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青リンゴグミ。

 まだまだ案内したい所はたくさんあるけれど、もうそろそろ帰らないといけない時間が近い。1泊2日はあっという間に過ぎるなぁ。

 なので近所の金券ショップに行き、帰りのバスチケットを安く買った。

 しみじみとお祖母ちゃんの家が商店街にあることを便利に思う。何でも手が届く場所にあるって素敵。


「ただ、まぁ。ちょっと淋しいというか」

「帰りたくない……?」

 チケットを宮に手渡し、ポツリと呟く。

「うん。明日が学校だと思うと更に」

 まじでダルイ。

「あぁ……確かに今日これだけ遊べばなー」

「ねー。月曜の学校行くのの憂鬱さったらないよね」

「そうねー。」


 バスの乗車時間までは、商店街を一回りし、ついでにバス停近くの栗林公園へ。観光地らしいが始めて入った。母も近すぎて、生まれてこのかた入ったことないらしい。写真でもとっておくか。


 終着点にバスが到達する頃には、もう夜。夜というのは妙にテンションが上がるのか、妙に皆元気だ。まぁ、あとは家の近くの駅に各々帰るだけなんだけどね。


「じゃ、梓。私この電車だから」

「あ、うん。じゃあ……」

「香川。つれていってくれてありがとね! 楽しかった」

 と桜に両手を握られ、感謝の意を述べられる。この旅行の最初と比べるとその態度の変化はすさまじい。


「よかったじゃん。仲良くなったみたいで」

 桜を見送り三人で電車に乗る。するとポンポンと頭を叩きながら、宮は言う。

「……うん」

 仲良くなった、とは思うけど。何でそんなに梓は嬉しそうなんだろう。

「まぁ、この調子で友だち増やしていけばいいよ」

「おい、私が友だちいない子みたいにいうな」

「え、違うの?」

「……………どうなんだろう」

 正直女の子の友だちは少ない、な。私と同じくらい性格がキツイ子でもないと。にごさないで本音をはっきり言うのにためらいがないような人とか。なので確かに少ないよな。

 でも特に気にしたことなかったかも。


「むー。人付き合いは大事だし。サボっちゃダメなのはわかってるよ」

「え”」

「おい、何だそのありえないようなものを見る眼は」

「いや、人付き合いを大事なものと思っていたのが意外で。だって明らかに色々切り捨ててるだろ」

「まぁ、仲良くなっても途中で面倒になって…こう、いつの間にか疎遠に」

 ねぇ……と宮からそっと眼をそらした。


 話したくなったら話す。話したくなければ一人で過ごす。そうしていたら、女の子のグループには入れなくなってた。ずっと一緒にいるのが苦痛になって、その気分でうっかり当たり散らさないように距離を取ればいつのまにかもっと距離が開く。グループにずっと居た人同士の仲はより親密になっていて間に入れないような話題で話が進む。で、つまらないからそこから抜ける。


「私、何でずっと一緒にいるの無理なんだろ」

「性分じゃね。そしてわがままなんだよお前」


「わがまま……。」

「ふつーは我慢するの。一人ぼっちは嫌だから。自分を抑えてうまくやれる道を模索する。それでそうするのが当たり前になって、それに慣れる。だからお前より上手く動けるの。人付き合いとは慣れだ、慣れ」


「慣れ……」

 つまり私が女子の中でうまくやれないのは面倒で避けていたせいということか。いやでも全員の同意がなければ動けないの時間がかかってしょうがないんだもん。もっとノリで動こうよ。

「まぁ、なんというかお前って図太いんだよなぁ。というか鈍い」

「鈍い」

 嫌なことは寝れば忘れられる自信があるということかな。


「一人になっても何とかやっていけちゃうって意識があるだろ」

「あるね」

「まぁ、一人でやれる人でも属してる人はいるだろうけど。一人でいることの面倒さが嫌でグループに属してる人も居るかもな。一人だと全部自分のことは自分のせいにしかできないし。誰かしら傍に居れば、自分の決断とかを相談したり、助けてくれるっていうのは楽だから」

「なるほど手足というわけか」

「まぁ、この人と居れば楽しいと感じられるというのも得ではあるけどな」

 損とか得とかは無意識の判断だろうけど、たしかに一緒に居てしんどい人はそれを超える利益がなければ一緒にはいない。じゃあ、私は自分で居る方が利益が大きいと思って、他を切り捨てているわけか。うーん。あれ、私なんかダメな人?


「勉強になるなぁ……」

 と感心して思わず頷けば。

「うん。なんかもうお前と話してると人付き合い上手いな、俺って思うわ」

「ヒドイ」

 やれやれって顔しないでほしい。


「なーなー。中原さん」

「はい?」

「今度ウチの部で夏祭りいくんだけど、行かない? 宮も来るし」

 ………。

「えーっと」

「あれ、嫌? 24日なんだけど 都合悪い?」

「あー奏。梓は知らない人の中に放り込まれて大丈夫かなっていうかナゼ私を呼ぶと思ってるんだとおもうぞ」

「え、大歓迎だぞ? 先輩達女の子なら誰でもいいっていってるし」

「えええ……」

 私にそういう華扱いの女子的役割はこなせません。桜みたいなキレイどころを連れて行くほうが喜ばれるよ。ね? ガッカリさせるって。

「ほら、ここで慣れというものが必要になるわけだ。いこうぜ」

「あーっと」

 それよりも家でごろごろしたいなぁ……。

「ま、これも人生勉強だ。」

「うーん」

「な?」

 確かに宮が居るときになれておいたほうが後々いいの……かなぁ。正直上野くんとその他大勢の見知らぬ人の中に入るよりは気が楽、かなぁ。

 正直私は人付き合いが上手くないようだとは自覚してるしな。うーん。


「うん。わかった行く。じゃあ上野くんよろしく」

「おう! 楽しみだな」

 珍しく夏の予定が増えた。本当に珍しい。

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