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木田沙彩の災難

アニメ研究部であり図書委員の木田沙彩は黄金の少女と変な所で遭遇する。何をしてるのかな?

高校生は夏休みを迎えるこの時期、私は委員会の仕事で八ッ森高校に朝から顔を出さなければならない。


図書委員である私、木田沙彩きだ さあやは夜更かしした昨夜を後悔しつつ、学校の門を潜るのであった。


今日の活動が〝アニメ研究部”の活動なのであるならば、眠気などどうという事は無いのだが。アニメ研究部の目下の活動目標は、文化祭でアニメを上映する事だ。


 もう題材は決まっている。あのキュートな転校生の美少女、杉村蜂蜜を主人公にした物語だ。アニ研の作画担当、小室亜記こむろ あきとの打ち合わせも抜かり無い。


 映像編集やPCでの作業は江ノ木カナ(えのぎ かな)が控えている為、恐らく問題無いだろう。


 あの二人のクリエイターとしての質は申し分無い。


 このアニメの世界に誘われたのも、あの天然娘の江ノ木の策略だ。確か、あの佐藤にも、なにやら如何わしい雑誌を渡していたが、佐藤はこちら側には来なかった。


 実を言うと、私は映画監督になりたかったのだ。


 しかし、私自身に人を惹き付けたり、動かしたりする才を微塵に感じられなかった為、断念。


そんな時だったからかも知れない、私がアニメに没頭したのは。


アニメのキャラクターは何の不平不満も無く、制作者の意図した通りに動いてくれる。中学生の時、自分のカメラで映画を造ろうとした。けど、いくら私が熱心に友達を誘ってもそれに答えてくれる人は1人も居なかったのだ。


 私はそれが嫌になって映画監督を諦めた。


 大学へ行ってからでも遅くは無いと他人は言うが、友人1人動かせない私に一体何が生み出せるというのだ。


 校門を潜ってから下駄箱に向かう途中、不意に蜂蜜の様な甘い香りが漂ってきた。その香りを私は知っている。私のお姫様、杉村蜂蜜の匂いだ。


 私は、左右を見渡して確認するが、その姿はどこにもない。気の性か。確か今日は補習の無い日だった気がする。


 私は再び歩き始める。


 何かが弾けてぶつかる様な音がした。


 小さな何かが上から降ってきて、コンクリートの地面にバラバラと散らばっていく。


 私は、何かが降って来た場所に近付く。


 どうやらこれは……プラスチックの球……BB弾の様だ。


 私は上を見上げるが特に変わった様子は無かった。


 「BB弾という事は、だれかが玩具の銃で遊んでいるのか?」


 私は、昨年廃部になった軍部の連中を思い出す。あいつらは、よく校舎で戦争ごっこをしていた。夏休みで人が居ない事をいいことに、その中の誰かがまた遊んでいるのだろう。

 私は、そいつらに注意をする為に辺りを見渡すが、誰もいない。


 そして、再び何かが弾ける様な音がして、大量のBB弾が上から降ってきた。エアガンの発砲音は遠く無いはずだ。という事はこの上か?


 私はクラス棟の近くにそびえる貯水タンクに着目する。


 「この上から誰かが、校舎に向けて球を発射しているのか?」

 

 私はその場に鞄を置いて10mほどある貯水タンクの梯子に足をかけた。私が少し怯えながら梯子を登っている間も、その軽い発砲音は聞こえてくる。


 「軍部の奴ら……!只でさえ、私達のクラスが滅茶苦茶にされて皆怯えているっていうのに……叱りつけてやる!」


 貯水タンクの頂上付近で、私は様子を伺う為に顔だけをそこからそっと出した。

 怒鳴りつけてやろうという気持で一杯だったが、貯水タンクの頂上で銃を構えていたのは金髪の少女だった。


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