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幼馴染と隠しナイフ:原罪  作者: 氷ロ雪
深淵の少女
144/319

第一ゲーム〈天野樹理〉

私の前に現れた金髪の女の子。

私に体を斬られ、室内を血の色に

染めながらも、私を行動不能に陥れる。


彼女の喉元を狙った私の一撃が

彼女を捕えたはずだった。


けど、違った。


黄金の女の子は別の何かに

なって私の右手を潰し、

鳩尾に鋭い蹴りを入れた。


全身に力が入らなくなったところを

スカートの中に隠していたナイフを

次々繰り出して私を保護室の壁に磔にする。


彼女の圧倒的な死を感じさせる殺気が、私の深い闇の狂気すら掻き消してしまった。


不思議と不快感は無かった。

むしろ心地良さすら感じる。


なぜ私は……出会う人全てを殺そうとしていたんだろ。


私の変化点は、あの十一年前の北白直哉が

起こした事件にあると思う。


私を磔にしたナイフを丁寧に引き抜き、私の体を自由にしようとしている男の子が目の前で優しい眼差しで私に語りかけてくる。


私を不自由にしようとする人達

ばかりでうんざりしていたけど、

額に傷跡が残るその少年は

それらすら否定する様に私を

地の底、深い闇の淵から救い出そうと

ただ一人、手を差し伸べてくれる。


この子は私と同じあの生贄ゲームの勝者だ。

この不思議な優しい雰囲気を纏う男の子を殺せば私はあの事件の呪縛から解放されると

思っていた。


呪縛を解く方法は二つ。

ゲームに勝つか負けるか。

殺すか、殺されるかだったはず。


そう思っていたのに……

この子はそんな私の都合お構いなく、

私の一歩斜め上に胴体着陸をかまそうと

している。


「フフフッ、アハッ、アハハハハッ!!」


そう思ったらなんか可笑しくなって

久しぶりに心の底から笑ってしまった。


男の子は私に殺されるのかと思ったのか

体をびくつかせる。かわいい。


黄金の女の子の傷は浅いけど、

血塗れになって、包帯だらけになっても

まだこの男の子の為に立ち上がろうとする。


なんでだろう。


あの黒髪の女の子が言っていた。


遅かれ早かれ、私の目の前に

第四の少年と天使が現れると。


そしてその2人が私をここから

救い出してくれるだろうと。


私はそんな希望的観測はしない。


あの生贄ゲームのルールはただ一つ。

殺し合い、生き残る事だ。


その機会を利用して私はあなたを殺すつもりだった。なのになんであなたは私を生かそうとするの?


貴方も同じ目にあって、

なんでそんなに他人に優しくなれるの?


分かんない、分かんないよ……。


ほっといて、ほっといてよ。

私は殺人者。人の道を外れた外道。


もう戻れないの。


男の子の手にしているナイフに

視線を落とす。


この子だけは殺したくない。

だから

私はここで死のうと思う。


けどその前に


貴方がそう望むのなら私は語ろう。

十一年前に何があったのかを。


それからでも遅くないか。死ぬのは。


これは追憶。


……私が人殺しになる前の普通の女の子だった頃の記憶。


その断片。


さぁ、拾いなさい。



天野樹理あまのじゅり>(2001年11月08日:夕刻)


 ジャラジャラと音を立てながら私の首に蛇が巻きついてくる。


 その蛇はゆっくりとそして確実に私の体に巻き付き、絞め殺そうとしている。私を気遣う様に優しく這う蛇の体表はひんやりして、どこか硬質的だ。私は少しくすぐったくなって、微笑みながら目を開けた。目の前に知らない男が立っている。体中の痛みと共に状況を思い出す。ここは八ツ森市の北方に位置する霊樹の森で私と里宮翔子お姉ちゃんがそこに閉じ込められたんだ。

なんでだろう。分かんない。ここで顔を合わすまで里宮お姉ちゃんの事は知らなかった。目の前で突っ立ってる男の人は私と里宮お姉ちゃんで一本のナイフを奪い合わせて殺し合いをさせようとしていた。里宮お姉ちゃんはショートヘアーの活発そうなかわいい女の子。何処にでも居るような普通の女の子。もちろん私もだと思うけど。

 女の子同士が殺し合いをする。脅されてるとはいえ、はいそうですかとそんな事出来る訳ない。恐らく里宮お姉ちゃんもそう。学校の義務教育で人の殺し方なんて教わらないし、むしろ殺す事はいけない事って習うもん。


 頭がまだクラクラする。私は目の前に居る男の人に飛びかかって、里宮お姉ちゃんを助けようとしたんだ。そしたらこの男の人はすごく怒って私を蹴飛ばした。口の中に血の味も広がってるし。


 私は自分の体に他に怪我が無いか見下ろす。首に鎖が絡まっている以外は特に無いかな?軽い打撲ぐらい。片腕を鎖に繋がれているので逃げ出す事も出来ない。首に絡まった鎖を解こうとしてそれに手をかける。けれども、全然首から解けない。私はどう絡まってるのか、解んなくなってきて後ろを向こうとしたら、急にその鎖が私の首を強く締め付けだした。左手と左右に垂らした三つ編みのお下げがそれに巻き込まれて少し痛い。けど、そのおかげで少し呼吸が出来る。ほんの少しだけど。裸電球に照らされた私の顔の両端に、人の手が浮かび上がる。この小さな手は里宮お姉ちゃんの手だ。


 「お姉……ちゃん?」


 私が途切れ途切れに言葉を発すると、鎖が少し緩まった。私はお姉ちゃんがどうして首を絞めてくるのか不思議に思って、お姉ちゃんの方に完全に向き直る。私は、その姿に青冷めた。

 お姉ちゃんの衣服が乱暴に縦に裂かれ、そこから肌が剥き出しになっていたのだ。お姉ちゃんの顔には絶望しか浮かんで無くて、泣き晴らした顔をしている。私は、お姉ちゃんがすごく可哀そうに思えて、涙を流す。


 「なんで、泣くの!?もっと怒りなさいよ!私はあなたを……殺そうとしてるのよ?!」


 私は首を横に振って鎖に挟まっていない方の手をお姉ちゃんの頬に重ねた。


 「お姉ちゃんは生きて?」


 その言葉を受けて、お姉ちゃんは驚いた顔をする。


 私は解っている。3年生と4年生では一年違いとはいえ、体力に雲泥の差がある。しかも、私はどちらかというと、ガリ勉タイプで、お姉ちゃんの引き締まった体は運動部っぽかった。私は今まで、何不自由無く生きて来た。大きな事故も、怪我も、好きな玩具やかわいい洋服も望めば手に入った。そう、これまでの幸福は、ここで死ぬ運命な私の為に与えられ続けてきた対価だったのだ。徐々に、戸惑いつつも鎖の輪が狭まり私の首を締めあげていく。私はゆっくりと目を閉じた。死ぬってなんなんだろうな。まだ全然実感が無いや。それは生きる事に実感が湧いてなかった所為かも知れないなぁ。


 最後に見た光景が頭の中に流れ込んでくる。里宮お姉ちゃんが居てその背後には近く男の影。私達をここに連れて来て、こんな事をさせたのは何故だろう?いや……誰なんだろう?


 あの男の人は常に誰かのルールを、声を、目を、指示を気にしていた。


 それは恐らく、あの人にしか解らない神様の様なものなんだと思う。


 神様か……な。


 私も会えるかな?


 私はここに引っ越してきた時から仲良くしてくれる近所の大学生のお姉さんの事を思い出す。あの大学生のお姉さんは、将来、公務員になって楽をしたいという事をよく私に話してくれた。周りの大人達が、やれ勉強をしなさい、宿題を忘れちゃいけません、とか同じ様な事を口うるさく言う中、彼女だけが私に、もう少し楽に生きる事を目指せと諭してくれた。それは多分、彼女なりの思いやりだったのかも知れない。


 私は何不自由無く育ってきた。


 けれども、私は自由では無かった。私の人生は、親の敷かれたレールの上を歩く事で得られる幸福。だから、こういう場面に遭遇しても、どこか他人の出来事の様に実感が湧いて来ないのだ。私の人生はどこにあるんだろう?


 もうそんな人生も尽きようとしていますが。


 私が、もし、ここから生き残れたらあのお姉ちゃんにもう一度会いたいな。私は最後に見たこの小屋での場面をもう一度思い返す。


 切り裂かれたお姉ちゃんの衣服。

 それは私が破いたものでは無い。


 それはあの男の人が切り裂いたのだ。


 なぜ?


 それは彼女が選ばれたから。


 なぜ彼女は私を殺そうとしているの?


 それは私を殺せば彼女が助かるから。


 違う。


 それは、あくまで〝時間内”である事が条件のはずだ。


 男の人は言った。


 制限時間が過ぎて、両者が生き残った場合は、自らが判定を下す。


 ルールは絶対。


 それは男の人の中での絶対的な法だ。


 今、法を犯してるのは誰?


 男の人?


 いや、違う。それは……お姉ちゃんだ。


 私は、すぐさま目を見開き、状況を確認する。お姉ちゃんの背後に男の影が迫っていた。ルールは絶対。お姉ちゃんは男に生贄にされる為に殺される。


 なら、私は?


 私はここで死んだらただの……ただの無駄死にだ。犬死にって言うのかな?私は犬好きだからこの言葉は嫌い。飼っていた犬のヨハンを思い出す。ヨハンと一緒にもう一度散歩したいなぁ。死に直面して初めて自分にとって何が幸せだったのかに気付かされる。私は犬死にそんなのはさすがに嫌よ。


 生き残る資格があるのは、より強く生きようとした者だ。そして何より、生き残る可能性が少しでもある方だ。確実に死ぬ人間に殺される私。私の脳裏に静夢しずむお姉ちゃんの少し捻くれた笑顔が浮かぶ。


 「ごめん、お姉ちゃん。私!」


 私は、私自身がゲーム開始時に壁に放り投げたナイフが近くに転がっている事を知っている。私は目線をお姉ちゃんに合わせたまま、空いている方の手でそれを握り締める。


 何と言う皮肉だろう。


 お姉ちゃんを刺さない為に、放り投げたナイフが、今まさに、こうしてお姉ちゃんを刺す為に私の近くに転がっている。


 私は少し神様を信じかけた。


 里宮お姉ちゃんにもう迷いは無くなったのか、両手に握られた鎖に力を込めて私の首を締めあげてくる。息が出来ない。私の視界が揺らぎ、狭まっていくのを感じながら、その名前を呼んだ。


 「静夢……お姉ちゃん……待っててね」


 薄れゆく意識の中、私の中に何か別の力が宿った様な気がして、右手を強く前に突き出した。里宮お姉ちゃんが私の呟いた名前を聞いて、首を傾げる。そして目を見開いたまま、体を硬直させる。数瞬後、背後に迫っていた男のナイフがお姉ちゃんの体を背中から切り裂き、大量の血が噴き出していく。首から背中にかけて背後で血が噴き出しているのがこちらからでも分かった。


 でも、痛みは無かったはず。


 もう死んでいたと思うから。


 私の右手に。


 掴んだ。


 あたしのナイフは、誰に気付かれる事無く。


 お姉ちゃんの小さな。


 心臓を正確に貫いていたから。


 おねえちゃんの、血が、ナイフを伝い、私の腕を紅く染めていく。

 私は、殺人者だ。

 人を殺す事はいけないことだ。そう習った。


 私は、親が敷いたレールを歩けそうに無い。今までの私は、今日ここで死んだ。今、この瞬間から私は別の人間になった。


 やった、晴れて自由になったんだ。

 あぁ、でも、なんか全然嬉しくないや。

 あぁ、すごく静夢お姉ちゃんに会いたいな!


 他の人なんてどうでもいい。


 目の前で切り刻まれていくお姉ちゃん。

 ホントにいい気味だ。


 何、こいつ。


 この馬鹿な女に殺されそうになった私って、ほんと、ゴミ屑以下かしら。

 どうでもいいけど、トイレ行きたい。お腹空いたなぁ。


 早く終わんないかな?

 ゲームは終わったんでしょ?

 私は勝者でしょ?  


 さっさとここから出せよ!


 のろま!


 っていうか、そのお姉ちゃんゲロ臭くてたまんない。早く退けろよ、そこの気持ち悪いおっさん!お前も刺すぞ!


 男の人が里宮お姉ちゃんの血を全身に浴び終わった後、両手を胸の前に組み合わせて天に祈り始める。


 「主よ、貴方が望むものを捧げました。

  穢れた我が魂とこの森の浄化を願って。アーメン」


 ズタズタにされた里宮お姉ちゃんから色んなものが流れ出て小屋内にむせ返る様な血の匂いを充満させる。只でさえゲロ臭かったのに。死んで正解。私が生きて正解。よっこらしょ。


 目を瞑る男の両足をなぞる様に小さなナイフを横切らせる。


 男が悲鳴を上げて床に転がる。


 こいつ、自分が里宮お姉ちゃんを、あぁ、呼びにくい。

 このゲロ女を殺したと思ってるのか?私だよ。私が前から心臓を刺したんだよ。そうか、ゲロ女の背後から迫っていたから私の手元のナイフは見えなかったんだ。最後にしっかり役に立ってんじゃん。


 ゲロ女の血と自分の足から噴き出す血に、男が全身を真っ赤に染める。


 「き、君は勝者だ!尊い勝者なんだ!殺すつもりは無いって言っただろ?帰してあげ」


 1人で帰れるよ。


 私はこの気持ち悪い紅い豚が私に触れられない様に腕にも斬り傷をつくる。ナイフが大きかったら腕でも落としているところだ。


 男の大きな情けない叫び声が小屋内に響き渡る。


 「助けて下さい!救世主様!白き救世主様!話が違います!私がここで殺されてしまいそうです!浄化すら行なえずに死ぬのだけは!勝者であるこの子を私は殺せません!だから、この子を私から遠のけて下さい!」


 困った時の神頼みか。くだらない。


 私は止めを刺そうと、男の太い首目がけてナイフを走らせようとする。

 ドタバタと外から足音が聞こえて来て、正面の扉が開く。眩しい夕日が私の目に焼きつく。その鮮烈な光を浴びて輝く白い法衣を被った人物が現れる。


 「君は勝者だ。だから助ける。左手を出して?」


 男の子の声だ。私より一回り小さい背丈の子供が白い手を伸ばして、私の鎖に繋がれていた左手を取り、手錠を解錠する。


 「さぁ、君は自由だ。おめで」


 「殺す」


 予想外の言葉に声を失う白い法衣の少年。

 見た目は私も普通の9歳の女の子だからかな。っと。


 そのままナイフを生意気な子供の体目がけて突き立てるが、感触は浅い。

 

 少年が慌てて身を逸らすと、そのまま白い法衣が私のナイフで引き裂かれる。神々しい姿が台無しだな。折角扉が開いているので、また鍵を閉められる前に私は小屋を飛び出した。


 私はついに生還したんだ。


 何だろ、全然嬉しくない。


 日が沈む前に帰らないと。


 ここは夜になると野犬が徘徊し出す。

 私が足に力を込めて走り出そうとした瞬間、茂みから飛び出してきた影とぶつかる。痛いな。尻餅をついた両者が互いに顔を見合わせる。時間が無いんだ邪魔をするな。


 「お前も殺す」


 ナイフを素早く飛び出してきた少年に向かって振り下ろすと、慌てて左腕で頭をガードしたから左手に結構深い切り傷が出来た。ナイフの持ち方を瞬時に変えてもう一度頭に突き刺そうとすると、その飛び出してきた影は血相を変えて小屋の中へと逃げ出していく。なんだただの子供か。下手したらさっきの白い法衣の子供より小さいかも知れない。


 私はその後、勘で山から街へ降りた。


 捜索願いが出ていたようですぐに私は保護されたけど、寄って来る人間全てが敵に見えて私は生き残る為にナイフを振り続けた。噂によると私は山から歩いて降りて来たその直後、40人もの人間を刺して重軽傷を負わせ、そして8人を失血死させた。


 何だろ。何か、大事な何かを忘れている気がする。


 すごく会いたい人達や犬が居た気がするけど、もう何も感じないや。


 私は生きる為に他者を殺す。


 そして死ぬ為に他者を殺す。


私の思い出話が終わると男の子は悲しむというよりは驚いた顔をしていた。私にあの事件に対する恐怖心は無い。だから正確にその情報を伝えられたと思う。そっか、君には事件の記憶が丸々無いんだね。私もあんな事件の記憶なんて忘れてしまえばよかったんだ。もう遅いけどね。少年よ、手が疎かね。その隙を突いてナイフを一本その手から奪い取り、心臓に狙いを定める。


こうするしかないんだ。

もうこれでいいんだとと思う。


10年以上、私は生きようと足掻いてきた。

けど疲れちゃった。


もう楽になりたいの。


私をここまで生かしていたのは他でもない。

今日まで私の中で生贄ゲームが続いていたからだ。


皮肉だね。私を狂わせていた狂気がここまで生き長らえさせてくれた。それが無ければ私は疲れて死んじゃってた。本当に不思議な子達。


私は自分の物語を終わらせなければいけない。第一ゲームの勝者となって生き延びた瞬間から、里宮翔子お姉ちゃんの心臓をナイフで貫いたその瞬間から始まった生贄ゲームは私自身の命の贄を持って終焉を遂げる。


今度こそそっちに行くね?里宮翔子ちゃん。私が最初に殺した人間。私はずっと認めたくなかったのかも知れない。自分が誰かを殺してしまった事を。認めてしまえば私の心はボロボロとすぐにでも崩壊を始めてしまいそうで。私の狂気が気配を消した瞬間から、私の崩壊は始まっていた。自身の罪悪感で押し潰されそう。


石竹緑青君。


君がこの生贄ゲームの勝者だよ。


君をここで殺して私はあいつの起こしたゲームの呪縛から解放されるつもりだった。


秋頃に訪れた日嗣尊ちゃんがまだ生き残っているけど、彼女は唯一の例外的な敗者だ。


第三ゲームの勝者は双子の姉の方、日嗣命さん。彼女は自分の分身、妹を生かす為に勝者となって死んだ。


この生贄ゲームに引き分けは無い。


だから私が死んで、君が生き残る。


君は勝者だよ。


もう何も恐れる事なんて無いんだからね。

独特の形状をしたミツバチマークが刻印された小さなナイフを左手で刃を反転させ、力を込めて握り締める。


「緑青君、君の担任の先生に宜しくね?」


私は目を閉じて微笑みながら涙を流す。

日嗣尊から情報交換として、荒川静夢(あらかわしずむ)お姉ちゃんの事を聞いた。


フフッ、折角公務員になれたのに。


私の為になんか教師にならなくてもいいのに。馬鹿なお姉ちゃん。私を唯一、正面から抱き締めてくれた人。


さようなら。


これで私の生贄ゲームはお仕舞い。


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