杉村蜂蜜のカルテⅡ(20121112-001)
2012年11月12日現在
「杉村 蜂蜜」に関する生体報告書Ⅱ
八ツ森市立高等学校第二学年A組「石竹緑青いしたけ ろくしょう」が、観察対象「杉村蜂蜜すぎむら はちみつ」に対する生体記録を以下に記す。尚、当情報は個人情報に該当する為、本人又は担当医であるゼノヴィア=ランカスター及び、石竹緑青の許可なく第三者に開示する事を固く禁止する。
記
【1】プロフィール
対象者氏名:杉村 蜂蜜
本名:ハニー=レヴィアン
年齢:16歳
性別:女
生年月日:12月22日
身長:161cm
体重(総重量):48kg(※52kg前後)
容姿:優しい蜂蜜色の金髪と緑の瞳を持つ。
家族構成:英国の政治家「ゾフィー=レヴィアン」と元最強の傭兵「杉村誠一」との間に生まれる。。
性格:本来の彼女の性格は恐らくマイペース。少し照れ屋な所はあるが、対人恐怖症では無い。彼女の解離性障害については後述。
主武装:プレート型隠しナイフ × 6本
(恐らくそれ以上)
超強靱性の簪 × 2本
※普段の兵装はこれのみ。局面により武装は変更されるようだ。
生体:解離性多重人格障害の影響で人格が解離状態にある。「女王蜂」と呼ばれる主人格の他に防衛に特化した「働き蜂」と攻撃面にて勝る「殺人蜂」の他人格を有する。
他の人格については現在確認されていない。状況により、人格が入れ替わる事からそれぞれに個別の役割があると思われる。夏休み以前は「働き蜂」の存在しか確認出来なかったが、八ツ森の北方の森で「日嗣尊」がキャンプ場で石竹緑青と行方不明になった事件前後でもう一人の「殺人蜂」が現れるようになった。
特に通り魔に木田沙彩が襲われた件でショックを受け、精神的に不安定な「女王蜂」の代わりに時折「殺人蜂」が表層に出てくる機会が増える。攻撃的ではあるが、石竹緑青に対しては「働き蜂」ように殴打するような事は無い。会話自体も可能。終始一貫して、石竹緑青以外の人間に興味が無い。ただし、この三者が同一人物である事に違いは無く、本質的な部分で同一の性質を有している可能性が高い。
(例)「殺人蜂」と「女王蜂」の共通性。
・木田沙彩が通り魔に襲われた際、すぐさま応戦。犯人を躊躇無く刺し殺した際、すぐさま木田に応急手当をして救急車を呼ぶ対応をとる。もし、彼女が全く別の攻撃的な性格だとしたら、木田の事は助けないし、犯人に対しても謎が多い為、殺す前に拷問かけて情報を引き出すはず。木田の悲鳴を聞きつけた「女王蜂」の激情が干渉?
・女王蜂が未知、未経験の事象については彼女も知らない。
・東雲雀を扉に磔にした際も、わざと石竹に彼女を救う猶予を与えた?
・石竹緑青の依頼は積極的に受け入れてくれる。
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【2】特徴
A:女王蜂
・主人格と思われる。
・基本的に平和主義。
・口調は少し子供っぽい。
・テストの平均点は平均よりやや下。
・石竹の事は「ろっくん」と呼ぶ。
・他の人格よりも繊細で強い罪悪感を抱きやすい。
・髪型は高い位置で結ぶツインテールに簪を刺している。蜂の触覚に見えない事もない。
・現在、働き蜂の存在を完全に忘れている。
B:働き蜂
・攻撃的だが「女王蜂」守る為の手段ともとれる。
・テスト等の日常生活で彼女が表層に現れる事は無い。主に彼女の非常事態に対応する形で表層化。
・口調は厳しく、軍人を彷彿とさせる。
・武装は主にトンファーを扱う。
・石竹の事は「アオミドロ」と呼ぶ。
他のクラスメイトに変なニックネームを付けている。
・夏休みを境にほとんど表層に出てこない。主人格が気を失っている状態でのみ活動可能か?
・規格外の人間、対応に弱い。(アニメ研究部三人組など)
・一応、石竹に対しては好意的?
・髪型は「女王蜂」に準拠。
C:殺人蜂
・攻撃的で残虐性も多少あり。殺人への躊躇は無い。
・石竹の事は「緑青」と呼ぶ。
・トンファーは全く使用しない。
・拳銃の扱いに長ける?
・簪の使用頻度が一番高い。
その為か髪型はポニーテールを好み、
2本の簪で髪を後に纏めている。
・テストでの成績も良く、頭が良い。
・女王蜂が罪悪感に苛まれている時も、多少の影響があった。
・働き蜂の事は「出来損ない」呼ぶ。
彼女が一番自身の全体を把握出来ている?働き蜂の方が後に生まれた可能性アリ。
・何事にも無感動、無関心。優先順位が限りなく石竹緑青。
・面倒なのが嫌い。
・女王蜂と同じトラウマを持つ?
・自分の事はハニーと呼ばれる事を好む。
・杉村が遭遇した事件の記憶も共有?
【3】役割
女王蜂が理性的かつ他の人格に比べて強い罪の意識を感じている事から、彼女が両者の均衡を保たせている役割を担っている可能性が高い。フロイトの心的装置理論を借用すると、自らの欲望を忠実に再現しようとする殺人蜂が「エス」的役割を担い、その欲望を抑圧する「超自我」が働き蜂、両者の調停役としての「自我」が女王蜂にあてはまる可能性が高い。
【4】今後の留意点
杉村自身がもう一人の「働き蜂」の存在を認識出来ない原因に何かしらの心的要因が作用している可能性がある。実のところ、彼女の喪失により暴力的行為は実質的に無くなっている。それは攻撃的役割を担う「殺人蜂」が受動的かつ怠惰的な性質を帯びているからだろう。しかし、その必要があれば彼女は「働き蜂」以上の殺傷力を持って対象に攻撃を加えるだろう。夏休み以降、実質的に被害を受けたのは2年B組の東雲雀のみだが、これは彼女が執拗以上に「殺人蜂」への決闘を迫った為でもある。
【5】総括
以上の点から、他人格である「殺人蜂」への平常時対応は彼女の怠惰的性質から必要以上に近づかなければ危害を加えられるような事は無いと判断出来る。石竹に関しても彼女自身が危害を加えた前例は今のところ存在しない。7年前に森で遭遇したとされる北白直哉の死により、彼女がどういう心的状況にあるかも加味しなければならない。問題視されていた移動授業、定期試験への成績等は担任の荒川教員の協力も有り、順調に成績を延ばしている。しかし、彼女自身の抱いている罪の意識は計りきれず、昏睡状態にある木田の切り裂かれたマフラーを大事そうに首に巻いている事から、杉村に対する今後のケアも頭に入れておかなけれならない。 以 上
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作成者:石竹 緑青