいる。
芽絵子カチンときてコンセントを抜く。
浅倉 「ああ! あとちょっとで象が倒せたのに!」
芽絵子「業務に支障をきたします!」
浅倉 「…いいコンビだと思うけどなあ」
芽絵子「特大のフシ穴! これ以上アイツの小言を聞き続けたら精神が崩壊します!」
浅倉は芽絵子に詰め寄られため息。
浅倉 「わかったよ どうにかするからあと数日待ってくれ」
芽絵子「お願いします!」
自動ドアが開く。
孫一が入ってくる。
孫一 「芽絵子 お客さんだ」
孫一の後ろに陰気な表情の霊・霊3が立っていた。
× × ×
霊3 「あの女… 保険金目当てでぼくを自殺に追い込んだんだ…っ! 許さない 徹底的に苦しめてやる!」
芽絵子(M)「怨みを晴らしたいという要望は少なくない むしろ大半がそういう人たちだ だがそれを許すわけにはいかない」
芽絵子「大変申し上げにくいのですが…」
孫一 「まあ待て芽絵子」
孫一が割って入る。
孫一 「死してなお復讐に捉われる必要はない むしろ本当の自由を得た今こそ第二の人生を謳歌するべきではないか?」
霊3 「あなたぼくと同じ幽霊ですよね?」
孫一 「そう…らしいな」
霊3 「だったらぼくの気持ちわかるでしょ!?」
霊3が激昂して近くにあった花瓶が割れる。
霊3 「手伝ってくれるんですか!? どうなんですか!?」
芽絵子「人間に害を及ぼすような地縛行為は許可できません」
霊3 「こんな所来るんじゃなかった!」
霊3は不動産屋を飛び出していく。
芽絵子、割れた花瓶を片付けながら。
芽絵子「…ああいう連中はこっちの話なんか聞きやしないんだから」
浅倉 「芽絵子くん 嫌な予感がするね」
芽絵子「万が一人間に危害が及ぶ場合は強制成仏を執行します」