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幼馴染と隠しナイフ:原罪  作者: 氷ロ雪
救世主と藻。あと蜂と星。
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女神の泉

女神達の接点、それは薄暗い記憶、事件。

ここは男子禁制の女神が集う湯船です。

あ、佐藤深緋さとうこきひです。


今、私の隣には白い湯船に今にも同化してしまいそうな日嗣(ひつぎ)さんがいます。私は、間違っても胸部が水面から上に出ないように首まで浸かっている状況です。


 荒川先生はのぼせ気味なのか、湯船の縁に腰掛けてこちらをみています。


 杉村さんは、解いた髪を巻いてお団子状にしてその真ん中にかんざしを刺しています。容姿は、神話の女神の様ですが、湯煙を纏う彼女はまさしく天女です。あぁ、行かないで、愛しい人。


 おっと、少し逆上せてきたようです。


 私は皆に背中を向けるようにして、湯船の縁に両腕を預けます。


 「お前も逆上せたか?佐藤」


 「はい、少し。先生は、半分酔っているんでしょ?」


 ハハハ、当たりだ。と私の頭をポンポンと叩いてきます。

 その度に私の目の前で何かが上下に揺れています。


 これはなんでしょう。私には無いから解りません。


 日嗣さんが、そのまま寝てしまいそうになる寸前で立ち上がりました。


 勢いよく、頭に乗せたタオルを体に巻くと、私の隣にやってきて、荒川先生と同じように縁に腰掛けます。


 そして、荒川先生の方を確認して、こう提案します。


 「第四の少年もおらぬ。それに加えて私がこうして皆と集まる機会もレアじゃ」


 「そうだなぁ」


 と素直に納得する荒川先生。


 「佐藤さんに、妾の持っている、伝えられるだけの情報を渡したい」


 私はその質問の意図が分からずに、荒川先生を見る。

 あれ?気の性か先ほどと一転して表情が厳しくなっている気がします。


 「本気か?何も今じゃなくても・・・・・・お前は平気なのか?」


 日嗣さんは、静かに、それでいて何か闘志の様なものを宿した瞳になる。杉村さんの方を一度確認する荒川先生。耳打ちするように荒川先生に囁く。


 「天使の喪失している記憶は”働き蜂”の記憶じゃ。過去の事件の記憶までは失われておらぬ」


 荒川先生は苦痛の表情で、日嗣さんの頭をそっと撫でました。

 え、こんな表情の彼女を見た事はありません。

 あ、間違えました。この人きっと別人なんでしょう。


 そんな私の戸惑いを余所に、日嗣さんの口からとんでもない過去が浮き彫りにされていきました。

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