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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

なれてしまえば日常

撃ち落された

作者: 夜乃桜
掲載日:2026/02/20

最近、裏社会にある噂が流れていた。時に傭兵、時には狙撃の殺し屋として、名をはせる彼が死んだという噂。

腕のよい狙撃手は何かと便利な存在で、よく仕事の協力をしてもらっていた。なので、噂を聞いた時、残念だと思った。仕事仲間であった狙撃手の死に悲しみはない、裏社会ではよくあること。

狙撃手の冥福を祈りながらも、次の協力者を求めて訪れたバーで、死んだと噂されていた狙撃手を目撃する。しかも、行儀悪く机に足を乗せて、ボーっと虚空を見ていた。何があったのだろうか。


「あ、あれね」


バーのマスターは、愉快気に話し出した。



きっかけは一つの依頼。訳ありの殺し依頼で、ターゲットは日本人の12歳の少女。

この依頼に狙撃手は眉を寄せた。多額の訳あり依頼とはいえ、12歳の少女の命を奪う。罪悪感がない訳ではないが、ためらいがあると言えば嘘になる。

おまけに断りづらいところからの依頼に、狙撃手の懐は寂しい状況。仕方がない状況だと、狙撃手は依頼を引き受けた。

狙撃手は、ターゲットの少女について調べた。朝早い時間帯に、少女は泊まっているホテルの庭を散歩する。そして、一休みと庭のベンチに腰掛ける。そこを狙撃手は狙うことにした。

暗殺当日。庭のベンチを狙える絶好の狙撃場所で、狙撃手は少女を待っていた。

そして、少女が現れて、いつものように庭のベンチに腰掛けた。今だと男は引き金に指をかけた。


「……は?」


人の眼には見えない、届かない距離のはずだった。それなのに、少女と狙撃手は眼があっていた。

ただの偶然だと切り捨てることは出来なった。いつもぼんやりと庭を見ている少女の顔が、狙撃手に向けられている。

少女はふわりと愛らしく、どことなく妖艶を感じる笑みを、狙撃手に見せた。そして、少女は指で銃の形を作り、銃先をこちらに、狙撃手に向けた。


・・・ばあん・・・


小さな唇で発砲音の真似事、少女は狙撃手を嗤った。

呆然とする狙撃手を余所に、少女はベンチから立ち上がる。何事もなかったかのように、少女はホテルに戻って行った。


「……マジかよ……」


思わず笑いがこみ上げてくる。ぞわぞわ、ぞくぞくと狙撃手の背中になんとも言えないものが走り、高揚する。こんなことは初めてだ。

狙撃手はターゲットである少女に接触をするための計画を立てるのであった。



「で、その結果がこれ」

「噂の真実がまさかの恋煩い?!」


その接触で、狙撃手が12歳の少女に、ガッツリと撃ち落されたのはまた別の話である。


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