ショートコント「バイト」
A「はいこんにちはー!」
B「こんにちはー」
A「どうも、僕たち○○○って言います!是非、名前だけでも覚えて帰ってくださいねっ!」
B「よろしくおねがいします」
A「ところで僕たち芸人やってるんですけど」
B「やってるな」
A「ほら、この業界の若手って(A、手でお金のジェスチャー)こっちの方少ないじゃないですかー!」
B「今日見に来てくださってる方々は知ったこっちゃないと思うが」
A「少ないんですよー!」
B「まあ、そうだな」
A「と、いうわけでバイトしてみようと思うんですよ」
B「自然な流れだな」
A「でも実は…バイトってやったことなくて」
B「この歳までバイト知らずとは…仕方ない、シミュレーションしてやろう」
A「おお!ありがとう!」
B「じゃあお前コンビニの店員。俺はコンビニの自動ドアやるから。(B、両手でドアを開くジェスチャー)ウィン!」
A「いらっしゃいませー!」
(間)
A「って客じゃないのかよ!客役いなかったら話進まないじゃないかよ!」
B「お客役ならそこにいるだろう(B、何もない虚空を指差す)」
A「何もないじゃないか!」
B「失礼なヤツだな、ちゃんとおじいさんがいるだろ」
A「おじいさん!?」
B「(B、聞き耳を立てる仕草)え、なんですか?絆創膏ないかって?いや、絆創膏とかよりちゃんと治療した方がいいですよ、その傷…」
A(Bの言葉にかぶせて)「え、まさか」
B「思いっきり矢が刺さってるじゃないですか」
A「矢!?落ち武者!?どう考えても幽霊じゃんそれ!!」
B「(B、Aの方を向いて)A、ちょっとうるさい」
A「あ、ごめん」
B「(B、向き直って)いやー、やっぱりそれは病院行った方がいいと思いますよー、はい。」
A「病院!?死んでるのに病院!?」
B「あ、はい。あっちの方向です。…ごめんなさい、仕事中で、…」
(B、送り出す仕草。手を振りながら)
B「壁抜けて行っちゃったよ。よっぽど痛いんだな」
A「いや、いやいや待て待て、B、お前幽霊とか見えるの!?長年コンビ組んでたけど初耳なんだけど!?」
B「は?馬鹿だな、幽霊とかそんな非科学的なもの居るわけないじゃん」
A「いやだってさっき…。(A、後ろを向き)なんだこれ!台本にねえぞ!?」
B「ところでさ、昔から気になってたんだけど」
A「(A、向き直り)え、あ、うん。」
B「いつもお前の後ろに立ってる女の人、誰?」
(A、絶句)
B「ああ、時間が来てしまった。それでは、○○○でした。ありがとうございました」
(B、一人で下手に)
(A、棒立ち)
A「…あ、おい!ま、待てよ!お、俺の後ろに居る女って誰だよ!!おいっ!おいっ!」
(A、駆け足に退場)
(暗転)
この台本はフィクションです。
AさんもBさんも、私の背後の気配も、現実には存在しません。
…そんなもの、ありませんったら。