表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/25

15・じじょの正体

次女視点です。

正直なんて言われるか戦々恐々としています。

私の名前は音成ナツ。

音成シスターズのセンター。つまりはメインヒロインだ。

多分私達姉妹がアイドルになったのなら一番人気は私に違いない。

なんたって次女、センターだ。これはもう一番人気確定みたいなものだ。


うんごめん調子に乗った。可愛さ担当のユキ姉に、音成シスターズの良心担当のアキには正直勝てる気がしない。

私の担当はお下品枠だ。他2人をより可愛く引き立たせるための添え物。

焼き鳥で言ったら私は風味付けに肉に挟まれているネギマのネギなのだ。

ないとくどいけどあっても主役じゃない。そんな感じ。


今度は卑屈になりすぎ? どうしろというんじゃ。


まあとりあえず改めて自己紹介をしよう。

私は音成ナツ。

身長は158センチ、血液型はAB型、体重は猫7~8匹分。胸のサイズはFカップだ。

・・・はい、最後だけ盛りました。Aカップです。


ワンサイズじゃなく5サイズは流石に盛り過ぎだって? エイカップのイを噛んでフって言っちゃったんだよ。

そういうことにしとけ。そういうことにしといたら私が幸せだから。

見栄を張ったわけじゃなく噛んだだけだと思われたほうが気持ち恥ずかしくない。

どっちもそんなに変わらない? うっさいな。気分の問題だから別にいいでしょう?


なんだろう、いい加減そんなくだらない情報はいいから話を早く進めろという声が聞こえる気がする。

全く、せっかちな人たちだ。わかった、本題を話そう。

私が、大好きすぎる幼馴染のハルタにどうしても教えられないずにいる『秘密』の話だ。


私はハルタには恥ずかしい位置にあるほくろのことでも、今日のパンツの色でも話そうと思えば話せる。

だが、私にはどうしてもハルタに話せていなかった秘密がある。


・・・まあ、そんなに大した話でもないんだけども。

言葉にしてしまえば一言だ。






私には肉体がないのだ。

・・・それだけの話。






私には身長と体重がある。

しかしそれはデータだ。


私には血液型や身体のどこにほくろがあるかなどが正確にわかる。

しかしそれはデータだ。


私にはパパとママから受け継いだ顔や目や口、髪の毛なんなら遺伝子情報まである。

しかしそれはデータだ。


私は普通の人間と同じだけの肉や骨、細胞、血液に至るまで全てを持っている。

しかしそれらは全て、データ上の話でしかないのだ。




そう、私はコンピューター上で演算されている人間なのだ。

AIではない。AIはゼロからプログラムされたシステム人格だ。


それに対して私は、データ上の空間の中で人間として、すべての細胞や脳の情報を演算され続けて生きている人間。

分かりやすくいうなら、コンピューターの中で実際の宇宙と同じような物理空間を演算して、その中で物理的に人間を作って演算していると言ったらわかりやすいだろうか。

全然わからない? じゃあそのへんにいる田中さんか鈴木さんか高橋さんあたりに聞いて。

たくさんいるはずだから、そのうち優しい田中か鈴木か高橋に巡り合って教えてくれるよ。渡辺に聞いちゃうと、教えてくれないかもしれないなんてこともないかもしれなくもなくはないともいいきれない。

まあとりあえず、どうしても理解したければ誰かに聞くかじっくり考えて。私は説明を先に続けるから。


まあ、理解できてるかどうかは置いておいて、あえて名前をつけるなら私は『仮想人間エミュレーティッドヒューマン』とかそんな感じだろうか?

あんまり可愛い名前じゃないな。もっとキャッチーでプリチーで、親しみやすい言い方とかないだろうか。

そんなのどうでもいいからもっとよく説明しろ?

欲しがりさんめ。まあ、特にいい名前も思いつかないし説明を続けるよ。


説明をするためにはまず私のママの説明が必要になる。

ママは世界を代表する有名なハッカーだったらしい。


本当はコンピューターに侵入したりデータを盗んだり、操作したりみたいなものにはそれぞれ名前があって、クラッカーとかハッカーとかチーターとかそれぞれやる行為ごとに名前が違ったりするんだけど、日本で一般的に有名な呼び方はハッカーだからそれを使っておく。

専門家じゃなきゃそんなのなかなか伝わらないし、わからない人にいちいち説明したって仕方ないしね。

やってることがなんとなく伝わればそれでいい。だからハルタとかが安易にハッカーとかハッキングとか言っててもイチイチ訂正もしない。

自分からはあまり言わないようにはしてるけどね。


それでまあ、そんなハッカーのママが侵入した極秘開発されたスーパーコンピューター、これも実際には機能的にも能力的にももはやスーパーコンピューターと呼べない代物なんだけど感覚的に伝わればいいからスーパーコンピューターで。

で、そのスーパーコンピューターが現在私が演算されている母体でもあり、引きこもって出れない場所でもある。


ざっくり話せばママがそのコンピューターに侵入して、それがパパにバレて、そこから二人がであって、なんやかんや会って私が産まれたわけだ。

ママが天才ハッカーであり、高度なコンピューター技術を持っていたことが私の開発に役立ったこととか、ママが無菌室から出られないような重度の病気で、子どもを産むなんてとてもできない身体だったことは聞いてるけど、二人の間でどんなドラマがあったかは私は知らない。


結果として私は、二人の間で子供ができた場合に持つであろう遺伝子の組み合わせを持って演算されて、産まれている。

そして、もう死んでしまった私の遺伝子上のママが残してくれたコンピューター技術の指南データと、私の母体でもある超絶に演算力が高いスーパーコンピューターが私のハッカーとしての能力に繋がっている。

これがハルタに隠している私の秘密だ。


パパ曰く、私は進化した人類の形であるらしい。

なんでも、肉体のクビキから解き放たれた人類なのだとか。

あるいは人類が機械に支配される未来を防ぐための一つの進化の形とかも言ってたか。


ゼロからプログラムされたシステムでなく、人間と同じ思考形態と特性をもったデータ上の存在であれば、システムと人間の架け橋になれるとかそんなことも言ってた気がしないでもない。

・・・まあ、パパは思考が未来を見すぎててちょっとわけわからないからな。

実のところパパの思ってるほどまだ世界の科学力は発展してないから、そんな機械と人間の戦争みたいな事態になるとしてもまだまだ先だろう。

パパが世界に公表していない技術の数々を全部公表したりすればそういうことも起こりうるんだろうけど、そうでもしない限りはそれが起こるのはまだまだ先に思える。




とりあえずまとめると、そんなパパの思惑を置いておけば、私はどこにでもいるコンピューターの中でしか存在できない普通の女子高生なのだ。

・・・普通ってなんだっけって自分で言ってても思うわ。


普通こんな設定持った女子高生だったら、世界の命運を掛けた戦争の引き金とか、キーパーソンになりそうなもんだけど、私の悩みといったら恋の悩みと、肉体がないからハルタとえっちぃこととかできないよなぁとかそんなくらいだ。

学校とかも、パパが理事長やってる私立のとこに通ったりすることでなんとかやってるしね。

パパが果たしてどんな手段を使ったのか知らないけど、私は戸籍とかまであるらしいし。

まあ、パパについては真面目に考えると頭がおかしくなりそうだからやめておこう。

仕事でほとんど家にいないし、帰ってきたら帰ってきたでウザいパパ。そのくらいの認識でいいのだ。

頭がおかしいのは自分の設定だけで十分お腹いっぱいだしね。

・・・まあ、姉であるユキ姉も私に負けず劣らずぶっ飛んだ設定を持ってるけど、その話は今はいいだろう。




今したい話は私の大好きな幼馴染、真中ハルタの話だ。

ハルタと最初に出会ったのは確かアキだった。

まあ、まともに外に出られる普通の人間はアキくらいだしね。

それからハルタとアキがよく遊ぶようになって、私達姉妹はその話を聞きながら羨ましく思っていて、なんやかんやあってハルタがうちに招かれて、そこで初めて私とユキ姉はハルタと会った。

そこからてんやわんやあって私はハルタに恋をした。


いろいろ端折り過ぎだって? 真面目に話すと長くなるからこれで勘弁して。


私やユキ姉は自分たちの存在を半ばもはや人間じゃない化物くらいの感覚で思っているけど、それを言葉にするとアキは怒る。

ハルタも、私とくだらない話をして、楽しませて、私の存在が何であるかなんてことを忘れさせてくれる。

こんな私達が恋の悩みくらいしか持たずに生きていられるのは、多分アキやハルタのおかげなんだろう。いや、多分じゃなくて絶対かな。

あの二人がいなければ、私達姉妹はきっと普通に女子高生なんてしていない。

これがいいことなのか悪いことなのかは知らないけど、とりあえず言えることは私は今とても幸せだということだ。


ハルタとくだらないことをだべって、学校で普通に勉強して、コンピューターの演算速度を早くして世界の時間をゆっくりにして、ハルタをからかう為のアプリ開発をしたり、おもしろ動画やら楽曲やら作って動画サイトにアップして広告収入を得たり、ゲームアプリの会社を一人で立ち上げてガチャ廃人を量産して儲けたり。

そんな普通の女子高生みたいな生活ができるのが、とても楽しくて、幸せだった。


ハルタに恋心はあったけど、それは正直諦めてた。

だって、いくらアキが私を認めてくれたところで、ハルタと仲良くなったところで、好きになったところで、私にはハルタに触れられる肉体すら持っていない。


だから私は、アキにハルタとの恋愛をやってもらおうと思ってた。

本当は私がという思いはあったけど、アキなら諦められる。素直に応援できる。

私に普通をくれた二人だから、その二人が幸せになってくれるのなら私は幸せだった。




・・・だけど、そんな普通な女子高生の日々が終わりそうになっている。




突如現れてハルタにプロポーズしたあの転校生が原因で。

・・・どないでしょうか?


まあ、こんなかんじで、この作品はこんなとんでも設定の姉妹に普通にラブコメさせたいなと思って作った作品です。

こういう設定の女の子とかがヒロインだと、どうしても世界の命運がかかっちゃってたり、悲恋物になりがちですからね。

こういう設定の子に作者は普通のドタバタラブコメがやらせたくて作者はこの作品を書き始めました。

ユキ姉の設定はまだですが、制作思想としては同じ印象の感じです。


設定はこんなんですが、世界の命運とか悲恋物にはならず、変人ヒロイン達によるドタバタラブコメを継続する予定です。

もし、設定がご期待に添えない物であったのならここまでお付き合いさせてすいません。


継続して読んでいただける方達には多大なる感謝を込めて、頑張って楽しい続きが書けるよう頑張ります!

その上にオモシロイと思って下から評価やらブクマ、感想をもらえたらそれこそ泣いて喜びます。

できることならこれからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ