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どんぐりガム

「お前さー……………クレープ何にした?」

「マンゴー」

「おお、夏っぽい」

「だろ」

 マンゴーでもよかったかも。


***

 なんて奏に事と次第を追求することをアッサリと放棄してクレープをむさぼる宮であった。

 が。一方こちらの梓は、というと。


「ちょっと中原さん聞いてる!? もーあの人なんていったと思う?

 『2人の邪魔しなくていいのー?』って言ったのよ。しんじらんっない!!」

 なんだか愚痴を発散する矛先として選ばれていた。ぎゃんぎゃんと一通り騒ぐ彼女のそれを宥めすかし、合いの手を入れる。彼女が落ち着いてから梓は疑問を提示する。ちなみにクレープは消費し終わっている。


「2人って誰?」

「は? あなたと成瀬くんに決まってるじゃない」

「邪魔してたっけ?」

 敵意は向けられてたけど、邪魔されたっけ。

「………そ、りゃあ2人は両思いっぽいし間に入るのは邪魔だったかもしれないけど。でも上野くんにやんわり釘を指されるのは割りに合わないっ」

 ……んん? なんか飛躍がすごいですね。


 涙目で突っ伏す彼女には悪いがさっぱりわからない。そして大人しそうな外面は完璧に剥がれていた。そして上野君はなんでわざわざそんな釘を指したんだろう。あ、でも篠崎さんって

「宮の事が好きなんじゃなかったっけ?」

 それなら別に気にすることなく割って入って邪魔するのは自然だよね。それにわざわざこの旅行についてきたのも納得だし。

「っっっはぁ!? 違うわよ。私が好きなのは……」

「好きなのは……?」

 と訊くと顔を真っ赤にして再び机に突っ伏した。


「う~っ。私って成瀬くんのこと好きに見えるのかなぁ……。だからあんなこと言われたのかな」

 と今度は頭を抱えだす。忙しいなぁ。

「上野君もね、なんでそんなこと言ったのかな」

「いま思うとなんで? って軽く聞かれただけだったんだけど、あの人に言われるとダメージが」

 それでびっくりしてつい激昂したらしい。

「あぁ、本命は上野君ってわけね」


「なっ……」

 ポロリと梓の口からこぼれた予想に目を見開き、何かを言おうとして口を開いた。

「でも、何で私睨まれたのかな。宮と仲いいのが気に入らなかったわけじゃないでしょうに」

「そ、れは。成瀬君と仲いいと自然と上野くんと仲良くなるだろうと思ったから。成瀬君が仲いい女子なんて珍しかったから」

 つまり、この旅行についてきたのも、いろいろ敵意を向けられたのも上野君に近づく女子の排除が目的ですか。確かにあちらから近づいてきた。宮と仲いい女子とお話しをするために。しかしその結果空回りして本命に釘を指された、と。


「それなら、この旅行で仲良くなることだけに終始してたらよかったのに。私にいちいち構うから」

 墓穴掘るんだよ。しかし、邪魔しないのって聞くなんて直球だなぁ。意外と曲者なのか、腹の中は黒いのか。あんなに無駄に爽やかなのに。

「うぅ……。だってあなたも私に屈しないし。大人しそうなのに生意気だったから」

 ほう、私が気に入らないのも事実のようである。けれど赤い顔で言われても迫力ない。むしろ…

「すごく女の子って感じ……」

「……何、……言って」

 なんかすごい負けた感じがする。女子力的な意味で。可愛いよなぁ。こういうアホな感じ。私にはないものだ。人は自分にないものを持った人に惹かれるという。確かに少し羨ましい。私にはないキラキラしたもの。あぁ、女の子だねぇ。全うに。


***


「は? 俺と梓の邪魔すんなって言ったって?」

「違う違う。邪魔しないのって聞いただけだって」

「邪魔されてたっけ?」

「まー、成功してたとは言いがたいけど。ちょくちょく機会を狙ってはいたなぁ」

 なんという直球疑問提示。奏お前は勇者だよ。

「でも邪魔する様子が途中からなくなったから、なんか不思議に思ってな」

 ……そして無神経。お兄さん頭が痛いです。

「そりゃあ、怒るわ」

 それが事実でも、そうでなくても。自分が悪者扱いされたって感じるだろうな、と思う。


「あ、梓からメールだ。隣の百貨店で暇でも潰しとけってさ。行くか?」

「……そうだな。なんか俺マズイこと言っちゃったみたいだし。ちょっと時間おくか」


 だな。俺もそう思う。


***


「わかった。気持ちは黙っててあげる」

「じゃ、協力してくれるの?」

「しない。自分で頑張れ。邪魔はしないから」

 サクッとお断りする。こういうのにOKすると、後々面倒だ。うまくいってもいかなくても否応なしに巻き込まれそうである。ロバの耳として。

「あなたって本当にいい性格してるわよね」

「……そりゃどうも。まー応援はしてるから。頑張れ女の子」


「な、そっちはどうなのよ。成瀬くんとラブラブ?」

 ………。

「どうして、固まるの」

「………ら、ぶらぶ」


 ですと? 女子の思考回路恐い。まじ恐い。なぜそうなる。なぜそうなるんですか。どうしよう今までで一番ダメージ受けた。


「そうそう、今までにないくらい接近してるじゃない。成瀬君特定の女子とは仲良くやんないじゃない。男子とばーっかつるんでるから」


 それは多分私がサバサバしてる上によく一人でいるからではないでしょうか。女子のグループに話しかけられる人ってけっこう猛者なんじゃないかな。宮は平気そう…あ、めんどくさがりそうではあるかも。


「あ、桜って呼んでいいからね」

 そして唐突ですね! なぜだ。



――目まぐるしく関係が変化する。続く先に、何かあるのだろうか。


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