異世界で最強執事に出会いました!2
俺がオールを叱り、ラプラスの街までの護衛が始まった。俺達が護衛されるけど。ラプラスの街までは歩いて向かう。
「それにしてもお二人は何故こんなところに?どこかで馬車を襲われたとかですか?」
うーん、言っていいのかなぁ?異世界転生したけど転移に失敗してここの森でさ迷うことになったって。
少し言い淀んで少し後ろにいるオールの方を見てみるが、このクソ女神耳糞をほじっていた。
「おい」
「待って!女神に鼻くそも耳くそもただのクソも出ないわ!」
お前現場見られているくせに何を今さら言っている。そんなに強がる必要がどこにあるんだよ。さっきの醜態からお前の尊厳は限りなく地に堕ちているぞ?
「はっはっは!女神とはこれまた面白い冗談だ!」
何かがグレムさんのツボに入ったようだ。でも後ろ見てくださいグレムさん。糞まみれの女がものすごい睨んでいます。気持ち悪いですよね?
この流れに乗じてここに来た経緯を話した方がいいかな?話したところで何になるかはわからないけど、俺達と関わる機会が増えていいことがあるかもしれないな。
「グレムさん、ここから話すことはここに来た経緯で、夢でも冗談でもない至って真面目な話をします。信じる信じないはグレムさんの自由ですが聞いてくれますか?」
「・・・・・・わかりました。私では役不足があると思いますが、ぜひ聞かせてください」
俺の真剣な声音と表情で察したのかすぐに受け入れる用意をしてくれた。
「さっさと話して!私の格が下がってばっかりだわ!」
ホジホジするからじゃないか?
俺は女神と会ってからここに来てゴブリンジェネラルと戦うまでの経緯を話した。もちろん俺の死因とかは当然伏せている。恥ずかしいからな。
「なるほど、それは興味深い話だ。それでオールさんが女神であったとは失礼しました。てっきり冗談と勘違いして笑ってしまいました。すみません」
グレムさんが謝る必要は無い。だってこいつが女神らしいことを何一つしていないからな。むしろオールがお礼を言えよ。女神と認めてくれてありがとうございますって。
グレムさん人が良すぎる。俺達の話を一回聞いてすぐに信じてくれるなんて。
「本当に失礼だったわ!ここで土下座」
「うるせぇ駄女神のくせにしゃしゃるな!」
俺は調子に乗り始めたオールの頭にゲンコツをくらわせる。
「痛いわ!なんでよ!私女神よ!?」
「何言ってるんだよ。お前に女神の力はもう無いだろ。お前は女神じゃなくて女神だった女の子だ。もう勘違いするな」
「酷いわ!何もそこまで言わなくてもいいじゃない!女神として扱ってもいいじゃない!うわぁあああん!」
「まあまあ二人共落ち着きましょう。モンスター達が寄ってきます。と言っているうちに一匹」
俺とオールが喧嘩しているせいでモンスターが集まってきたようだ。その対処を俺達の目でギリギリ捉えれるスピードで行った。モンスターは多分オークというやつだろう。豚みたいな顔と大きな体が見えたが一瞬で首をはねられた。
「ご、ごめんなさい」
「ヒィィ!」
俺は恐怖のあまり謝り、オールはへたりこんで喉奥から汚い声を出した。
「大丈夫でしたか?少し休みましょうか」
歩いてきた時間は1時間経ったのだろうか?腹時計とやらは多分役に立ってないし、もちろんそこの女神は役に立たない。
そこら辺の木に腰を下ろしたいところだが、異世界の木というものは大丈夫なのか?木の形をしたモンスターだったというオチがあっては困る。
どこに座るか困っていると、グレムさんが二刀流で三本の切り株を作った。綺麗な太刀筋に惚れ惚れする。これはスキルか何かなのだろうか。
「ではここに座ってください」
「ありがとうございます」
「ありがとう」
敬語を使えないのは分かっていたが、まあ普通にお礼を言えるぐらいには成長したようだ。
「グレムさんはなんで俺達の話をすぐに信用したんですか?俺だったら全然信じられないと思うんですが」
さっきから疑問に思っていたことを質問してみる。普通は異世界転生など信じないと思うんだ。俺なら馬鹿にして無視する。それをグレムさんはすぐに信じた。
「そうですね、私はこれでも長年生きてきたので転生者と剣を交えたことがあります。それにあなたは真剣に私の目を見て話しました。それを無下にして信じないなんてことは私にはありえません」
なんていい人なんだ!それに転生者と戦ったことがあるのか!
「転生者と戦ったことがあるんですか!?」
俺以外に送られた弱い転生者。どのくらいのチートを貰ったのか気になった。
「はい。私もその時は20代、若くて少しやんちゃしてたものです。自分に剣がある限り負けはしないと傲慢な態度を取っていました。ですが転生者と戦って改めて自分の力不足を感じ、これまでの傲慢さを悔いました。そして気持ち改めて鍛錬を積みました。そのぐらい人生を変える相手ではありました」
このグレムさんにそこまで言わせるなんて!?チートは伊達じゃないということか。弱くても強くなれる世の中なんだな。俺だけには優しくない世界だ。
「グレムさんがそこまで言うなんて相当強い人だったんですね。勝つことは出来たんですか?」
「なんとかギリギリ。私はあなたも多分その人と、いやそれ以上に強い人間になると思っています。あなたは少ない能力でも全ての性能を限界まで発揮出来る頭脳と勇気があると、先ほどの戦いを見ていて私は思いました」
グレムさん、優しすぎる!かっこいい!将来俺はこんな紳士な執事になりたい!あ、女神の執事は絶対に嫌だ。可愛い子でお願いします。性格と顔が両方可愛い人で。
「じゃあまた歩き始めましょうか。あともう少しですよ」
✕✕✕
「あそこがラプラスです」
グレムさんと色々話していたらあっという間に時間が過ぎた。いつの間にかラプラスを囲んでいる壁が視界に入っていた。
グレムさんは普段、ある領主の娘さんの執事として働いているらしい。今日はラプラスに滞在していたらしく、娘さんのお願いで森に行ったらしい。そこで俺達を発見したらしい。
何故その森に行ったのかは聞かなかった。グレムさんが話したくはないと思うなら別に無理に聞こうとは思わなかった。助けてもらった身でおいそれと聞くわけにもいかないし、娘さんのお願いを他人の俺達が聞く必要は特に無いからな。
俺とグレムさんが話している間、オールはこちらをチラチラ見ていて話しかけて欲しいムードを出していた。もちろん無視したら拗ねてしまった。
門の前まで来て兵士に止められる。
「これは!剣神様!そちらの方々は?」
「こちらは私の連れのものです。滞在許可証を出してもらえますか?」
「もちろんです!剣神様のお連れの人ですしこの街は比較的制限は緩いですからね」
え、なんか剣神って言葉が聞こえた気がする。剣士ではなく剣神と。もしかしたら当てている字が違うかもしれない。でも、あの人の強さと剣の美しさは剣神という呼び名が相応しいと思う。
程なくして許可証を渡された。門が開かれるとそこには中世西洋のヨーロッパ風の景色、元祖異世界が広がっていた!
「ここがラプラスです。人は優しく、食べ物なども美味しい。水も綺麗です。ここは私がこれまで数多く巡った街の中でも五本の指に入る清潔さを誇る街です、安心してください」
いい!中世といえば汚さが目立つと思ったが、それだけ好条件の街なんて最高だ!
「では私はこの辺で。冒険者ギルドはあちらを真っ直ぐ行って右に曲がればたどり着きます。カイトさんにまた会えることを楽しみにしています」
「俺もまたあなたに会えるのを楽しみにしてます。その時は少しでもグレムさんに近づけるように頑張ります!」
グレムさんと握手を固く結んだ。
「・・・・・・さようなら」
「オールさんさようなら。またあなたとも会えることを私は楽しみにしてます」
オールはまだ拗ねていた。確かに少しやりすぎたかもな。
グレムさんが段々離れていく。グレムさんにはお世話になった。あの人がいなければ俺達の命はなかった。もしかしたら俺達を助けるために娘さんはグレムさんを派遣したのかもな。
・・・・・・そんなことあるわけないか。そんな未来のことわかるわけがない。
でもグレムさんのお陰で助かったのは事実。また会ったら今度はこちらが助けられたらいいな。
俺はグレムさんが見えなくなるまで見送った。
「じゃあ冒険者ギルド行くぞ」
「嫌だ」
「まだ拗ねてるのかよ。野垂れ死にたくないだろ?」
「まさか見捨てる気!?ごめんなさいもう拗ねないから見捨てないでぇー!」
置いていこうとしたらまた捕まった。
「泣き叫ぶな!周りに誤解を招いてるんだよ!」
周りの冷たい目がきている。ヒソヒソと話し始めて俺らを見ている。このままだと兵士に誤解されて捕まる!
「見捨てないから!早くギルド行くぞ!」




