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奇跡が残した傷み

作者: しゃむす

彼は彼女を太陽と言い

彼女は彼を月だと言った

互いに違う世界で

生きていくはずだった


夕闇に消えていく太陽と

妖艶な輝きを放ち始める月

一瞬の出逢いが

たった一度の奇跡になる

運命と呼ぶべきいたずらが

惹かれあい、翻弄し、引きずり合う

一生消えることのない強烈な傷跡を残す


月に触れるたびに

彼女は許されない世界に思いを馳せる

今日も出逢えたと幸福を感じて

今日も囚われていたと

絶望が押し寄せる


涙の雨が

心に深く染み込んで

傷を広げていく

ゆっくりと、確実に

時が癒していくとしても

時に癒されていくとしても


互いの世界に還って

何事もなかったかのように

輝き生きていく運命

奇跡は彼方に残されたまま

彼女の記憶も残されたまま


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