炎雷氷の創造魔法士
炎、雷、氷。ボールの組み合わせによって、この大陸では見たこともないような魔法が自分の手で創造される。
そしてカサールの異世界冒険も始まる。
星の大陸。暦9821年。
2千年前、魔力の目覚めによって様々な生物がこの大陸を分割、支配した。その中で人類は大陸の片隅に一領地を獲得しているが、これも隣の魔族とオーガに賄賂を重ねながら、彼らの対立のなかで息を潜め、ようやく保たれた土地である。
だが、近年、これも賄賂の重圧や魔族の勢力膨張などから領土が失われつつある。
そうした危機の中で、魔力のないと判定された人間として生まれたカサールは絶望感を小さい頃から味わさせられた。
14歳の彼は現在、鉱山掘りを強いられている。両親からは放棄された。唯一魔法とも見られても良いものは肩の上に常に回っている炎っぽいボールだった。しかし、これも他人が彼を侮るネタになっている。魔力がないくせに、なんだその下品なボールは?
カサールは何度も試していた。9歳から突然出てきたこの炎のボールを消そうと。水を自分の肩にかけたり、掴めて土に埋めたり、投げたりして。が、最終的にはまた肩に戻ってくる。
当時、両親はこれを村落の魔力と知識が一番高い方に見てみたが、分からず。それゆえ、変な子供と決めづけされ、放棄されるのもこれがきっかけとなった。
自分の手でお金を稼いで飯を食うという生活は、十歳からすでに始めた。でないと、死ぬから。
夜十時まで働いて、両親から捨てられる最後の送りものであるボロクソな部屋に戻る。
毎日唯一の慰めは、隣の見知らぬおばあさんからもらった焼き芋だった。今日もこれを口に入れながら、炎のボールをいじる。皮肉なことに、ボールが自ずから微かに光をなすから、ロウソク代は引かれる。
「夢」?なんて言葉をどっかの魔力高いぼっちゃんから聞いたことがあるが、カサールにとっては腹を満たされてくれる温かい食べ物があればそれでもう幸せの限り。
「お休み」と自分の中で言いながら寝込んだ。
翌日、朝。
外が騒がしくなってきた様。
「おい、本当にこの子をやるのか!」力のあるおっさんの声が聞こえた。
「しょうがないだろう。でないと俺ら今年の税が払えないから。」また一人の言葉が返した。
ドン!
日差しが一気に疲れくびれた目に差し込む。思わず手でふさいた。
「コッコッ!臭いな、なんだこの部屋。」長年掃除していないに加え、ほこりが乱暴の開きによって飛び散らされた。
「おい、カサールっていう名前だったんだっけな。いいことあるよ、いっぱい食べられる宴が五年ぶりにやる、お前が宴の主役だ。成人を祝う。」
宴?主役?カサールは頭を回れられなかった。手が掴まれるまま、久しいお風呂を浴びたあと、新しい服をもらった。そした、宴に出た。
三十人ぐらいの村人が、5人ごとに机を抱えながら、待っている。カサールはそのまま席に入り、机の上のたくさんのお肉を口に無造作に入れた。なんという幸福なんだろう。頂点の上に立った。そのため、頭も使いたくなくなってきた。
「みんなさん、カサールの成人を祝う。さあ、一緒に乾杯!」カサールを連れてきたおっさんが呼びかけた。
「乾杯!」一斉に村人たちがコップを上げた。
「カサール、明日から新しい生活が待ってるよ。みんなが君を送るんだ。頑張って」。おっさんがカサールに微笑みながら話した。
「はい、頑張ります」。カサールは食べながら、幸せそうに頷いた。夢だろうって、夢でもいい、いっぱい食べられるからいいと思っている。
魔族領地。首都サ・マ-サ。
「クソ!一体何が足りない!」狂乱したモンスターは顔が歪んでいる。
「ザッカー様、れいの村が約束した少年を連れてまいりました。どういたしましょう。」無造作に散らばれている研究素材を目にした小モンスターは思わず喉をゴクっとした。
しばらく経ってから、狂乱したスフィンクス形、ザッカーと呼ばれるモンスターがほほ笑みを浮かべながら言う。
「そうですか、連れて来ましたのですか。では休憩室で待って頂ければとお伝いください。」
ゾっと「はっ、はい、承知いたしました。」
休憩室
宴のあと、見たことのない獣の形をしたものが村に来てから、カサールはなんとなく察していた。空間転移で移動されたので、具体的にどこに連れ出されたのかはわからないが、たぶん魔族という種族の領地にいるだろうと推測する。
ゆえに、この黒と紫を基調として、頭骨も装飾品として飾れられている部屋に怖いという感情はあるが、ここから逃れるという考えはまったくない。
「お待たせしっ、おぉなんと素晴らしい炎のボールよ、何百年間研究してきたが、これはもたこともない。もしくは新たな魔力源もしくは神の結晶!」ザッカーは一気にカサールに接近し、乱暴に彼を抑えながらメガネをかけて、ボールを隅から隅までチェックした。
「おっと、失礼しました。私は魔王デーモン様所属第一研究室人間魔法研究科ザッカーと申します!」
「私は...」
「黙れ!人間ごときがこの私に直接話しをかけるなど!...私はただ魔法の深淵を覗きたい、それがどの種族の魔法であろうと全て興味がある。だが、それは人間自体が価値をなしているという意味ではないーんだよ。」
ザッカーはある魔法書を手に取り、解説しながらカサールに渡した。「これは神に一番近いと言われている種族が使用する魔法書。その中の炎に関連する呪文を唱えてみてください。もっとも神秘な魔法書と見たこともない源。どうなるですかね。」
カサールは言われるまま、魔法書をめぐった。以前村の学院で少しだけ勉強してたことがある。ただしそれは音読に限って、文字の意味は読めない。
適当に赤っぽいページを開き、その中の一行を読んで見た。
「あまにおくほのおをつかさどるかみよ、われにちからをくだされ。」すると元々カサールの肩にあるボールは頭の後ろで回り始めた。それだけではない、回っている軌道に二つ空いていると見られるような暗いボール空間が微かに見える。
カサールの体の中から金色の魔法陣が突然現れた。
これはなんだ。体が暖かい、気持ちいい。
「ドン!」天から直径10メートルの火が勃発した勢いで注いできた。それはまるで隕石が落ちたかのように、カサールがいる部屋は一瞬にで赤く染められた。
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