第四話 腐った脳には女の本音がつまっている!?
そろそろタイトルの言い訳も尽きたので……このまま進めていく事にします。
タイトルなんてただの飾りなんだ!私は内容重視で行く!!こう言うと、とっても為になるお話しのように見えますが……実際はまったく役に立つことは無いと思います。
そんな駄目エッセイ始めます。
みなさんはオタクと腐女子について考察した経験はありますか?
「どうして自分はオタクになったんだろう?何故私は腐ってしまったのだろうか……?」そんな疑問を自分に問いかけたことがある人は、是非もっと深く掘り下げてみてください。きっと面白い発見があると思いますよ。逆に一度もそんな疑問を持ったことが無いと言う人は、オタク因子が少ない一般人と呼ばれるごく普通の人か、心の闇が大きすぎる可能性があります。一度正直に自分と向き合う事をお勧めします。なんちゃって!前置きはこの辺にしておいて……腐女子の妄想の仕組み?について今回はもう少し詳しくお話ししていきましょう。
オタク大国ニッポン(?)などと呼ばれる少し前から学者や小説家達の手によるオタクの生態についての考察をまとめた本が発行され始めました。それらの中に腐女子の謎に迫るという解析本も出ています。サブカルチャーが流行した頃なのでこれまた結構昔の事です。
内容は、手許に現物がないので記憶を頼りに簡単にお話ししますと、そもそも何故男性同士である必要があるのか?という疑問に対してその理由を思春期の少女達が抱く自らの性への恐れや、男性優位の社会へ対する反抗心。肉体的に弱者である事の不満から、自らのジェンダー(性)を否定したいという心の現れではないか?などなど。ざっくりと言えばこんな感じだった筈。多分。
腐女子の脳内妄想については、男性同士のカップルの女性役(受け)に感情移入することによって、妊娠という女性には回避不可能な危険性を無くした状態での性愛体験を脳内で楽しんだり逆に男性役(攻め)に感情移入することによって、本来は受け身である女性的な快楽ではなく自分が優位な立場での快楽を得る為にあえて男性同士である必要があった……だったかな?大体こんな感じの事が書かれていたと思います。……確か。
読みやすかったですが内容はそこそこという感想です。ああなるほど。そう考える事もできなくはない。でも……本当にそれで説明した事になるのか?という疑問が残る腐女子解析本でした。そこで私がその理由を自分なりに追及した結論はこうです。
「だって……私は私だから!!」です。
私にしか分からない好みがあり、私しか知り得ない滾りポイント(?)があり、私だけの人生があります。
十人十色。
人によってそれぞれ違う理由があって当たり前ですし、だからこそピンポイントでズバッと言い当てられるワケがないですよね。適当にそれらしいことを並べて誤魔化された気がするのはきっと私だけじゃなかったハズ。
読んだ当時は期待が大きかっただけに、肩透かしを食らった感が半端なかったのを思い出したぞ。
「金と時間を返せ!」と思ったけど、大人だから諦めただけなんだからな!
溢れる文句はちょっと置いておいて……読んで面白かったものもあります。
何故腐女子が男性同士の恋愛を好むようになったのか……という詳しい理由については、そういった解析本を読むよりは現役のBL作家達がそれぞれ雑誌やインタビューなどで自分はこうだった。という体験談を元に様々な意見を述べていますので、もしも興味を持たれた方がいるならそれを特集した雑誌などを読んでいただければ……と思いますのでここではそれについては触れない事にします。それは私の経験とはまた違った物語ですので。
ここでは私の妄想体験を主軸にしてお話しをしていきたいと思います。
私が腐った妄想に目覚めたのは、以前お話ししたように十代半の頃でした。多分誕生日前だったと思うので十五歳だったと思います。
当時ではそこそこ早めの発芽だったと思いますが、今ではもっと幼いうちから目覚める人もいるらしいです。
「小学生からすでに腐ってました!」というカミングアウトを会社の女子からされた時には……「君ちょっとこっちにおいで?そのお口を縫い付けてあげようか!」と恫喝したこともありました。仕事中はお静かにね!そんな悲しい出来事はそっと横に置いて話を続けますと、以前は大人達に隠されて子供の目につきにくかった恋愛に関する情報が、今はネットなどで簡単に手に入る為に女性としての精神的な成熟が早くから起こるからではないか?と私は考えます。
腐女子脳とは、恋愛に対する強い憧れとともにその活動を始めるからです。
腐女子の妄想とは、恋に恋する十代の少女が理想の恋愛を思い描くとき……ちょっとばかり、無理難題を吹っ掛けすぎて大変なことになってしまった幻想のなれの果て……のようなものです。あまりにも理想が高すぎて複雑骨折した夢の形が腐った妄想の原点です。
最初の内は、「アニメのキャラと結婚したい。結構本気で!!!」くらいの妄想で済んで(?)いた私でしたが……例の薄い本との出会い以降は、どんなアニメを見てもドラマを見ても小説を読んでも全部「この人とこの人の組み合わせなら……どっちが受?どっちが攻めかしら?」などと言い出し、クラスの男の子同士の距離が近づいただけで鼻息が荒くなったり、ちょっとやんちゃな男子生徒を男性教師が教官室へ呼び出している現場を目撃すれば、まるで鬼の首でもとったかのように友人に報告に行っちゃうような……腐女子としての特殊な嗜好は、女らしさの目覚めと共に発芽する可能性があります。
あくまで私や友人の経験に基づいた推論ですので本当なのかどうかは……分かりません!当たらずも遠からずではないでしょうか。
もちろん全員が全員私と同じ道を歩むとは限りません。中には絶対に受け付けないという人もいます。当時も「男同士?ないわ~!私は絶対腐女子にはなれないわ~」という人も一杯いました。
ですが……自分の気持ちを正直に言える人ばかりではありません。そうじゃない恥ずかしがり屋さんもいますからね!その内の何人が本当に絶対に受け付けられない人なのかは未だに分かっていません。
半分くらいは嘘だと私は想像していますがどうなんでしょうかね?
あとはあくまで私の経験則ですが、恋愛に消極的なタイプの方がダークサイドに堕ちている割合が高い気がします。実際に私も恋愛に関してはかなり奥手な方でした。向こうから言われれば付き合ってもいいけれど、自分の方から声をかけてまで付き合いたいとは思わない。こんなことを思っている人はわりと腐りやすい素質をもっています。
それでも必ず腐るとは限りませんので、そこのところは安心?して下さいね。
さて今度は腐女子脳による脳内変換がどのようにして起こるのか?どんな妄想が繰り広げられているのか?というお話しをしていきます。ちょっぴり見苦しい妄想が出てきますのでご注意下さい。
『恋愛をしてみたい。映画みたいなドラマみたいな漫画みたいな恋をしてみたい!だけど一体どうすればいいのか全く分からない。でも一生をかけるような激しい恋がしてみたい!!』
心の奥底に燻る欲望の声に耳を傾けること。それが腐女子の妄想の第一歩です。
後は誰かを好きになれば更にもう一歩前進です。
アニメの登場人物でもいいし、同じクラスの男の子でもかまいません。最近本社からやってきたイケメンでも取引先のナイスミドルでもいいでしょう。
誰かを好きになる。そしてその人のことをもっと知りたい。もっとお近づきになりたい……!
そう思って静かに観察を続けます。
声や仕草も匂いも(?)全部記憶に焼き付けます。周りにいる人間も注意深く見ていきます。その人を取り巻く全てを知りたいからです。
でも妄想ですから、別にストーキングなんてしませんけど。
中にはその段階でそっちの闇に落ちてしまう人もいますが、基本的に腐女子は心の中だけにその思いを留めます。
心の裡を誰にも見せることなく、更に深く激しく相手を愛するようになると心の中に欲望が生まれます。
私の場合は独占欲です。しかも自分でも軽くひくくらいの執着心が沸き上がります。
そうなると妄想の準備は完了です。
「誰にも渡したくない!」「誰にも見せたくない!!」「指一本お前に触れさせはしない!!」
こんな感じのセリフを攻め(男性役)に言わせて執着丸出しの行動を取らせるのが私の好きな妄想です。
どうしてそうなる!?と思われますか?
なのでどうしてこうなったかをちょっと解説してみますね。
私の場合は、アニメでも小説でも現実世界(!?)の誰かでも一番好きになった人が受け(女性役)で二番目に好きな人が攻め(男性役)というパターンが圧倒的に多いです。
一番好きだから受け(女性役)です。
誰にも渡したくないから。特に自分以外の女性に触れられるのが我慢できません。
女の恋人?結婚なんてさせませんよ!!!だから相手は男に限るという発想です。
自分が女性としてその男性と恋愛する妄想も出来なくはないのですが、それだと生臭いというか、所帯じみたものになってしまいがちで、あまり目新しいものが生まれないのですぐに飽きてしまいます。
妄想は楽しくなければ正しくないのです。
それに比べて男性同士だと、自由な発想で色々妄想できるのでそっちが好きになったという訳です。
まず、男性同士という非常に不毛な関係に心躍ります。普通なら絶対ハッピーエンドが望めないからこそ滾ります!!
男女間では最終的に結婚して子供も生まれて幸せに暮らしました。そんな平凡なハッピーエンドか、浮気相手に子供が出来て捨てられるという自分が女だからこそ許せないバッドエンドなど……嫌な思いをするハメになりがちです。
その点男性同士だと、まず子供が生まれません。結婚も普通じゃ無理です。
そこで一生懸命に腐女子脳は考えます。
どうやったらこの人と永遠に一緒にいられるのか。どうしたら世界で一番幸せにしてあげられるだろう……?
かなり重めの愛です。ヤバいです。
気持ち悪いくらいの執着心を持って相手を愛することこそ腐女子の心意気です!!
だから私は二番目に好きな人を攻め(男性役)に持ってくることが多いのです。
今でこそモブと呼ばれる、どこの誰だか分からない男達に凌辱される事がメインの話なんかも普通に読めるようになりましたが、以前はそれほど好きじゃありませんでした。なんだか可哀想で読むのが辛かったからです。
重すぎる愛ゆえに、私は腐女子なんだなとつくづく思いますね。
そんな愛に溢れる(?)私の妄想では、粘着気質系彼氏が受けをこれでもか!!と追い詰める話しが圧倒的に多いのは何故かというと、私が嫉妬深くてわき目を振らないタイプだから……でしょうね。
好きな人を滅茶苦茶縛り付けたい!!という欲望が私の根底にあるのでしょう。
だからどちらかというと自分で妄想する場合は受け(女性役)に感情移入するよりも攻め(男性役)の方に比重が偏っているかと思いますが、これが不思議な事に他の人の作ったお話しだと結構すんなり受け(女性役)に感情移入できちゃったりします。そこが腐女子脳の凄さです。どんな妄想も自分が気持ちが良い方向へ持っていくことができる。まさに万能!素晴らしいですね。
とまあ……こんな感じで大体理解していただけたでしょうか?
腐女子の妄想。
何故男性同士の恋愛に固執するのか?……それは困難を二人で乗り越えて幸せを掴むという、非常に女性好みの展開がかなり容易に想像できるからなのです。
「世界であなただけ。あなたしかいらない」
そんな普通では聞いたことのないセリフもポンポン飛び出します。
自分で言った事もなければ、言われたこともない凄いセリフも驚くほどスムーズに妄想出来ちゃいます。
男女間だとリアルと比べてしまう為に「そんな事現実にはあり得ないだろ!」と、すうっと醒めてしまうという事もほとんどありません。最初から無理な設定なんですから今更というわけです。
そんな理由で男性同士の恋愛の方が好き!という人が今なお増え続けているのではないでしょうか。
恋愛至上主義。それが腐女子脳の真実です。
以前は、十代後半から二十代半ばまでにはごく普通の恋愛を繰り返すことによってこの夢見がちな妄想が薄れていくという説もありました。
経験が妄想と現実の差を見せつけ……はっと目を覚ますという事でしょうかね。ですが、中には私のようにずっぽりとその穴に落ちたきり戻ってこれない人もいます。
その差はどうして生まれるのでしょうか?私なりの考えですがおそらくはこういう事ではないでしょうか。
他人が作り上げた妄想の産物を読むだけでは飽き足らず、自分でも作りだしたい!という欲望が赴くまま妄想を繰り返しているうちに、それがすっかり日常の一部になってしまったから……なのかもしれません。多分。
結論。
腐女子は誰でもなる可能性がある。
だからと言って一生腐女子として生きる人もいれば、その本能を薄れさせごく普通の人のふりをして生きる人もいる。そしてそんな腐女子達はこっそりと妄想を日々繰り広げている……あなたの隣で!!なんてね。
今回のお話しはこんな感じで非常に怖い結論で終わりになってしまいました。
でも多少の差があれど、大体みんなこんな感じなんじゃないかな~と思っています。
あくまでも私のお話しなので、近くにいる腐女子さんに「お前!!俺の事をそんな目で見てたのか!?」などと問い詰めたりしないで頂きたい。
心の中の妄想に関しては、自己責任であり実害が発生しない限りは……無罪なのですから。




