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第2章☆恋と化学変化

   第2章☆恋と化学変化

2年前。

私は作業所に就職した。全く同じ4月1日付けで彼は指導員として同じ作業所に来た。

初めは全く気にもとめなかったのに、真摯な態度に、段々心奪われていった。

胸がどきどきして、瞳が潤む。

よくよく見ると整った顔立ちのハンサムの部類に入る人だった。

少しづつ私の身体に変化が現れた。

しわがより始めていた手の甲の皮膚がピンと張り、瑞々しくなった。頬を手のひらで包むと、萎びていた部分がもっちりとした柔らかい皮膚に変わっていた。

鏡を見るのが嬉しくなった。

髪を伸ばしはじめて、薄く口紅を塗ったりした。

私は彼に恋をした。

夫とは子どもができないことでケンカ別れのように離婚したが、恐らく夫も私の心が別の誰かに傾いているのがわかっていたんだと思う。

彼は15歳年下の人だった。

よく主婦がテレビのジャニーズみたいな若い男の人に入れ込んだりするその気持ちがわかる気がした。

彼は、俳優でいうと松坂桃李みたいな感じの外見だった。

時々、ドキッとするくらい良い顔をする。一緒の空間にいるだけで恋の化学反応が私に現れた。

悩み事の相談に乗ってくれたり、「絶対、嘘はつきません」と言われた。

仕事上、彼は一生懸命私の相手をしてくれた。私は感謝してもしきれなかった。

恋愛というと、セックスと結びつけて考える人が大部分だと思うけれど、私の恋愛は、精神的なものだった。

既成事実は何もない。だけど、確かに私は恋愛をしていた。

見えないもの、形のない何か。

人魚というのは架空の存在で、妖怪の類いに含まれるのだろう。

きっと知らないうちに私は人魚の肉を食べたのだと思う。

若返って、もう一度人生をやり直そうと思った。

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