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戦場の優しい死神

「ここまでなのか・・・・・・結局、僕は何も出来ないじゃないか」


そう呟く血塗れ少年、着衣は血で黒く染まり、少年の容姿に高い神秘性を持たせていた。


その手には、少年には不釣合いな異質な双剣を持ち、その姿は美しすぎる『死神』

対峙するのは、大人の兵士およそ、二個中隊、


ここは何も知らなくとも、強く、幸せに生きてる人が住んでいるはずの村だった。


今は、火が放たれ、人が逃げ惑い、死体が転がる――――そう地獄と化していた。


「・・・・・・・・・・ごめんなさい」


――――――――その言葉は、誰に送らたれたものだろうか?


巻き込んでしまった村の人達?目の前の兵士?裏切ってしまった、過去の約束?


どれも正解、でも、どれを見ても、唯の偽善でしかない、救われる物なんて、いやしない


けれども、自分で今、出来る事はこれと・・・・・・・・・あとは『殺し』だけだった。


「ごめんなさい・・・・・・・・・くっ!」


言葉と共に、涙もひとすじ・・・・・慌てて拭った。


自分の涙は、少年の嫌いな物の一つだった。泣いてしまい、気持ちが楽なるのが、たまらなく嫌だった。自分の罪は涙なんかで、拭える物じゃないから・・・・・・・


唇を噛み締め、もう1度「ごめんなさい」と呟き、少年の目は、『暗殺者』のそれに変わった。



――――――-――緊迫した戦場の空気の糸が途切れる――――――――――



「≪形纏う消滅矛盾≫」


少年が詠唱を唱えると、少年の姿は、突然、霞のように消えた。兵士達に動揺が走る。

魔術、『探陣』《サーチ》にも引っかからず、気配も全く感じられない。危険を感じた兵士達は、お互いに背中を合わせ、防御用の結界魔術を発動させようとした。その時!!


――――――――――ザシュ!!


いっきに、少年が現れ、兵士4人の首が飛んだ。


この術、≪形纏う消滅矛盾≫は、少年の異能と呼ばせ、『処分』の理由の1つでもある。

理由は簡単、『絶対に、あり得ない』からである。


この術は、空間に介入する魔術に似ているが、それは、この世界のルール『消滅』『輪廻』『再誕』を、魔力を通して後押ししているに過ぎない。


しかし、少年の≪形纏う消滅矛盾≫は、周りの空間を変質させているのだ。


極狭い範囲ではあるが。変質のした空間は、少年の存在を通さない。音も、匂いも、気配も、光も、敵の攻撃も通さない。


自分の攻撃も通さない、空間を出た途端に消えてしまう。だから、攻撃するときには、術を解かなくてはならないのが欠点だ。あと、魔力消費が『超』激しいこともである。


普通の人間に、空間の質、なんて見えるわけが無い。見える人もいるが、別の理由で認識することが出来ない。その変質した空間では、少年が法則ルールだ。だから、誰も少年の存在に、きずくことができない。


「くッ!かたまれ!!あの術で、背後を取られるな、防御して、術を解いた隙を狙え!」


隊長らしき人物が、叫ぶ。その指示は、的確そのもの、さすが戦闘のプロである。


しかし・・・・、少年は読んでいた。本来の目的を果たすため、もうここにはいない。


時間稼ぎを、したかったのだ。だから、無駄に派手な『殺し』方をし、危機感を煽った。


(・・・・・・・・・あの隊長さんが、いい人で良かった。)


本来なら、囮を差し出し、外の者は、少年が、姿を現した所を一斉に狙うべきだった。


しかし、それでは囮にした人達を助けられない。味方の魔法一斉射撃に巻き込まれて、お陀仏である。


だから、あの隊長は、部下達に防御をさせ、自分は攻撃態勢に入った。


少年の力量は、見ているはずだから、自分が、飛び込んで、助かる可能性はない事もわかっていたはず、それでも、自分の部下を守る為、死ぬ覚悟で、防御も取らずにいたのだ。


(他の所で会えていれば、友達になれたかもしれないね・・・・・・・)


そう呟き、悲しく自分をあざ笑う。


まだ、そんな未練を持っていたのかと。


そして、少年は駆ける。まだ、救える人が、いるかもしれないから・・・・・・・


そして、まだ、生き残っている人達が集う、建物を見つけた。


「これが、僕の最後の仕事か・・・・・・、『光』を救うって約束したのに、結局、僕が、出来るのは、自分の自分自身の『贖罪』だけなのか・・・・」


悔しそうに、そう呟く、涙を、耐える心が痛い。


これから、僕がするのは、自分の、自己満足の『贖罪』、この人達を安全な所に転移させる。このままだと、証拠隠滅の為、消されてしまうから


これだけの、大魔導を行使すれば、兵士達に見つかるだろう、魔力も、かなり消費するだろう。


その先に、待っているのは死、でも、それでも、かまわない。


これは、巻き込んでしまった人達へのせめてもの『贖罪』


その代償が、自分の死ぐらいなら、喜んで受け入れよう。


少年が、魔方陣を引く、いくら苦手だからって、もし、間に合わなかったら、きっと、僕は死んでも後悔する。


なら、出来る限り、早く終わらせるしかない。


だから、最短の方法として、少年は腕を切り、血を魔法陣に流す。


「やっぱり、少し痛いな」


無感動にそう呟く


少年の血が、魔方陣に染み渡る。血は、大量の魔力を含んでおり、普通だったら、魔力を充填するだけで、1時間ほどかかる魔法陣がたった30分ほどで完成する。


「・・・・・・・・・・・幸せになってね、それと、ごめんなさい。」


我ながら、身勝手だなと思いながら、魔法陣を、発動させる。


だって、この人達の幸せを、奪ったのはまちがいなく僕、なのだから。


「さようなら・・・・」


初投稿です。出来については物凄く自信ないです。


投稿ボタンを押してから、しばらく羞恥と後悔に苛まれルと思います(笑


客観的な意見(感想)待ってます。

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