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おやつの詰め合わせ バラエティパック   作者: ラゼル
高2 2学期 後半戦
30/30

パピコ

 宮の体力と精神値を少しずつ削りながらも、何とか問題なくこぎつけた文化祭当日。

 文化祭委員でもある彼は見回りで忙しく校舎内を歩き回っていた。


 問題が起こると逐一耳についたインカムから「3階校舎で人が詰まっている。誘導しとけ」などと指示が走る。準備段階では手間はかかった自分のクラスの出し物は案外当日になれば、順調に行っているようでそれ以上手がかからなかったのは彼にとっては幸運だった。

 

 これ以上走り回ってたまるか……! ごほっと息をつく、湿気た空気が不快だ。

 体力はそれなりにある宮においても、人が多い校舎で歩き回るのは人酔いして疲れるものだった。


 ウチのクラスの紅色のTシャツを初めとしてピンク、オレンジとちらちらと見え、目に見える景色も忙しい。


 この学校では毎年見かけられる委員が走り回る姿に、生徒達は頑張れ、と声をかける。それに宮は応え校舎内を走り回る光景は妙に爽やかであった。


 その後生徒会長が逃亡したとの知らせを聞いて、見回りついでにクラスによると、本人を見かけた。なので、捕まえないわけにもいかず、そこにいた梓に協力いただいた。

 この時点でやっと昼飯にありつけようというところだったので彼の機嫌はあまりよろしくなかった。

 そしてそれを察してなのか、幸いにも梓は嬉々として会長を捕まえたのであった。彼女の指示にクラス内の男子は面白半分に従ってくれ、女子の力ならともかく大人数の男子に囲まれた会長も逃げることが出来ず、現在も彼らに押しつぶされている。


「ふはははは、思い知ったか! 悪は費えた! 諸君でかしたぞ」

「「「ははー!!!」」」

 ノリのいいクラスである。と女幹部のような梓とそれに乗る彼らを見て思う。


「はい、お茶。あ、ラムネの方がいいか? 冷えて美味いよ」

「ラムネいいな。くれ。いくらだ?」

「120円」

 チャリンと音を立てて彼女の手のひらに硬貨を置くも

「あれ? 食券ないの? お金は不可だぞ」

「あ、そうだった。すまん、持ってない」

「じゃ、私が立て替えとく。私の分で払っとくな」

「おう、悪いな」

「あ”-うまい」

 カラン、とラムネの中のビー玉が音を立てる。汗が引いた気がする。

「はは、お疲れ。メシでも外に食いに行くか。そろそろ私もあがりだし」

「あぁ、それは魅力的だが忙しいから弁当だな」


「おーい、そろそろ離してくれよ」


「そんで、売り上げどうよ」

「ぼちぼち。正直顔に絵を入れるなんて客来ないと思ったけど、案外くるもんだな。祭りとなるとこういう代物がよく売れるんだな。けっこう忙しくて人が足りなかったかも。私休憩なしだったもん」

「他に代わってもらえなかったんか?」

「いや、特に見たいものもなかったし、見たいものがある子は外にいかせた」

「人がいいとかじゃなく本当に興味がないところが梓だよな~」

「あはは。まあ必要とされてるなら丁度いいし、今日は学校に居る予定だしなぁ」

「明日は?」

「えー? ははははー」

 明日はここに居る気はゼロのようである。その分今日しっかり働くのか。


「お”い”-そろそろマジでキツイ内臓出るー」

 と辛そうな様子で会長が男に踏み潰されながら唸っていた。


「いやー。この忙しいときに仕事増やしてくれちゃったしなー」

「私生徒会長の顔まともに初めて見たよ。男前だな」

 そこそこ人望のある彼のお顔はなかなかにいい代物だ。

「あぁ、そういやそうだな」

「いや、褒めてくれるのは嬉しいんだけど、マジ男ムサイ。勘弁」

「ま、いいや。皆アリガト。もういいよ」

 ひらひらと手を振って、梓はクラスの男子にお願いをした。

「「「へい、ボス」」」

 ボス、いい響きだーと嬉しそうに彼女はにこにこしている。

 楽しそうで何よりである。


「酷い目に遭った」

「自業自得です。俺も忙しいのに仕事増やさんでくださいよ」

「俺だって文化祭で遊びたいんだよ! 彼女もせっかく出来たって言うのに」

 外野では「リア充が…滅べ」と息巻いている。彼女持ちはウチのクラスは少ないようである。


「おお…おめでとうございますー。でも仕事はちゃんとしてくださいよ」

 パチパチと手を叩きながらも棒読みで彼女は言った。ついと彼女の髪が視界に入った。くるくるに巻かれた髪はふわふわとしていて一つに結わえられていて珍しく華やかだ。

「そうだ! 君も手伝ってくれないかな」

「寝言は寝ていってくださいよ。瞳子さんに言いつけますよ?」

 梓を巻き込んだら俺がつぎに奴当たられるわ、馬鹿たれ。

「それは平にお許しを」

 天下の会長さんといえども彼女さんに弱いようである。

「んー。別に構わないよ? ちょっとなら」

 どうせ午後から暇だしな、と付け加えた。

「え!?」

「お、マジでー! もー人手足んなくて俺もう抜け出せなくてさ」

 いや、トップが抜けるなよ。


「これでちょっとは楽になるか? 宮?」

 とポイッと俺の口にアイスの実を放り込む。つめてぇ。

「……そりゃどうも。どういう風の吹き回しよ」

「働いてる方が都合がいいんだよねぇ、今日は」

 都合がいいって何ですか。梓さん、と目で訊ねるとにこりと笑われる。


 オイオイ。何からかはわかんないけど逃げる気満々だこの人。案外会長と同属なんじゃないだろうか。


 そして会長に引きずられ、本部に直行した俺ら。バイト代出てもいいんじゃないかな、これ。


 そして男の膝の上に乗るのはどうかと思うよ。梓さん。

 目のやり場に困るよ……!

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