良いあらすじとはどんなものなのか?
はじめまして、ペンギンの下僕と申します。お見知りおきの方がおられますれば幸いです。
自分は今、創作軍記を書いております。ですが反応がほとんど来ず、行き詰まっているので時々、感想サービスを利用してご意見をいただいているのですが、そのご指摘の中で「あらすじをもう少し易くしてみては?」というものをいただきました。
というわけで、とりあえず今書いているあらすじを貼ってみます。
**
『かつて焱という王朝があり、紂帝という名の君主がいた。紂帝は暴虐の限りを尽くし、天下には紂帝への怨嗟の声が満ちていた。
時に焱の東方に虞という国があり、諸侯を率いて焱朝を討ち倒した。虞の君主姜猷は諸侯の請願を受けて王となり、焱朝討伐に功績のあった諸侯と自らの兄弟を大陸各地に封建した。
そして姜猷から数えて十代目。虚王は美女に溺れ、国政を蔑ろにした。やがて虞王朝は西方の異民族、顓に追われ東への遷都を余儀なくされた。世に言う虞の東遷である。
しかし、顓は東に逃げた虞王朝を攻めて支配下に置き、虞王を傀儡として王朝を壟断した。顓はまっとうな政治を行わず、畿内は荒廃し人心は荒み切っていた。
地上から正義が消え去り、混沌とした大陸はこの先どうなっていくのか――。
これは中国、春秋戦国時代に似たある大陸の物語』
**
まあ、硬いんですかね?
そう、自分で書いていて、ご指摘をいただいた上で当の自分がこういう認識なので、わからないんですよ。
というわけで家の本棚をひっくり返して、小説や漫画、映画のパッケージなども含めていろいろと「あらすじ」というものを探してみました。
結論を申しますと――長くて分かりにくい。そして、情報が無駄に多い!!
もうこんなあらすじを引っ提げてる小説をブラウザバックせず読んで下さり、リアクション、ブクマ、評価、感想まで下さった方々に対してよりいっそうの感謝の念が湧いてきました。
そもそも自分はこれまで、あまりしっかりとあらすじというものを読んだことがなかったなと思いました。基本的に「これを買う」と決めていることが多く、衝動買いをする時は表紙のデザインやタイトルだけを見ていたので、あまり「あらすじを読んで創作物を買うかを決める」ということをしてこなかったのです。
その結果が、自作のあらすじ軽視に繋がっていたなと思うと、いかに人生を漫然と生きてきたかと恥じ入るばかりでございます。
では、自分なりに考えたよいあらすじの条件をいくつか挙げていきます。
とりあえず一つ目は、「簡潔であること」ですね。
上記の自分のあらすじはこの点でダメです。というか、このあたりの情報、だいたい一話か二話に出てくるんですよ。
次に、「創作物のテーマが分かるかどうか」です。
これはより具体的に言うと「ジャンルが明記されているかどうか」です。ここでいうジャンルとは、別になろうでの分類的な話でなくても構いません。創作者が自身の物語について定義づけたジャンルでいいんです。
これについてはないものにはありませんが、あったほうが分かりやすくてよいなと個人的に思いますね。
三つ目は、まあこれも当然のことではありますが、「読んでみたくなるような、興味を引く表現であること」です。
これについては純粋に文章力の問題ですね。一朝一夕で身につくものではないので、ひたすらに試行錯誤あるのみかと思います。
そして最後は、「主人公の名前がはいっていること」です。
冷静に分析してみると、なんとおそろしいことに自分の上記のあらすじには、主人公とかその周囲の人名がまったく出てこないんです。出てくるのは過去にあった歴史上の人名ばかり。
主人公と言うのは一番出番が多く、物語の軸になる存在です。たとえ読んでいれば明らかであっても(そもそも自分の小説はその、主人公が誰かが分かりにくいようなのでなおさら)、誰に感情移入して読めばよいかを明記すべきなのです。
とまあ、これらのことは小説を書いておられることであれば多くは既にご存じか、あるいは無意識のうちにやっておられることかもしれません。自分はほんとうに初歩で躓いていたのだなと。
今回は以上となります。
基本的に読者はまずあらすじから読むわけなので、もちろん内容も大事なのですが、まずあらすじの文章で魅了出来なければ話にならないんですよね。どれだけ美味しいラーメンを出す店があっても、客に入ってみようと思わせられなければダメみたいな話です。
ご一読ありがとうございました。
このエッセイを書きつつ自分的にどうにかあらすじを改良した自作、『春秋異聞』がこちらになります↓
https://ncode.syosetu.com/n8615kh/
よろしければご一読ください
**
感想などあればよろしくお願いいたします。他にも、創作物において「魅了されたあらすじ」というものがおありであれば、是非教えてください!!