第3章☆3.8次元
第3章☆3.8次元
「彼ら」は、3次元世界で「幽霊」とか「宇宙人」とか「神様」とかそれこそ色々な呼ばれ方をしているが、実は実体を持たない精神生命体だった。
「彼ら」は、複数で連携して3次元に干渉して、人の運命を左右している。
時々、人の頭の中をひょいと覗いては、面白そうな者にとりついて周囲を巻き込んでことを起こすのだった。
「お前の名前は?」
いきなり天井から声がした。一緒の部屋の両親は気づいていない様子でテレビを見ている。
私は自室に戻り、ベッドに横になって耳をすませた。
「私が誰だか知っていて聞いてるのよね?」
「・・・もう一度きく。お前の名前は?」
私は、部屋から荷物を持って外出した。
車を運転する。
手が勝手に動いて運転している。ただなすがままに座っているしかない。
車は、山道に入り、どこかよくわからない所を巡った。
あとになって、その時幻聴と交わした問答の記憶が消されていた。
道すがらいろんな質問をされて、それに答えたり、心で思っているだけで通じたりした。
急な坂道を車は上り、止まったときに、そこが崖の上だと気づいた。
「私たちを信じて。そしたら無事に帰してあげるから」
女声がそういった。私は頭の中にいて、体は誰かに操られていた。
ギリギリの縁を切り返して、車はUターンした。
「いくつか質問するけど良い?」
車はいつのまにか帰路についていた。
「彼ら」はこうして私に接触してきたのだった。
私の考え方や生い立ち等を根掘り葉掘り聞かれた。
「どうして?」
私がきくと、幻聴たちは「お前が人魚の肉を食べたと思っている現象は、実は俺たちの領域に触れる力だから放っておけないんだ」と答えた。
私は、統合失調症になった。