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22・おさななじみの擦れ違い

―# ユキside #―


は、ハルちゃんの部屋に招かれた。

どうやら勇気を出して着て見た衣装の効果は上々なようだ。


・・・た、ただ、失念していた事として、ハルちゃんって私が誘うような行動をすると、衝動的な行動に走るんじゃなくて言動と行動がおかしくなるのを忘れていた。

ま、まさか五分以上も視姦されてしまうなんて・・・。

普段から割と胸とか見てるよなぁっていうのは感じていたけど、今日のはやっぱりいつも以上だった。


ちょ、ちょっと冒険した甲斐はあったのかもしれない。

ただ、ハルちゃんの場合、なぜかそういうのが特殊な行動に繋がってしまう。

な、涙を流しながら世界に感謝するって・・・。

あ、頭の中で何がどうなればそういう行動につながるのかわからない。


こ、こんな突飛な行動に出るハルちゃんに私を押し倒させて、頭を脱がせるみたいなことは可能なんだろうか?

・・・よ、弱気になっちゃダメだ。あの美形の転校生が来たことで、このままの関係が壊れてしまうのかもしれないのだから、秘密を明らかにするのは姉妹とハルちゃんの関係を次の段階に進めるためには必要なのだ。

頑張ってなんとか誘惑して、ハルちゃんに私を押し倒させよう。


・・・・・・なんていうか、自分でもこれが正しいのか間違ってるのか色々こんがらがってわけわからなくなってる気がするけど、もうここまでやったんだからやるしかない。

せ、攻め攻めで行こう!


「・・・あれだね。ひ、久々に入ると、やっぱり部屋の中とか結構変わってるね」


「そう? 小学生の頃はどんな部屋だったか覚えてないからわからないや」


「うーん、ほ、本棚とか机とか、そういうのは小学生の時と変わらないものを使ってる気がするけど、色々とやっぱり、高校生の男の子になったんだなぁって感じるかな」


「小学生の頃と比べたら、さすがに少しは大人になれたのかな? まあ、高校生もまだ子供なんだろうけど、小学生の頃よりは大人っぽい物が増えてるだろうし」




「・・・ううん、それもあるけど、やっぱり一番は男の子っぽい匂いがする」




・・・ど、ドヤ。

まずはジャブだ。

匂いというのはさせている本人が気付きにくいものだ。

部屋の中の匂いというのは他人に指摘されてしまえば、よほどアロマにこだわっているとか、普段から消臭に気を使っているとかでない限り否定できる人間は少ない。

そ、そして、自分ではわからないことは他人の意見が気になるはずだ。

私は匂いがある事を指摘したが、その匂いがいいものか悪いものかは答えていない。

し、しかし、指摘された方は自分の匂いがわからないので、それを指摘されればネガティブなものなのじゃないかと疑ってしまう。

自分の匂いに自信満々の人なんてそういないだろうから。


「あ、ゴメン。もしかして臭かった?」


ハルちゃんもやっぱり気になったみたいで、そう私に聞いて来た。

さ、作戦通りだ。


「ううん、そ、そんな事ないよ。私は好きな匂いかな。なんだか落ち着く」


そう答える。

は、ハルちゃんは一度私に臭かったかと聞いたことで自己評価を下げている。

それに対して私は臭くない。むしろ好きだと言ったことで、フォローした。

自己評価が低いものをフォローされると、人は嬉しくなる。

そ、それに、匂いが好きっていう発言、ちょっぴりえっちぃ雰囲気あるよね。


ほら、よくいうフェロモンだっけ? あれを感じる器官は鼻にあるらしい。

だから、貴方の匂いが好きだというのは、貴方のフェロモンに魅力を感じていますと言っているのと同義だ。

つ、つまり私が今やったのは、部屋に入った出だしからえっちぃ雰囲気を作るための作戦だったのだ。


さて、ハルちゃんはこの作戦に対してどうくるだろう・・・。




―# ハルタside #―


に、匂いが好みですと!

なんか凄くエロい感じするなそれ!


・・・なんというか、ユキ姉今日は服からして凄くエロいし、もしかして俺を本気で誘っているんじゃ・・・・・・。




いやいやいやいや、まてまて落ち着け真中ハルタ。

その結論は早計だ。


俺は男子高校生だ。

男子高校生というものは、中学頃から始まる身体の変化や精神の成長によって、自分の性欲が抑えられなくなってくる存在だ。

いわゆる思春期というやつだな。

今までなかった感情や、持ってなかった性欲に戸惑い、暴走してしまいがちな時期。


この時期の男子高校生というのは性に敏感になってしまう。

女子のちょっとした仕草を自分のことが好きだからやっていると勘違いしたり、逆に相手はそんなに意識してやっていない行為を自分を嫌っているのだと思い込む。

そういう時期でもある。


だが実際には相手はそんなに他人を意識してない場合が多い。

これはちょっと考えればわかる事だ。

自分自身がクラスメイトのうち何人を意識しているかを考えればすぐ終わる。

例えば30人のクラスがあったとして、30人のクラスメイト全員のキャラや性格を理解していたり、常に気にしているかを考えればいいのだ。

多分意識して全員と関わりを持とうとでも思ってない限り、半分も理解していれば多い方じゃなかろうか。

むしろ喋ったことすらないというクラスメイトだっているはずだ。


クラスで目立っている存在であるとか、あるいは目立った存在になにがしかの標的にされている存在とかであれば認識しているクラスメイトも多いのかもしれない。

だが、そうでない限り、よほどのことがなければ個人が個人を意識するということはない。

自分が意識しない存在が多いのであれば、相手も意識しない存在が多い。その意識しない中に自分がいてもなんら不思議はないのだ。


ちょっと話が違う気もするが何が言いたいかといえば、人間よほどのことがない限り、他人に何か思われてる。他人がどう思う。みたいな意識はほとんど勘違いなのだ。

世の中他人に注目して生きている人間というのは少ない。街中ですれ違った人の顔や服装なんて、余程目立つ何かがなければわからないし、覚えてもない。


そして目立つのは存外難しい。

もしも目立つのが簡単だというのならユーチューバーになるという夢を止める親はすくないだろう。

人から目立つというのは才能だ。他人から意識される才能。

美貌なのか話の面白さなのか、逆に醜さや性格の悪さであっても、他人から目立って意識されるというのはとても難しい。


まあ結局つまりは、人間思った以上に他人から意識されにくいし、意識されていると思っていても、それは勘違いであることが多いということが言いたいのだ。

俺、真中ハルタは平凡な人間だ。

付き合いの長い幼馴染はかなり目立つことに対する才能を持っていると思うが、俺はあくまで平凡だ。


だからつまり、俺が感じたこのユキ姉の誘っている感じのアピールに見えたものは俺の勘違い。

そうに違いない。




ふう、危なかったぜ。


・・・なんというか俺は幼馴染が音成三姉妹であったことで、昔からよく勘違いをしがちな人間だった。

こんな特別な三姉妹と幼馴染であるなんて、俺は特別な存在なんじゃないかと勘違いしそうになるわけだ。


だが、それは違うのだ。

確かに音成三姉妹は特別な存在だ。

だけどあくまで特別なのは音成三姉妹であって、俺ではない。


実際その勘違いで何度も痛い目を見ている。

音成三姉妹が有名なせいで、ついでに自分も有名である気色でいたら、全然名前も知られてなかったとか。そういうことが多々な。

自信満々で前に出たら、お前は誰だと言われたときの恥ずかしさだ。

あれほど自分の勘違いを呪ったことはない。


俺は平凡。その認識は失ってはいけない。勘違いをしてはいけない。


つまり現状はこうだ。

ユキ姉は俺から見てかなりエロく見える服を着ている。


しかしこれはユキ姉が俺にエロいと思われたくて着ているとは限らないのだ。

単純に可愛いと思って着ていて、今まで着てなかったように感じていたのだってタマタマの可能性がある。


ユキ姉の匂い発言もそうだ。

なんの意図もなく、単純に感じたままを言っただけで、下心も俺に対する意図も何もない。

そういう可能性もあるわけだ。


サツキはユキ姉は俺に対して好意を持っているようだみたいなことを言っていたが、もしそれが本当だとして、それが俺が勘違いしたふうにいきなりエロい行為を誘う行動に繋がるとは思えないしな。

女子はそういうの苦手なんじゃないかと思うし。

つまりは俺の勘違いで決定なわけだ。

・・・ふう、マジで危なかった。


危なく押し倒して、あのエロすぎる胸を弄びたくなってしまうところだった。

キスとかそんな手順とか吹っ飛ばして、胸を重点的に。

そんなことしたら全てが終わりだ。ここは間違えずに対応しよう。


「そっか、気にならないのなら良かったよ」


俺はユキ姉にそう答えた。

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