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プリン大福

「……ふー。」

「疲れたね」

「うん、なかなかうどんを作るのは意外と体力がいった」

「じゃあ、荷物部屋に置きに行ってから、おやつにしようか」


「いいねー。甘い物ほしい」

 梓の申し出に対して上野がそれに乗った。他の2人も特に反対するものでもないのでそれに同意した。


***


「その前にちょっとお土産やさん行こうか」

 高松の商店街の一角にある。公認団体がやっているお店に彼らは向かった。

 うどんにまつわるものはもちろん、他に香川にまつわるものが小さいスペースに並べられる。

 そこで彼らは一通り見て悩みながらもお土産を買い揃えた。


「見てみて、うどんストラップー」

「桜、なかなかマニアックなもの買ったね。あ、でもてんぷらうどん美味しそう。いいなぁ」

「でしょ? はい、これ梓の分」

「……うわ。私の? ありがとう嬉しい。わー。またうどん食べたくなりそう」

 梓は本当に嬉しかったのか顔をほころばせ、鞄に早速取り付ける。

「またっ!? さっき食べたじゃん」

 と返すのは宮。

「いや、麺類っていくらでも入る気しない? ラーメンとかも」

「あぁ、お前麺類好きだもんな」

「そうそう」


「梓は何買ったの?」

「ん、これ。和三盆」

「わー。形が桃太郎モチーフなんだ、すごいね」

「うん。昔話シリーズ。かぐや姫は売り切れだった。残念」

「へー、売り切れ」


 そんな風にグリーンへ向かう通りを歩いて行く。途中にはいつも作るのがめんどくさい時にいく牛丼屋さんや、お気に入りの本屋さんやお菓子屋さんが順にある。たくさんの店が立ち並ぶこの商店街は歩くだけでも楽しい。


 そしてたどり着いたのは和菓子屋さん。奥に細長いお店で、ショーケースに綺麗な商品が並ぶ。

 そこに入り、店員さんに断り右奥にある階段に足を向け、登る。


 登った後に目の前に現れたのは、掘り炬燵のように足の部分がくぼんだ席と、畳の席が用意され、四人席が二つと2人席が2つある空間。壁はこげ茶で、床には柔らかな光を漏らす灯篭が鎮座する和空間。一人当たりのスペースが広く、ぎゅうぎゅうとした印象を受けず、のんびりできそうである。

 あまり目立たない、というかお店が表なので、その二階に併設されているこのカフェは意外と気づかれない穴場スポットである。


 四人席に入り、各々座り、下から上がってきた店員さんが注文をとりに来る。

「すいません、あんみつ。餡特盛りで」

「はい、かしこまりました」

「特盛りって、そんなのあったの?」

「え、あったよ。ほらこれ」

 とメニューを上野が指差す。


「うわぁ……まじだ」

 温かい緑茶に、手を伸ばしつつ呆れた声を出す梓。


「おまたせしました。冷やしぜんざい、白玉抹茶カキ氷、クリームぜんざい三色団子付きセットとあんみつ(特盛り)でございます」

 白玉が、バニラアイスが寒天が、あんこで、あんこで何も見えないー!

 何これか軽くお茶碗いっぱい分くらいの餡子だよこれ。


「うわぁ…美味しそう」

 何ィ―――!?

 あんみつじゃないよ。これ餡子の味で全部塗りつぶされちゃうよ。他のものも味わってあげて。


 三色団子を食べながら横目に、あんみつではなく餡子を銀色のスプーンを用いてすごいスピードで消費していく上野を見る。


 ――見ているだけで胸焼けしそうだ。

「(桜、アンタあんなんでいいの?)……正直食欲なくなってきた」

「え、じゃあ俺にちょーだい。中原さん」

「どーぞ、ご随意に」

「ありがとう」

 いい笑顔だ、上野。まぶしい。


「見るな。見なければ、知らなければやられることはない」

 ―あぁ、アンタら仲良しだもんね。そりゃあ知ってるか。

 というか、あんたがそんな目をするくらいにはこの人は甘党なわけか。


 宮は上野を見ないように甘味を口に運ぶ。

「確かに見ないことはできるけど。もう知っちゃったし! もう食べてる姿を見てるだけで口が甘い」

「ご愁傷様?」

「何それめっちゃヒトゴト!」

 ついついと自分の服の裾が引っ張られ、その方向に顔を向けた。


「可愛い……」

「桜…。あんな重度の甘党男のどこがいいの?」

 あんな、あんな……パンケーキも生クリームで見えなくなるまで盛り上げ、さらにメープルシロップをだくだくにしそうな人。

「え、いーじゃん。可愛いし。それに私パフェ好きだけど全部食べられないから頼めないんだよね。一緒にパフェ食べたいな」

「まじでか。確かに嬉々として食べそうだが」

「あ、上野くん。これもたべるー?」

「食べる!!」

 餌付けかよ。


 全員が食べ終わったあと上野は言った。

「え、俺そんなに甘党じゃないよ」

 じゃ、あんたは疲れたらチョコレートをバリバリ食べ、あんこをお茶碗いっぱいにして食べるんですか。疲れたらガッツリ焼肉派の梓はげんなりする。疲れたら肉だ、肉。


 ……断言できる。もし上野くんと付き合ったら私の甘味摂取量は0になると。

 甘いものが体を満たす感覚はいいとおもうよ。幸せって感じだよね。けど、ちょっとちょーっと好きなだけだよとこれぐらい普通だよ、と上野はなんだか言い募っているがスルーしたい。

 普通って何だっけ。

「そりゃあ毎日これくらい食べたいけど」

 メタボるぞ。

「朝はフレンチトーストにクリーム乗せて、ジャムもたっぷり乗せられたら幸せだよね」

 うわぁ、甘い。コーヒーがほしい。飲めないけどブラックよろしく。


「宮」

「何だ」

「甘いものは私当分いいわ」

「おう、俺もだ」


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