キミスキ
舞台は「八ツ森」という架空の街が舞台!
主人公(石竹緑青)は高校2年生の没個性君。もう二学期も終わり間近。まだキスどころか恋愛の経験もなく、高校生活も折り返し地点を過ぎてしまったことに気付く。(夏休みに素敵な喪服の女性にキスをされた気がするが、よく覚えていない)このままではいけないと思った彼は、積極的に行動を起こそうと誓う。少年は様々な女の子と出会い、一つ一つの行動を選んで付き合いを深めた末に……。勇気を出せば、きっとあの子に想いは通じるはず……?
僕の一票が彼女達の命運を分ける?僕は天野樹理さんにある決断を迫られる。
「君好みの心理部員は誰なの?ここでハッキリさせなさい!」
【心理部女性部員リスト】
①杉村蜂蜜(16):僕の幼馴染。淡い蜂蜜の様な色合いをした髪と、僕と同じ名前の色をした緑青色の瞳が特徴的。身長は162cmぐらいで、白い肌と人形の様な整った顔立ちが印象深い。多重人格障害を抱え状況により入れ替わる。現在は、退行状態にあり、本人により脳内の記憶改竄が起こり、8歳児の精神年齢に、現在の記憶が混在しているカオスな状態である。石竹緑青一筋な一途で不器用な性格であるが、ナイフや銃火器の扱い、サバイバル能力にも長け、物理的に器用ではある。詳しくは彼女のカルテ、もしくは別話参照。(なんだ?別話って?)「月」のカード保持者。
②佐藤深緋(17):本作もう一人の幼馴染。(ん?本作ってなんだ?)母が父に殺された際、佐藤の母親が実家の喫茶店で僕を引き取る事を提案。親戚や施設をたらい回しにされずに済む。中学二年までは同じ屋根の下で佐藤とも暮らして居た。昔は一方的に嫌われていたみたいだが、中学生に上がった辺りで普通に接してくれる様になった。高校に上がってからは、友達の少ない僕の横で話相手になってくれたりしていた。杉村が転校してきてからは加速する様に僕の周りに変人が増えた訳だが。過去の事件で僕が殺した女の子のお姉さんにあたる。髪型はやや茶色がかった髪を、肩の位置で両サイドに纏めている。くりくりとした大きな茶色の瞳が印象的。低身長かつ童顔まな板。僕の知らないところでは『緋色の死神』と呼ばれているらしい。持ち技は「メガトンパンチ」「きりさく」「なげつける」「ふみつけ」。タイプ1:変わり者 タイプ2:ノーマル。せいかく:やや潔癖性。とくせい:メジャーを使わずに相手のバストサイズ、カップ数が分かる。それは心からの渇望が生み出した業の為せる技なのか。喫茶店の娘だけあって味噌汁よりも珈琲の淹れ方の方がうまい。「太陽」のカード保持者。
③江ノ木 カナ(えのぎ かな)(17):2年A組のアニメ研究部三人組の1人。11月に起きた北白直哉による再犯で「鳩羽 竜胆」と共に山小屋に監禁される。経緯は不明だが、北白直哉が杉村誠一さんに殺される前、自ら江ノ木を山小屋から連れだしたとされ、事件の内容を含めて未だに第五ゲームの全貌は明らかにされていない。杉村が何かを知っている様だが、それを聞く前に退行してしまった為、不明な点が多い。事件被害者であり、共犯者とされている町のチンピラ三人組にレイプされそうになる経験を経て、一時的な男性恐怖症に陥っている。ASDに収まる範囲の症状だとされ、本人が思っている異常に精神力はタフである。町でチンピラに絡まれた際、叱ってくれた鳩羽に好意を抱き、絶賛片想い中である。前髪パッツンのミディアムヘアーな髪型。天然系美少女を冠されるほど隠れファンも多いらしい。とにかく無事で良かった。杉村おじさんが北白直哉を始末しようとする場面に遭遇し、北白を庇い、銃弾が右手を貫き、その右手の包帯は未だとれていない。犯罪者すら包む博愛精神の持ち主。少し変わり者だがすごくいい子。スタイル的には、細すぎず太すぎず丁度いい感じである。とにかく生きていてくれてよかった。他のアニ研三人組である「木田 沙彩」は、通り魔に襲われ昏睡状態で病院で寝たきりになっている。もう一人の「小室 亜記」は木田の件のショックにより、登校拒否、引きこもり中である。ちなみに杉村が登校時に巻いている切り裂かれたマフラーは、木田が着用していたもの。記憶を改竄しても木田達の事は覚えているようだ。時折、物事の本質を見抜いた様な発言などからある種の天才では無いかという噂も。「恋人」のカード保持者。
④留咲=アウラ(とめさき アウラ)(17):2年D組の生徒。解散した「星の教会」員でもあった。父をネパール人、母を日本人に持つハーフで、目鼻立ちがくっきりしている美少女でもある。褐色の肌に水色の瞳、波打つ黒髪に日本人離れしたスタイルを持つ。太っている訳ではないが、肉感的な体の持ち主。心理部関係者で唯一の良識人。物腰穏やかで人当たりも良い。タロット占いの知識も豊富で、プロでも難しいとされる小アルカナを使った占いも出来る。日嗣尊にも絶対の信頼を置かれ、所属していた星の教会が解散されてからも彼女の良きパートナーであり、理解者で在り続けている。文化祭のアニメ研究部の出し物で僕を主人公にした映画撮影を行なった際、日嗣尊に代って代役を務めた。夏休み、野犬と目出帽の男に襲われた際、犯人に消される対象とならない為に接触を控えた2人を繋ぐパイプ役として協力してくれた。優しい子で、木田が通り魔に襲われた際には僕の事も慰めてくれた。僕が愛情を感じられ無くても、その行動からは愛情を感じる事が出来ると評してくれたマザー=テレサの様な人物。「女教皇」のカード保持者。
⑤日嗣 尊(19):2年D組の生徒で2回の留年を経て現在大人一歩手前の19歳の猫目美少女。今は解散してしまったが元「星の教会」の教祖様。星女神等の異名で呼ばれる事も。今では艶やかな黒髪だが、以前は白銀に輝く銀髪をなびかせていたが、夏休みにお姉さんの「日嗣命」さんとの事件現場にヤマユリの花を添えた事により、以前より抱えていた「姉が生き残り、自分が死ぬべきでは無かったのか?」という葛藤が和らぎ、以降、本来の豊かな黒髪に戻る。夏休み明け、様変わりした日嗣姉さんが同一人物だという事に僕は気付かなかった。天野さんが髪型を変えた時も誰か分からなかったし、僕は鈍感なのかも知れない。事件の経験からか、軽いパーソナリティ障害(A群 スキゾイドパーソナリティ障害)と本人は話しているが、お茶目なだけな気もしなくない。以前は喪服を着用し、テスト期にしか姿を現さなかったが、夏休み以降はきちんとクラスにも顔を出してくれているようだ。しばらくの間は正規の八ツ森高校の制服を着用し、姉の「日嗣命」を自ら名乗っていたのは犯人の目を欺く為の対策であり、学校嫌いな引きこもり対策として自分に暗示をかけている意味合いもあったのかも知れない。現在は「日嗣尊」を名乗り、喪服に戻っている。本人は「いらない子」「出来そこない」など自身を評価しているが、テスト期には満点に近い点数を叩き出し、記憶能力や推理能力に長け、星の女神として教会員からの膨大な情報量を的確に捌いていた情報処理能力も高く、天才的な面も垣間見える。その情報量の多さから、所見で彼女の事に不信感を抱く人物も少なく無い。タロット占いでは「混ぜる(シャッフル)」専門の人。(的中率は高い)絵画能力も高く、僕等を驚かせた事も。反面、体力面や歌唱能力に難がある。綺麗な三白眼の持ち主で、目力も強く、人を引き付けるカリスマ性も持ち合わしている。(本人はすごく懐疑的)身体的特徴は華奢で色白、美脚の持ち主。言葉使いも「のじゃ系」で特徴的。時折、普通の言葉使いに戻る時があるので戸惑ってしまう。僕と日嗣姉さんの主なエピソードは「星の女神と接合藻類」「MICO」の章を参照。(ん?章ってなんだ?さっきから余計な情報が頭の中に)「星」のカード保持者。
⑥天野樹理(20歳):2年A組に突然転入してきた深淵の少女。北白直哉の「第一ゲーム」で生き残った人物でもあり、事件以降は11年に渡り霧島大学附属病院の精神病棟保護室での生活を余儀なくされていた。縁あって彼女に面会した僕と杉村は、彼女をそこから無理矢理連れだす。(詳しくは「深淵の少女」の章を参照)荒川先生が役所の公務員から教師に転職したのも彼女の存在が大きい。最終学歴が小学三年生の現在、悪戦苦闘しながら僕と同じクラスで奮闘している。特例で荒川先生は犬を学校に連れて来ている。この犬(犬種:レークランド・テリア)は元々天野さんが飼っていたもので荒川先生の自宅で11年もの間、主人の帰りを待っていた。老犬であるが元気で頭も良い。鳴声は「ワッフ」。ヨハンという名前は、シェイク・スピア作の「ファウスト」の主人公から引用したものらしい。メフィスト=フェレスはもしかしたら天野さん本人かも知れない。身体的特徴は、自身の身長ほどもある長い長髪だったが、現在は髪を斬りすっかり短くなってしまっている。その性もあってか見た目的に小学生の様な印象を受ける。体重も相当軽いが、反射神経は普段の杉村を軽く凌いでいる為、杉村とのナイフ対決やバトミントンでも優位に立つ。(殺人蜂さんにはまるで歯が立たなかったが)佐藤よりも身長は少し高く、胸のサイズも小ぶりだがBぐらいあるのだとか。(本人談)石竹緑青の事はよく君と呼び、もしかしたら結構気に入られているのかも知れない。深淵にも似た深く黒い大きな瞳が特徴的だが、その目元には長年の睡眠障害の後遺症か深い隈が残されたままだ。それを加味してもキュートな雰囲気は消え去らないあたり、美少女効果と呼べるのか。小さいけど毒舌。荒川先生やヨハンには明らかに態度の違いを見せるあたりかなりのツンデレさんのようだ。僕にも少し優しく、英語科担当の小川先生が銃を取り出した際には、身を挺して僕を庇う動きを見せる。秋に日嗣尊と面会をしていたらしく、その時に渡されたタロットカードは「死」だったらしい。精神的には事件の後遺症も特に無く、健常者と変わり無いと精神科医の藤森修先生から太鼓判を押されたほど。暗い深淵にも似た殺気を放つ事が出来、感性の高い者を本能的に怯えさせる。
「さぁ、選びなさい!」
分析の終わった僕の顔を間近で覗きこんでくる天野樹理さん。
(`^´)←こんな表情で僕に詰め寄る。
「えっと、そんな、決められませんよ。こんな美少女揃いの心理部を前に」
「そ、その中に私も含まれているの?ねぇ!君!?」<`ヘ´>!
「は、はい。含まれています」
「一応20歳で少女では無いけど、まぁいいわ。認めましょう」( ^ω^ )←嬉しそう。
改めて聞かれると女性の好みなんて考えた事も無かった。モテた試しも無いし、そういうのとは無縁だと思っていたからだ。杉村蜂蜜や佐藤深緋とはずっと一緒にいたので外見的なものを客観的に見てこなかった気はする。改めてソファに座る杉村の方を見ると、照れ臭そうに下を向いて、両手を膝の上に置く。うん。英国貴族の雰囲気が漂う金髪美少女だ。綺麗だとは思う。けど規格外過ぎてどこかそれを認識しきれてない部分もあるかも知れない。そもそも僕が恋をしたのはいつだろう。愛情をよく知らない僕は人を好きになるのもままならなかったはずだ。ふと脳裏に佐藤に似た小さな女の子の姿が映る。この子の事を僕はどう感じていたんだろうか。父に事件の事を聞くまで、名前も顔も思い出せなかった。佐藤浅緋、僕の記憶の中で朧げに漂う少女。いつも僕の背中を後押ししてくれていた気がする。
「緑青君、いってらっしゃい」
頭の中にその女の子の声が響いた気がした。
「ちょっと、何見てんのよ?」
近くに座る佐藤がバイプ椅子に座りながら僕の事を見上げていた。いつの間にか佐藤の事を虚ろな表情で見つめていたらしい。その丸くて大きな目が不審そうに僕の事を見ている。心なしか頬は紅い。
「僕は君の事が……好きだったのかな?」
「へはっ?!」
佐藤がパイプ椅子を引き倒しながら立ち上がる。
「あ、いや、今のは違くて、佐藤の事を言ったんじゃ無くて」
「紛らわしい事を、私を見ながら言うなーっ!!」
佐藤のメガトンパンチが僕の胸部に炸裂する。効果はバツグンだ!パイプ椅子から転がり落ち、上座のソファの横に吹き飛ばされる。ここからは見えないが、天野さんが紅茶を啜る音を立てた後、付け加える。
「誰が好きかじゃなくて、誰の容姿がタイプか聞きたかっただけなんだけど、まぁいいか。緑青の答え次第でこの先、心理部員がぎくしゃくするのもあれだしね。今回は見逃してあげましょうか」
佐藤のメガトンパンチのおかげで何とか切り抜ける事が出来たので、ある意味では助かった。誰が好きかという話題については僕と杉村にとっては大変重い話題なのだ。僕の過去を知る杉村は特にその面において自分にブレーキをかけている節が散見される。愛を認識出来ない僕に気を使ってあくまで幼馴染の友情として行動してくれている。発言的に僕の事を好きだとか愛しているといった類いの言葉を直接聞いた事が無いのはこの為だろう。その代わり肉食系女子の様な発言は多々あるのだが。そんな杉村を置いて僕は誰かを好きだとかを口に出したりは出来ない。杉村は少なくとも僕等が前に進む為に血を流し続けている。僕等を邪魔する誰かとの決着がつかない限り、その日はやって来ないと分かっているのだ。佐藤が申し訳なさそうに吹き飛ばした僕に対して手を差し伸べてくれる。その手をとり、立ち上がる。
「立てる?」
「う、うん」
僕は佐藤の顔が過去に僕が殺した女の子とダブり、罪悪感からかつい顔を背けてしまう。それに気付いた佐藤が何かを言いあぐね、口を閉じる。
「いいわよ。石竹君にも色々あるんでしょ?昔馴染みの友達に悟られ無いようにしないといけないやましい事が。でも、今はいいわよ。その代わり決着がついたら私と向き合って」
「うん。ごめんな」
「いい。謝らないで。昔馴染みでしょ?」
「うん。ありがと」
佐藤が少し呆れながら笑ってくれる。それだけで僕の気は少し楽になった。今はごめんな、佐藤。全てにカタがついたら必ず謝りに行く。
「いいわよ。それより、文化祭はきっちりと働いてよね?佐藤家の売り上げにも関わってるんだから」
「あぁ。すまない。木田の方の撮影に付きっきりでこっちのメイド喫茶の方は手伝えなかった」
佐藤が僕と手を放し、腰に手をあてる。
「いいのよ、うちの店をリニューアルした時に使わなくなった物品とか大量に余ってるから、ほとんどうちのお父さんが手伝ってくれたしね。母さんは備品やデザート、食材の面でサポートして貰ったし、安心して。石竹君は当日に簡単な料理を厨房で作ってくれるだけでいいから。あ、客席に使う大量の椅子とか机が別の倉庫に一時的に置いてるから、その搬入は文化祭の前日にお願いね?」
「あぁ。手伝えなかった分頑張るよ」
ふと周りの視線に気づいて佐藤と僕が振り返ると他の心理部員達がニヤニヤした表情でこちらを見ている。
「いいわね、幼馴染みって。私もほしかったな」
天野さんがスコーンを頬張りながら僕等を眺めている。周りの人間はその言葉に頷いていた。
「ろっく~ん、浮気はダメだよぉ。私も幼馴染なのにぃ」
杉村が涙眼で僕に訴える。
「いや、違うって、そんなんじゃ」
「そ、そうよ!私達はただの腐れ縁というか、昔馴染みというか。中学二年頃まで一緒に住んでいたってだけよ」
杉村が耐えられずに僕にしがみついてくる。
「ろっくん!何時の間に深緋さんとそんな関係に?ちょっと目を離した隙にもう新しい女をみつけたの?!」
言い方がなんだかあれだが、とりあえずなだめないと。
「ごめんごめん、そんなんじゃないけど、ほら、今はハニーちゃんと一緒に暮らしているだろ?」
「うん……二番目の女でもいい。私の近くに居てくれるならそれで……あ、でももう私ももう少しで離れちゃうけど。その隙を見計らって今度は佐藤さんと同棲するのね」
話がややこしくなりそうなのでどうしたものか。佐藤が横から助け舟を出してくれる。
「杉村さん、今生の別れでも無いんだし、杉村さんの安全が保証されれば、また石竹君も本妻である貴女を呼び戻してくれるわよ、きっと」
またしても言い方があれだが、本妻という言葉に目を輝かせる杉村。
「私!本妻!」
いいのか杉村、お前はそれで!
「あ、そういえば石竹君」
「なんだ?」
佐藤が思い出した様にパイプ椅子の席から僕に声をかける。
「ちなみに厨房でもメイド服は着て貰うわよ?」
「あぁ、任せろ?はいっ?」
どういう罰ゲームなんだ?それは。
「付け加えると、きちんとアウラさんにお化粧もして貰うから。ちなみに若草君もだから。鳩羽君は可哀想だから執事服だけど」
アウラさんが座るソファを見ると、大きな胸の前で両拳をギュッと握り「私、頑張ります!」と決意表明してくれる。確か前にも佐藤がそんな事を言っていたが、まさか本気だったとは。
「男の娘ーっ!!」
と江ノ木が叫ぶが、それには触れないでおいた。 ランカスター先生が思い出した様に口を開く。
「そうそう、今日集まって貰ったもう一つの理由に、文化祭当日着用する衣装が届いたから試着して貰おうと思っていたのよ」
えと、つまり、今、ここで僕にメイド服を着れと?!一つ隣に座る若草は強く否定はしていないが、面倒くさそうな表情をしている。僕はともかく線の細い若草なら化粧無しでつり目系美人にはなりそうだが。
いやいや、それ以前に生きて3年に上がれるかが心配だ。恋愛パートよりも、真相解明パートを進めなければBADENDに。
犯人に殺されるか、彼女達に殺されるかはあなた次第。
僕の命は君の選択にかかっている。
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